182 放課後の図書室
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[考えてもなかった状況に思わず見つめ続けてしまっていたらしい。
溜息が聞こえてすぐに、車椅子がくるりと反転して、こちらに向いたのに、目を逸らすのをうっかり忘れた。
しまった。
思った時には既に遅く、視線はバッチリとぶつかってしまっているような……。>>7
今から目を閉じても手遅れか。目を泳がすことだけは堪えて、平然を装った。
頭を少しだけ浮かせて、会釈だけしてみる。]
(15) 2015/06/05(金) 11:27:10
[やはり見られていたようだ。
目が会うとその男子生徒は会釈を返してきた。>>15
会釈をされるとは思っていなかったので一瞬目を丸くするが
すぐに見られていた理由に思い至り、憮然とした。
車椅子に乗った生徒なんてそう多くない。
『2年B組の近藤チカノさん』と言えば
『ああ、あの車椅子の…』と答えが返る程度には、顔と名前が知れ渡っている。
だから好奇の目で見られることには慣れているし、普段なら気にしない。
いや、気にしないよう努めているのだけれど。
この時は虫の居所が悪かった。]
(16) 2015/06/05(金) 12:59:47
……何か?
[場所をわきまえて、抑えてはいるものの。
明らかに不機嫌そうな声を発してしまった。]
(17) 2015/06/05(金) 13:00:16
……いや、
[言葉に詰まる。
不機嫌そうな声色に、必死に言葉を探した。
好奇の目を向けられるのが好きな人など滅多にいないだろう。>>17]
……あんまり、ここでは見ない顔だから。
[辛うじて出たのはそんなセリフ。
あながち間違いでもないし、少し補足を欠いただけだ。
相変わらずの無表情のままではあるが、すっかり眠気は覚めていて。
しかし生まれつきのぼんやりとした目でチカノを見据える。]
……何か探し物か?
(18) 2015/06/05(金) 14:53:48
[本棚と本棚の間。
本を探そうと思ったけれど、思ったような本がないなとぶらぶらする。そして、意味のない箇所で立ち止まった。
佇むだけの、本人にも自覚されない遊び。
隠れているわけでもなければ、堂々とするわけでもない。
ただ、本の多いこの場所にいるのが楽しかった。
ひそひそ話をして顰蹙を買うような楽しみよりも、こちらの方が好きだ。自分らしい。
思いながら室内を見てみると、とある二人>>17>>18の姿が映った。どうも雰囲気的に、雲行きが怪しい。]
(19) 2015/06/05(金) 19:03:41
[「ちょっと男子ー!」
いや、私はそういうキャラじゃない。
「まあ待ちたまえ、何があったんだい」
そういうキャラでもない。
それに、近藤さんといえば車椅子で有名だ。私は向こうを知っているかもしれないけれど、あっちは私のことなんて知らないかも。どっちが悪いかなんて分からないし見てもいないのだから、私は何も見ていない。そう、それでいいのだ。
何だか相手の男子は頼りなさそうだったけれど、助けを求められたわけでもないし。目を逸らして別の方を見る。]
(20) 2015/06/05(金) 19:06:09
[私はもともと、そう派手な人間じゃない。友達の中でもいちばん地味だという自覚もある。明るくて人気のあるナオはみんなから好かれてるし、弦楽部のハツネなんて男子からも女子からもすごくモテる。……もしかしたら、幼馴染のあいつよりも地味かもしれない。眼鏡の癖に生意気だぞ。
頭の中でぐーるぐる。
誰にも言わない思いはコーヒーとミルクみたいに混ざっていって、変な自己嫌悪かはたまた八つ当たりか、することもないしぐるぐるとその場で回ってみたりして。目が回ってきた。私は何をしているんだろう。]
(21) 2015/06/05(金) 19:13:45
[見ない顔だと言われたのは意外だった。>>18
相手も自分のことを知っているはずだというのは、思い上がりだったのかもしれない。]
…そう、ですか。
ああ、いつも寝てますもんね。
[少し面喰いつつ、皮肉交じりにそう結論づける。
授業を終えて迎えを待つ間、大抵は図書室か教室で時間を潰す。
名前や学年こそ知らないものの、いつもここで寝ている彼のことは何度か見たことがある。
本も読まずに寝るくらいなら、なぜ帰らないのだろうと不思議に思っていた。]
(22) 2015/06/05(金) 19:14:18
…別に。
[不機嫌な表情のまま、探し物かという問いに反射的に答えて、少し後悔する。
