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[不意にルリに問われてきょとんとした表情で見返した]
ウィルス?ワクチン…僕が?
[緩く首をふり掛けて、止めた。
ふう、と息をついてふわ、と笑みを見せて]
わかったよ。やってみる。
どこまでできるかわからないけどね。
[ルリの腹部とつながっているポケコンを受け取る。
ルリに座るように促して自分も椅子に座り、
コンソールが開いたままのポケコン画面にコマンドを入力していく]
[この解析が成功すれば、少なくとも3体のロボットを正常に戻すことができるかもしれないと思うと自然とポケコンを見る視線に熱が入る。
入力したコマンドによって解析が始まり、コンソールの横に別のウインドウが開いて赤いバーが上下に動き始めた。
動きが止まったところでバーが赤いままなら別の解析コマンドを入力していく。
『now analyzing・・・・・・・・・・・・』
時の流れと共に「・」が増えていく。それを、半ば睨みつけるようにして見つめていた]
[バーの色が黄色になって、止まった]
第一段階クリアか。次は第二層の解析…。
[ぶつぶつと独り言を言いながら別のコマンドを入力する。
さっきまでバーが上下に動いていたウインドウに赤い球体が現れて表面の色の濃淡を変えながら点滅を始めた]
ルリちゃん、身体に異常は出ていないかい?
何かおかしくなったらすぐに言ってくれよ。
[ポケコンが多少補助に入っているものの、解析のために動いているのはルリのいわば頭脳であるチップだ。かなりの負荷がかかっているのを察して声をかけた]
[捨てたはずの石を拾い集める。
ルリに貰ったブレスレットのなれの果て。
手の汚れごと水道でゆすぎ、それをルリへ差し出した]
お守りなんだろ、これ。
うん…変な感じ、は、するけど…これくらい大丈夫、だよ…!
ユウキが頑張ってくれてる、から…ルリも、頑張る。
よく考えたら、さー…ルリの中、いっぱい見られちゃってるのよね。もし、恥ずかしい思い出の記録、とか…突然出てきちゃって、も、笑っちゃ、いやよ?
[負荷のせいか喋り方がぎこちないが。心配してくるユウキに、いたずらっぽい笑みを返す。]
おまもり…!
あり、がと…!ハツネ。
[にっこり笑い、解析の妨げにならない程度に腕を動かして、ブレスレッドの石をその手に受け取った。]
そうか。もうちょっとだから頑張ってくれよ。
[ポケコンに点滅している球体の色が赤から朱色へ、そしてオレンジへ変わっていく。
やがて黄色くなって点滅速度が上がって…停止した]
はは、大丈夫だよ。
こっちからは命令を送ってるだけだから、他のデータは見えてないよ。
…多分、ね。
[願わくはルリの大切な記憶が負荷で飛んだりすることがないように、と思いながらルリの悪戯っぽい笑みに言葉を返す。
そしてポケコンのコンソールへウイルスの最後の層を解析するためのコマンドを叩いた]
コレがうまく行けば、終わるからね。
う、ん。ルリ…頑張る。
[ユウキを安心させるようににっこり笑うと。
ここが正念場、と言わんばかりの真剣な表情になり、最後の層の解析に集中する。]
[最後の層の解析は3種類のバーが伸び縮みしている。
すべて赤い色が徐々に黄色がかっていく]
緑色になれば解析は完了なんだ。
[ルリの機能を心配しつつ、黄色から緑になりつつあるバーを見つめる。
3本のバーの動きが伸び縮みしながらゆっくりと揃っていく。
最後に同じ長さで止まり、緑色に点灯した]
解析は終わり。データを元にしてバッチファイルを作るぞ。
[ポケコンから入力していくのはいままでのよりも長い命令文。
何度も入力キーを叩いてはコマンドを打ち込んでいく]
これで、最後だ。
[そう言って『make /autorun -ac /get > I:\batch』と打ち込んで実行キーを叩く。
コンソールに文字列がかなりの速さで流れていく]
うまくできるといいけど。
[数分後。
読み取る間もないくらいの文字の流れが、ぴたりと止まった。
一番下段に表示されているのは『complete make』の文字と、点滅するカーソル。
ポケコンの中に出来上がったワクチンプログラムを取り込んでから解析プログラムを終了させた]
じゃぁ、ワクチンを流すよ。準備できたら教えてくれるかい?
[ルリからGOサインが出たならポケコンからワクチンプログラムを送る。
ルリの中へ渡ったワクチンは自動でウィルスを見つけて駆除するはずだ]
たのむ、うまくいってくれ。
[作成に失敗したワクチンは、ウィルス以外のものを消したりすることがあると聞く。
感覚的に失敗はしていないと思うが、それでも一抹の不安は残る。
祈るように、ルリの様子を*見ていた*]
[とりあえずルリは大丈夫そうだと判断すると、立ち上がり廊下へ向かう]
せんせー、あとでこっちも手貸してよ。
[擦れ違い様に言って、ホストコンピュータのある部屋へ]
ああ。
ルリちゃんのウィルスの駆除がうまくいったらね。
[ハツネの後姿に返事を返す。
不完全なままウィルスが増殖したルリにはすぐ駆除を行ったが、
同期しているハツネとオトハには駆除をするか否かの選択は彼女たちに委ねるつもりだった]
ロボットはいつまでも人間が自由に扱っていいもの、ってわけには行かなくなると思うんだ。
…そんなこと言ってるから、研究者に向いてないんだよな。
[独り言を呟いて自嘲気味に笑った]
レンは何を探してるんだ?
イヴに何を望んでる?
[モニタを眺めるが、表示されている内容はさっぱり理解出来ない]
なぁ、レン。
ありもしない記憶を、自分のものだと思い込むのは気味が悪いよ。
犬に追いかけられただの、弟と一緒に迷子になっただの、どこの誰の記憶だ。
これがバグなら、私は生まれた以後の記憶しかない方がよっぽど清々する。
そうなっても破棄されない道筋は、ありそうか?
[傍らの蝶を通して、声は届いているのかいないのか。
反応はない]
[振り向いた老人の手が、自分の頭に伸びた。素直に頭を差し出し、撫でてもらう。]
「そう、お前はこの子をもとにして、作られたんだよ」
[暖かい老人の手が、優しく撫でる。その感触をセンサーで感知していた。]
私では、まだだめですか? 乙葉さんには、なれませんか?
[心から訊ねる。自分が作られたのは、『乙葉』になるためだから。]
「オトハは、オトハだ。この子になれなくても、いいんだよ」
[老人の声が優しく耳のマイクに響いた。]
それでは、ダメですわ。私が作られたのは……
「オトハ、無理はしないでおくれ」
[言いかけた言葉を遮るように、老人がいう。]
無理なんて、してません。ですから、そんな顔をなさらないで。
[寂しそうな色をたたえる老人の瞳を覗き込んだ。]
―再生終了―
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