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[その手の内の指輪を崖の向こう、開けた空中に向かって投げた。指輪は超豪速球のように飛んでいき、すぐに消えて見えなくなる。それを確認してから、溜息を吐き、小さく笑った。どこか寂しげに、だが清々しげに]
じゃ、電話するか。
[そして、男は目的を果たした。……通話する途中で何かが背後を通った気がしたが、気にしない事にした。例のハリセンも山荘の部屋に忘れてきてたし。]
刑事 ポルテは、へい、タクシー!と片手をあげた。[栞]
[男が山荘に戻ってきた時、レンの姿はそこにあったか。どこかに消えてしまっていたのかもしれない。
嵐の中で起きた嵐のような事件は、静かに終わっていく。静かとは程遠い性格の男を*残して*]
終わらせたよ……!
色々と無理矢理ですが気にしません。
電話は警察やら病院やらに。
ちょっと一旦離席です。そのまま寝るかもですが!**
ズイハラさんお疲れさまです…
ツッコミの鬼というかレシーブの鬼ですね!
イノシシタクシーに始まり
イノシシタクシーに終わるすごい村でした。
お針子 ビセは、刑事 ポルテを後ろに乗せた。環八まで。[栞]
―数刻前 / プレーチェの部屋―
[兄に見守られて部屋の中へ入り。
疲れた体が倒れこむのは飛び出してきたその時のままではあるが、それでもふかふかの柔らかなベッド]
……くらくら、する。
いろんなこといっぱいありすぎたから…かな……
こういうときこそ、落ち着くのしなくちゃダメ。
ひつじくん。
[ひつじくんをぎゅっと抱きしめる。
視線の先には机と、その上に置いてある小さなアニマルフィギュアの小さなひつじ。]
そうだ、小さなひつじくん。
ねえ、ひつじくん。小さなひつじくんはね、ひつじくんのきょうだい。
妹だよ。日本語きちんとなおす、小さなひつじちゃん?
ひつじくんの妹は、お兄ちゃんの傍にいてもらうの。
おそろいで、一緒。
お名前つけて、お兄ちゃんにあげる。元気になるといいな。
よいしょ……
足のかんじ、変……どうしたんだろう。痛いのは、ない……ですけど。
そうだ、べたべたはあとで洗わなくちゃいけないです。約束。
[ベッドから起き上がり机に向かうふらつく足取りはひどい疲れ故のものか。それとも……]
[椅子に腰掛けて。
ひつじくんは小さなひつじと並んで机の上に。]
ねえ、ひつじくん。
変なこと。
お兄ちゃんに聞かれた。変なことはなかったか。
心当たり。
プレーチェはね。何かわからないけど、「知らないということ」を「知っている」です。
パパとママ、プレーチェに隠し事。昔からずっと。プレーチェだけが何か知らないってわかる。
何を隠してるかはどうやってもわかりませんです。なぜを、教えてもらおうとしてもいつの間にか話、そらされる。
プレーチェはプレーチェなりにがんばる、勉強頑張って日本来た。
やっと会える思ったのに、日本に来ても見つけることができなかったは、ちょっと変。それはわかる。
[瞳の中の幽かな揺らぎは疎外感からくる感情か。ひつじくんの頭を優しくなでる。]
……おまもり。
[小さなひつじの頭にふれて。優しくなでて]
お兄ちゃんと一緒にいられますように。
離れ離れはいやです。やっと会えた。
プレーチェがお兄ちゃんの傍にいれない時は、
小さなひつじちゃんが、お兄ちゃんを守るです。
守ってください。
そうです、お名前を分けてあげるです。
そしたら大学とお仕事で会えない時だって、いつだっていっしょ。プレーチェといつもいっしょ。
[小さなひつじの名前を綴った、兄に宛てるメッセージカードには想いを込めて。]
……ここでの事は、「わからないこと」と関係があるですか?
お兄ちゃんがどく…さつ…されちゃうのは嫌です。
お兄ちゃんだけじゃない。レンくんもズイハラさんもポルテさんも、みんな無事がいい。誰も狙われないで、誰も犯人じゃないがいい。
みんな元気ない。プレーチェが元気にする。お兄ちゃんだけじゃなくてみんなを元気にする。大変なときだからこそ。明日になったらお歌を歌ってはげますです。
最初は、お兄ちゃんにプレゼント。
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