探していた本のことを話せば、取ってもらえるかもしれないのに。
できることは自分でしなさいと言われて育ったせいか、人に助けを求めるのはどうも苦手だ。]
気をつけた方がいいですよ。
あなたにとっては見てるだけでも
このご時世、セクハラとかストーカーとか言われかねませんから。
[気取られないようにと焦って、さらに皮肉を口走ってしまう。]
(23) 2015/06/05(金) 19:17:30
[違う。
こんなことが言いたいんじゃない。
これじゃ私、ただの嫌な女だ…]
(24) 2015/06/05(金) 19:17:58
[いつも寝てますもんね。>>22
本も読まずに。そう見えない言葉がついている気がして、少しだけ反応に困った。
確かに、図書室は本を読むための場所だ。
寝るための場所では勿論ない。
そう思うのは至極当然なことで、口に出されたとしても肯定するしかない。
こんな体勢なままではいけないかと、伏せるのだけはやめて座り直した。
背はピンと伸びずに猫背のまま。]
(25) 2015/06/05(金) 19:49:10
[いつも、ということは……彼女もよくここにきているのか。
自分が寝てて気付いていないだけで。]
……寝に来てるようなもんだからな。
[今更取り繕う必要もないだろうと包み隠さず返答する。
チカノを視界から外して。
と、そこでいつも見かける女生徒の姿が見えた。>>21
こちらを見ていたようだが、すぐにその瞳は逸らされてしまった。
助け舟は期待できそうにない。
……面倒事にならなきゃいいけど。
思いながら、またチカノに視線を戻した。]
(26) 2015/06/05(金) 20:02:37
窓の外見て溜息なんかついてたから、気になったんだ。違ったら悪かったな。
[人を寄せ付けないような冷淡な態度に気圧されて、一応小さく頭を下げる。
ここで彼女の逆鱗に触れて問題となったら、親に連絡されでもしたら。
背筋がすぅっと冷たくなった。]
……う、
[女子を見ているだけでそんな言いようをされる御時世なのか。>>23
なんて男の生きづらい世界になってしまったのだろうと、内心顔を顰めた。
では、これ以上話しかけるのもセクハラに含まれるのかもしれない。
なんと理不尽な世界なのだろうか。]
……気をつけるよ。
(27) 2015/06/05(金) 20:03:26
っ…
[図星を指されて言葉に詰まる。>>27
弱みを見られた気がした。
強気なのは弱みを見せたくない裏返しでもある。
余計なお世話だと、声を荒げそうになるが
思いのほか彼が素直に引き下がったので、拍子抜けしてしまった。]
わ、わかればいいん…だけど…
(28) 2015/06/05(金) 21:01:28
・・・・・・
[そのまま沈黙。
なんだかこちらが悪いことをした気分だ。
いや、実際、彼は見ていただけなのだから、何も悪くないのだけど。
完全に八つ当たりなので、むしろこちらが謝るべきなのだけど。]
(29) 2015/06/05(金) 21:03:16
…っ
[ごめんなさい。
喉まで出かかった5文字を、結局飲み込んで。
慣れた手つきで車椅子のハンドリムを回しながら、そのまま図書室の出口へ向かった。]**
(30) 2015/06/05(金) 21:04:15
……。
[沈黙が続いて、気まずい空気が流れた。>>29
こちらから何か言うべきなのか、いや、話は終わりということで去っていくのか?
変化の少ない顔とは裏腹に、頭の中では色んなことを考える。]
……あ、
[挨拶もなしに行くのか。
出口へと向かっていってしまったチカノに小さな不満を一つ、心の内で零してしまう。>>30]
(31) 2015/06/06(土) 08:26:43
[まあいいか、どうせもう話すこともないんだろう。
クラスが同じというわけでもない。
ただ、よくここを使うというだけだ。
ここはお喋りをする場所でもないし、自分は基本的には寝ている。
話しかけられるということはほぼないだろう。
また机に伏せりながら、元の静けさに戻ったそこに一つ息をつく。
息苦しい空気から抜けられた安堵感と反して、胸中には小さなしこりが残った]**
(32) 2015/06/06(土) 08:27:53
(33) 2015/06/06(土) 11:54:01
[信じられないのはわたしもです。
クラスメイトが口にした七音に
全力で同意しそうになったけど
わたしはどうにか言うべきことを言った]
(34) 2015/06/06(土) 11:54:19
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