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[やがてやってきた警察の中に見知った顔を見つけると。楽しそうに声を掛けた]
やあグリタ君。相変わらず身なりに気を使っていないのう。
そんななりでは奥さんもニースから帰ってこないだろうね。
[中に居る人物がウミだと知れば、警察の面々は苦々しい顔になるばかり]
どうしたのかのう?
[権利の告知すらせず遠巻きにする警察たちに、空っとぼけた顔で首を傾げた、あと、さも今思い出したかのように続けた]
ああ……。そうだ。わしが捕まったということは、いっそネットでライブ中継でもしたほうがいいのではないかね?
秘密裡に「情報」を得たと思われたら、君たちの身が危なくなるだろうしの。
[ウミの持つ情報は有益だが、その有益さは、つまりある人物にとっての致命的な不利益だ。
殺すことで口を封じることが出来るなら安い。
警察に捕まれば、留置所に置かれれば、何らかの罪を得て刑務所に置かれれば、あっという間に命を落とすだろう。
ウミの特殊さは、きわめて有益な情報を取り扱いながらも、戦争にも革命にも大規模な抗争にも関わらず、のらりくらりと闇の世界を生きぬいていることだった]
ああ。わしがちょっと宿泊した後に「何も漏らしてなどおらん」と言えば、危険は無いだろうがね。
だから、そこの赤ネクタイ──ダンケは銃を使わない方が安全だの。
わしが拘束されている間に命を落とせば、どんな情報を引き出したかと、おまえさんたちが痛くもない腹を探られるぞ。
[平たく言えば、自分の情報を盾に『何も聞かず釈放しろ』と言うことだった。
入口付近に居た若い刑事は、仲間に取り押さえられていた]
いや、何も企んでおらんよ。
ただちょっとばかり、時間をつぶしたいと思っての。
あ……見なかったことにしたい? いや、もう、捕まったことくらいは流れてるだと思うんだがのう。
あまりにも時間が短すぎると、逆に疑われるんじゃないかの?
[もう帰りたいという警察をなだめすかして、ホテルのフロントから、買いおいてあった大福を手土産にゆうゆうと留置所に向かう]
[トロワ・シティではなく、ドゥ・シティの古いホテルを出るときと言いたかった気がするがそれはさておき]
――ええ。ミル・シティまで。
[券売員に笑いかける。
目的の街へ向かう列車、一等席の切符を手に入れれば、さらに笑みは深くなった]
ありがとう。
[良い旅を。券売員の言葉に頷く。
年代物腕時計を見る。出発は、まだ先だ]
[駅舎を歩きながらスマホを取り出す]
……。
[開くアドレス帳。
暫く指を彷徨わせると、選んだのは、数日前に連絡を取ろうとした相手]
……さて。プロフェッサーは知っているかしら?
[どこにいるかも知れない相手に、コール音聞きながら、呟いた]
[つぶすべき時間は自分のものではなく警察のものであり。
そして……自分という囮を警察に置けば、何らかの接触を図ってくるだろう]
まぁ、無事でよかったのう。
[さきほどの刑事と同じように、命を狙う輩も多かろうが]
大丈夫。
もう少し時間を稼げば、また外に出られるさ。
[ネギヤにいつもの通りのんびりと話しかけ、高価なスーツにも構わず、どっこいしょと床に腰かける]
どら美がおらんのがさみしいのう。
[膝や肩に慣れた重さが無いことが心細い]
[ポッケに入れていたスマホがぶるっと揺れた。
発信者は先日会ったばかりの歌姫。]
はーい、ごきげんよう?
[トロワ・シティの駅のどこかの柱にもたれかかって、通話をはじめる。今日は白衣を着ていないので、歌姫は気づくかどうか。
気づくといえば、ウミが警察に捕獲されたことを彼女は知っているのだろうか。諸般の事情でドゥ・シティのホテルへ遅れて到着したのは警察が一仕事終えた後だった。
ネギヤがヘマして捕まったと教えてくれたウミが…。同じくヘマをしたとは思えないのだがさてはて。]
[携帯電話の良いところは、遠いところにいる人間にも一瞬で繋がるところだ。
悪いところは]
あら、繋がった。
ごきげんよう、プロフェッサー
[相手がどんなに近くにいても、それを感じ取れないこと]
あなたは無事そうね? よかったわ。
[話す相手が同じ駅に居ることなど、気づかずに話す]
[最近の通信機器は性能が良い。
とぎれとぎれの言葉をつなぎ合わせれば、意味は推測できた]
安全……?
警察を頼るほど危ない橋を渡ってらしたのかしら。おじいさま……それとも、渡っているのは私たち?
どちらかというと――
[ウミが最後に残した言葉を思い出して、言葉を途切れさせる。
嫌がる人間は大勢いるだろう、とウミは言った]
ああ。姫君も無事そうだね?
[視界の隅に当人を確認しつつ、しれっと聞く。]
せっかくだからミル・シティで
勝利の美酒を味わいたいじゃない。
うかうか捕まっていられませんて。
んあー、そうみたいね。
後<91>分ほど早く着いてたら
俺もまずかったかもー?
…ネギヤがヘマしたって俺に教えてくれたの、爺さんだぜ?
んで、即自分もやらかすのはなんかなぁ。
耄碌したとは流石に思えないから、何か目論見があったとしか。
[それが本人によるものか他者によるものかは知らないけれど。]
もしかして、姫君は現場にいたの?
どっちかというと、爺さんの場合は、警察に取り込まれたらやばいって動き出す後ろ盾があるようなないような?
[まぁ、その辺の事情はさっぱりなので憶測に過ぎないが。]
もちろん無事よ。
ミル・シティのシャンパンは世界一っていうわ。楽しみね。
[ゆっくりと歩きながらの通話。
プロフェッサーと呼びかけるから、思い浮かべるのも、無意識のうちに白衣姿になる。それでも視界に入れば気づくだろうが……今見えるのは、赤い列車、大勢の人の足に負けない重厚なホームと、善良な、一般市民のみ]
あら。それは運が良かったわね。
結構騒動だったみたいだから。
そうなの? まったくもう。おじいさまったら、私には教えてくれなかったのに。
でもそれが本当なら、確かに腑に落ちないわね。
[見ていなかったような口ぶりで続ける。
何か目論見が――ユウキの声に、思わず小さく頷く。
自分が知りたいのも、それだから]
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