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…――
獏…獏。
…世界の歌は聞こえるですか。
せかいは…このせかいはうつくしいと、
教えてくれたあの獏は…偽だったのでしょうか。
そしてライデンにとってここは、
捨てようとしていた、いろのない――せかい。
ほんとうは、そうなのですか。
でも――
[蒼白な手を胸で組みおいた後、
惜しむように伸べて怪人の袖を、握りしめる――]
[告げる声は初めての揺れを含んでいた]
それでもルリは、
ライデンのこと、思い出したいのですよ。
――カナメ。まだ言うですか?
ペケレは…しっぱいさく。
[一音、一音、噛みしめ]
まるで物に対する言い方です。
聞きたいのです。
どうして皆、目覚めたですか?
ペケレに食べられる為、ですか?
[カナメは、違う、とこたえる]
[博士はそれを望んでいないなどと、さらにつごうとしていたが――]
[ポケットの中のカギを探る。
その温度は全てを受け入れ、自ら変わることはない]
[何を、とは付けず、
おしえて。たすけて。と求めていた*]
ありのままの世界が美しい。
そこまで理解していながら。
君には、ガラスを突き破って世界をその目で見る勇気も、還る勇気もありやしない。
この閉ざされた箱庭世界の歌に囚われて。
ただ、喰らうだけ。
星の命すら、いずれは宇宙(そら)に還る。
その過程が不自然でも。還れば結びつく、自然。
けれど、生きて結びつく自然に戻れるのであれば、それに越したことはない。だから。
だから……時が来て目覚めた時は恐れずに。その目で見、その耳で聞き。その肌で感じ。世界を見るんだよ……。例えそれで自ら滅んでも。それは自然のサイクル。
あの二人も。何か方法が見つかるかもしれない。また、あの時のように過ごせる方法が。
賭けてみよう。未来に――
[″結ぶ者″は、その目を静かに閉じて。かつてその言葉を伝えた者は……*]
…ひとの手は、目の前のものに想いを乗せる。
[ミナツの手に在る、色鉛筆とスケッチブック。
プレーチェが抱える、黒い上着とぬいぐるみ。
ユウキの胸ポケットには、ペンが挿されたまま。
レンはあたたかなマフラーと共に、強い想いを。
―――皆、みにくいはずの人工のもの―――]
[>>+50俯いていた顔を上げて、上着の主を見上げた。
口を薄く開いたが何も言えずに、離れる背中を見送った。
墓碑のある、向こうの世界は霞がかって夢幻のように見える]
箱庭の楽園。
作りものは、オリジナルを越えない。
[朗読するような調子で呟いた、その意味を娘は知らない]
ルリ。
[何かに潰れてしまいそうに見える少女の名を、ただ呼ぶだけに留まる。
羊を模した布地を抱きしめる手に力が入った]
カナメは言っていたよ。
それでも生きるしかないんだって。
「それ」って何だろうね。
[問い掛けるわけではない口ぶり。
“カナメ”のことは、とうに*見失っていた*]
箱入り娘 プレーチェは、ここまで読んだつもりになった。[栞]
掬う…
[聞こえた言葉をかみしめるように。]
どうやら僕の柄杓は、底が抜けてしまっていたらしい。
…無理に繋ぎ留めず逝かせていたら、彼は壊れずに済んだ?
[愚かな行為への戒めのように、
自ら命を絶とうとして果たせなかったものへの処置も、それでも避けられぬ後遺症も、死よりも辛い責め苦。]
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