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ふぅ。今日も良い天気だネェ……
[白衣を着た短髪の女(?)が、肩に掛けたタオルで汗を拭いながら歩いていた。
身長や細身の体格、顔の造作は女性のようだが、大股で歩く動作や化粧ッ気の無さ、まっ平らな胸部などは、女性的な容姿の男性のようにも見える]
あー。
そういや、祭りがあるんだっけか。
[往診用のバッグを左肩に提げ、タバコを一本咥えて右手で火をつけながら。
見慣れない顔を見かけた事で、ふと思い出したように呟く]
[ここは、向日葵畑の迷路。]
[畑の十字路を右に曲がれば、向日葵を従えた道が続いている。
右に、向日葵畑。左に、向日葵畑。
後にまたも現れた十字路を道を左に曲がると、やはり向日葵の群れが迎えた。]
くっそ、抜けだせねえ。
[この村の停留所でバスを降り、気紛れにこの迷路へ入りこんだ。
それ以降、散々求めているのに、ここのゴール地点には未だ辿り付けていない。]
[この真夏の季節にも関わらず、マフラーを首へ巻きつけ着込んだ格好。加え、顔を隠すように、帽子とサングラスを身につけている。荷物は持っておらず、空手だ。
そうした風体のレンの、向日葵の中の放浪の時はどれほどであったか。]
―――――っっっ!!
[向日葵の群れが途切れる箇所を、行く先にようやく見つける。
向日葵畑のその途切れ目から、外へと転がり出た。*]
[不意に携帯が鳴る。
電話に出て話す男の顔が曇った]
…なんだって。
渡した地図と紹介状は手違いだぁ?
…仕方ねぇな。
[電話の向こうの相手と暫く会話を交わしていたが。
踵を返し、元来た道へ戻る。
数時間後、来たバスに乗って男は村を去った]
[半袖半ズボン、夏の子供にふさわしい格好だ。
すんなり伸びた手足は日焼けというにはやや色が薄いが]
おじさん、ここのひとやないね。
あたしもやけど。
ひょっとして、迷子?
[蝉の鳴き声。
アゲハチョウがひらりと
夏とは思えない厚着をした男の頭に、止まる**]
懐かしいわ。何年ぶりかしら。
[都会住まいらしい洗練されたファッションに身を包む女が汗を拭きながらつぶやく。]
おばあちゃんが生きてる間に顔見せられて良かった。
へぇー。お祭り。
[神社へと続く参道に、準備中の露店が建ち並ぶのを見てつぶやく。
昔、祖母の家に遊びに行ったとき、1回祭りに行ったことがあるのを思い出すと子供に戻った気が*する*。]
[さほど大きくはない湖。
湖面に浮かぶのは水芙蓉。
――シャッシャッとスケッチブックの上を鉛筆が走る]
・・・。
[まばたきするのも忘れたかのように視線は目の前の景色と紙面を行き来する]
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