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…従士長殿、
[えづく赤毛の男へかける声はかつての呼称。
したたる黒い粘液にみるのは昨夜の予兆――]
魔物 … ――そのようなものに
生贄を捧げるという話では…
なかったはずだが、
[違ったのか。違ったのだ。
魔性露わな徘徊者の存在。
遠い納得を示すように、語尾は続かなかった。]
― 廃教会 ―
[死肉を食らう男の腕をねじり上げ、手荒と言われたことには笑みを返すが、目も口も布や轡に覆われているので彼には見えないかもしれず、
ただ、ひょろながい、のだけれども、鍛えられた体躯。掴む腕、指の力は、その身体をいともたやすく、ボロのスーツの紳士を地べたへ這い蹲らせる。]
ヒヒヒヒ、フフフフ、
ヒャハハハハハハ
[彼の抵抗が人間の急所たる場所に及ばない限り、その大きな手は、司祭の遺体の横で、邪淫の慰みを始めるだろう。彼自身を慰めながら、長い指を容赦なく、もうきっと何日も糞の出ていない場所へつきたたて。]
別に、その肉を屠ったことなど、どうでもいいよ。食いたいなら、食えばいい。
[喘ぐはじめるならば、悪戯にその口に、また死肉を押し込むのも、また遊びの一つ。]
安らかに
[引き上げられた安らかではない眠りの表情の石女にかけた白々しい声
親しき死臭が漂う]
鳥はいませんが、何とか致しましょう。
死の儀を取り仕切り、器は大地に、魂を空に還すは、私の役目。
全ての死は私の手で――
[それは絶望しかないこの地で何かを成そうとする男の執着が表れる矛盾に満ちた思考]
魔物。
[語尾を上げての一言。それは不快の表れ]
訳の分からないモノに、死を支配されてなるものか。
死の儀を取り仕切るのは我
[人の死の主導権を得たい欲求を表情露わにする]
死の主導権を奪うモノは、蜘蛛の糸による粛清で、導きましょうか
[閉塞感が狂気の歯車を回す]
[そしてどのくらい時間がたったか。
何やら外が騒がしいように感じて、
またゆらりと起き上がり、外へと。
目を細めて、檻の方を見た。何人か集まっている。]
…なんだ?
[面倒くさい…。
一瞬そう思ったが、そのまま檻の方へと。]
…女が、死んだのか。
[人越し、柵越しに、生贄の溺死体をみた。]
ふん…。
[檻の前の男たちを睨めつけるように見回した。]
魔物って、なんだよ?
…彼は、
不正で連座処刑を受けた一族の 子弟だな。
[くろぐろと示されたヘイノの名を受け
伝えるのは、いまひとりの同郷の士へ。
一族と交友あった執行人が自害を図ったと、
そのような記録が付随する一件を簡潔に。
妄執の僧へ口を挟むのはためらわれ――
猿轡の道化と無気力な男へ見解を添えた。]
… 殺すもの である*らしいよ*
肉を喰らう のなら、
肉を鬻げということ か、……と
[気狂いの笑い声、抗う価値も見つけられず。
荒く浅い犬のような呼吸に混ざる苦痛の呻き、
喘ぎに乾いた喉に押しこまれた死肉に競りあがる嘔吐感。はらわたを引きずり出されるような――
邪淫に虐げられるこれは己が身か、否 否否。
この身は己の血肉となった呪い女だ。
妄想は昂揚を齎す、裂かれる臓腑、煮えたぎるほどに熱く迸る血潮、まだひくりと動く瞼の痙攣。その薄い皮膚に透ける青い血管を夢想して、咥えた死肉を噛み千切った]
は、………く、くく ッ
[気狂い男のその下で、床板に零れた精の痕]
[かの呼ばれ慣れた名にぐと眉を寄せる
あの頃は泥水啜る等 思いもしなかった
そ と当てた手の内で未だ腸はうねる]
彼は 魔物―― です、ッ
魔物は 人にを、殺す
殺さねば
[じゃらり…]
[鳥で弔う僧に頷いてから
猿轡の男に向けるは更に 寄せられた眉
そして大きな袖から錆びた黒い鎖が流れ落ちる
その先は重く分厚い手首の鉄枷からで]
僕は、まだ死ぬ訳にはいかない
ああ、不愉快だ。
死は神聖なモノ。
何か分からない余所モノが介入するのは不愉快だ。
[神聖とは、男の信仰の基準
石女を贄に誘導したのは彼
自分以外の人間が死に介入するは不快と言わんばかり]
ははは、ははは、ははは、はははは。
神聖なモノを犯すモノは殺す。
[それは笑いか、いきりか、笑い声似た息づき
指には露に濡れた蜘蛛の人に似た釣り糸]
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