うん。マシロの言うとおりだ。
私の主張はいつものとおり、横車に過ぎる。
証明する手立てはない。だが、私には判る。いや…判った。
だから…後はワカバに託そう。それしか、ないだろう?
[それで良いの?私は、気遣わしげにワカバを見やった。]
[マシロに問われても、ふるり首を振って肩をすくめる]
人為的な悪戯とかなら、こんなことになってない。
私たち全員、祟られちゃったんだと想ったけど。
[3人だけの空間に響くブザー。
"ひとり、追い出してください――――"
さきほど壊れたスピーカーから聴こえた声。]
ひとり。追い出すためには。
追い出すための理由がほしい……
犯人って表現、まちがってるかもしれない。
でも、もし"誰かがしてることなら"って仮定が――
[ほしいんだよ、ともらす声は小さく。]
無事でいられたら……、……いいや、はきそ。
[おやつを想像しようとしてみたが今の状態では失敗だった。
"くびになった"2人の生死もわからず、ナオもどうなったのかわからない今、皆で、なんて安易な考えは霧散して。]
……えっ、 託す、って え、
[責任逃れは悪い癖。託すと言われて焦る声。
無情にも現在進行形でエレベーターは動いている*わけで*]
マシロ? …誰、それ。
愉しいね。嬉しくて仕方がない。
追い出す理由? 理由なんて無意味だ、ワカバ。
だって、次の階で、君は「私」に追い出され――
チカノが首になるんだから。
[きっと、長い髪は美しく扇状に広がるのだろうと。
チカノへと伸ばす指先に力が入る。]
それはそうと。君を残した理由はな、
鬼ごっこをするには鬼と、追う者が必要だ。
ただ、*それだけだよ*
困る。と言っただろう。
[苦笑いというには苦しそうな笑みを浮かべた少女は、
マシロにふたつの手刀を振るう。その両肩を手で掴んだ。]
捕まえた。だが、残念ながら…私も鬼の部類だ。
[ナオにとってはね…
おや?チカノの時間だけ、少し進みが早いような…。**]
[ふと、私は誰かに呼び起されたような感覚に、両目を開けた。
目覚めた、という表現が正しいような気がしたのはなぜだろう。
不思議に思いながら辺りを見渡すと、私は「私」の内側から周りを見渡しているような違和感に襲われていた。]
チ…カノ? それにワカバ…。
あれ? サヨは? ナオは? それに――アンは?
[確かにさっきまで傍にいたはずの姿が見えず。
私は不安げに声を上げた。
しくしくと、パンプスの中で足先が痛む。]
困る…? 捕まえた? 鬼の…部類?
チカノ、何を言ってるだ?
[理由が見えず、戸惑い声を上げるもどうやらチカノ達には聞こえないらしい。]
やだ…、こわい… 怖いよ、チカノ…
[迫りくる無限の恐怖に私は震えながら、肩を掴むチカノに縋るような視線を、声を投げかける。]
アン、ナオ、サヨ…、
[名前を呼ぶ]
ワカバ…、チカノ…
助けて…!!
「私」を捕まえているなら、ここから助けて!!
[恐怖に震える私は、皆の名前を力の限り*叫んだ*]