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[1等車の二両目、衛兵さんたちは見当たらず]
ふむ。出払ってるか、
それともまだサイコロの所為で目を回してるか?
まあ、どちらにしてもちょうどいい。今のうちだな。
[早く通り抜けてしまおうと扉の方を見ると誰か来るような]
……む?
―運転室前―
[扉の周辺では、衛兵達がおろおろと右往左往している。
「頭」を人質に取られた格好になり、すっかり統率を無くしているらしい。
画商に気づき押し留めようとする兵士に向かって叫ぶ。]
友達が!運転手のイワンが中に居るのだろう?!
イワンーーー!無事かーーー?!
[大仰に叫ぶと、兵士達に向き直り]
何をぼさっとしておられる!相手の要求は「財宝」なのでしょう。
閣下のお命と、イワンと…、何より我々の命が掛かっておるのです!
一刻も早く持ってこられるが良い!
いや、相手に渡すまでではなくとも、ちらりと見せて取引材料にすれば良いのです…!
[と、小声で付け加える。]
[が、こんな非常事態にも関わらず、衛兵たちは顔を見合わせ、困惑している。]
(まさかこやつら…。
財宝の在り処を、本当に知らんのか…?
知っていたのは、ミズノフスキー閣下、その人だけなのか…?!
はてさて、どうする…?中の男をどう説得する?)
[こちらも、いささか困惑している。]
−コンパートメント−
[ハラショー、ハラショー。聞こえるのは歓喜の声。
何がどうハラショーなのかまでは聞こえなかったが、閣下という名詞はあった]
(…なるほど?)
[実際の人物なのか。それとも、変装なのか。
ワインのボトルから白い葡萄酒をグラスに注ぎながら手元は動く]
『事態は列車よりも早く動く。
甘し話に吊られて来る者どもの何と多きことか』
…まったく、楽じゃないね。
[軽く息を吐き出してからチョコレートをひとつつまんだ。
舌の上でほろほろと溶けていく甘さと固さ]
[人影は急いでいたようで、見つかるかと思ったがそのまま行ってしまい。]
うむ。セーフ。
[自分は2等車へ急ぐ]
[と、ふと矛盾に気がついた。
こんなにも遅くなったのは、自身も今の閣下が「贋作」と知っているからなのであるが。]
えーと?「モスクワの白い鷹」?
財宝の在り処なら、今君が人質にしている、ミズノフスキー閣下が存じておるのではないだろうかね…?
[音には気付いたけれど、それはおくびにも出さずに気付いてない振り。
そして何げなく座り込み、ガーダーにある薬を一つ取り出して、ポケットに入れ、密やかにカードを握る手は戦うそれになっているが、優雅に歩き続ける。]
風が強いわね。
[そう呟きながら、周囲を見渡す。]
─運転室─
そう思わないかね。君。
[運転士の向かいにしゃがみこんで、笑顔のまま小銃を向ける]
「おかしい」そう、顔に書いてあるよ。
「ミズノフスキー閣下がこんなおかしなことを言うわけが無い」その通りだね。
[実に楽しそうな表情]
はー、疲れた疲れた。だけど、ま。
一応「お宝はある」ことと、「所在不明」なことは分かったか……
[うーん、と頭を掻いて]
あー……そういえば「閣下がつかまった」んだったか。閣下には興味ないけど。
お助けして差し上げたらちらーっと……見せてくれたりするかな。財宝。
[鞄をひっかきまわして袖に仕込んだワイヤーよりも太いものを取り出した]
おっし。行くか!
[一等車へと急ぐ]
[手帳の一番後ろを開く。
そこにあるのは古い家族の写真]
…取り戻さなくては。
[呟く。
写真の中の小さな少女は、眼鏡の主に何処か面影が似ていた]
…Taistelen.
Meidän ylpeillä on uudelleenpyydetyistä
[それは、ロシアという国によって奪われた言葉だと気づくものはいたか。
誰一人としていない部屋でつぶやいた言葉。
手帳を再びしまうと廊下へと出る。何やら前方が騒がしい。
自然と足はそちらへと向かう]
ミズノフスキー閣下の部下は無能ぞろい。
ロマネス家の秘宝を持ってくるものも居なければ、突入するものも居ないし、主人すら守れない。
[銃口を運転士に向けたまま、ゆらりと立ち上がる]
──少しは楽しくなるかと思ったが。
[引き金に指をかけた所で>>44>>46が耳に入る]
『残念だが、すでに奪われた後のようだ。
今は、どこぞの悪漢の手にあるようだよ』
[低い声で外に向かって応える]
あの声はじゃないな……誰だ?
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