情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了
[1] [2] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
[伏した小鳥遊を仰向けに寝かせ、須藤の上着でその身を覆う。 髪を梳いて整えれば、かんばせはまるで眠っているようでもあり。
スカートの裾を押さえながら立ち上がり、軽く埃を払った。
扉を背にする寺崎の前を通り過ぎ、テープレコーダーに手を伸ばす]
――手を汚すまでもありません。
[寺崎に憑いた"何か"に向けてか、視線は動かさぬままに感情のこもらぬ声を漏らし。
カチリ、と、微かな音を立ててテープを取り出し、自らのポケットの中に滑りこませた]
[冷淡に響く言葉が耳を通り過ぎる。彼が消滅するとき、その声を聞くことが出来るのだろうか。
消滅したら―]
いかないで。
[寺崎の前に立つと袖を引いて言う。二宮の遺体を運ぼうとした時と同じように]
行っちゃやだ……。ケンくん、行っちゃやだぁ……。
[駄々っ子のように泣きじゃくりながら、冷ややかな視線を向けられようと真っ直ぐに見つめる。
例え寺崎の全てが嘘だったとしても、自分の中に芽生えた思慕の念は本当]
六花、ケンくん…と、一緒に帰りたい……。
[それが叶わないと知っていても、言わずにはいられなかった**]
[座席に腰を掛け、スケッチブックと鞄を膝に乗せたまま、携帯電話を取り出した。
開いてみれば、届かなかった発信履歴や送信に失敗したメールたちがずらりと並んでいる。
汽車内に連れて来られてからというもの、外部への連絡は取れずじまいで。
窓の外に目をやると光明は徐々に広がり、人工的な明かりに支配されていた列車内にも、幾本もの光の筋が差し込んできていた]
………僕に、その資格は無いよ。
[こちらを向く少女の頬に手を触れ、その涙をそっと拭う。
彼女に返す視線には、悲愁の色が滲んでいたかもしれない。]
[それ以上は何も言えなかった。優しい手の温もりに今までの記憶が溢れ出る。
同じクラスだった時に何度となく声をかけてくれて、
何度となく注意されて、
何度となく、こんな風に涙を拭ってくれた。
その記憶全て幻となってしまうのだろうか。
悪あがきをするかのように最後まで寺崎の服の裾を握りしめていた**]
一緒に帰れないことくらい、分かってたはずなのに…。
[どうしてあの時、そんな約束をしてしまったのか。]
……六花ちゃん、ごめん。
[約束を守れなくて。
服の裾を掴む彼女の手に触れ、力なく微笑んだ。
車内が光に満たされるその時までは、せめてこのままで――**]
[1] [2] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了