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[破けた箇所にあわてて手を当てる。
裂け目からうっすら血の滲む新しい傷口と、いくつかの古い傷跡が見えたかもしれない]
(あ、どうしよう。昔の傷まで見られちゃったかも)
わ、わたし着替えてきます!あの、危ない所をありがとうございました!
[ぺこりと頭をさげて、怪しまれぬようゆっくりと歩いて三等車へ向かう]
>>75
ええ……
[と説明しかけたところで立ち上がる少女を見上げる]
はい……では、お気をつけて。
[笑顔で見送った]
ええ、確かめられたら、秘宝はもうこの世にさらされているわけですし、ね。
[うそぶく様子には大仰に、驚いた仕草をして見せたりして]
さすがですね、頼もしいです。
[笑う相手に、頷いた]
/*
やべぇ、誰がどこにいるのか把握できてない。一本道な列車だと場所の矛盾が出るなぁ。
三等車にいるひと…誰だろ。誰かいるかな。
[と、食堂車に向かう途中で。
ふと、思い出す。
昨日、オラヴィの部屋を訪れたあと、黒い兎を置いてきたことを。たぶんあれば、自分の腕につく兎と酷くよく似て――]
…まあ、いいでしょう。
[引き上げる。そこに誰かが映ってくる可能性があるかもしれない。
このような事態が起きた以上、もしかしたら衛兵が入ることになるかもしれない。
他の客が料金を上乗せにしてくることも鉄道が客商売である以上あり得る。
自分は───]
(まあ、正教会に保証されているだけマシか)
[嘆息一つ。脇腹をもう一つ撫であげてからグレートブリテンと
呼ばれた舞台俳優の客室を後にする。
それから一度自分の客室へと戻った]
[自分のコンパートメントへと戻り、水差しの水を杯へと移して飲む。
自分の部屋もまた同じピェルヴィクラース。
そこに、先程見てきた舞台俳優の部屋の幻影を重ねる。
違和感があれば、思い出せるように部屋の中をうろうろと歩いてみて]
…。……?
[ピンときた何か。というには、あまりに些細だ。
けれどガラスの杯を置いて、足は再び舞台俳優の元客室へと向かう。
ノヴォニコラエフスクまで、あとどれぐらいの距離があるだろう。
アルタイの黄金産地から北につくられた新しい街。
事態も、新しい展開を迎えようとしているのかもしれない]
[アイノが去ったあと、少しだけ残念そうにため息をつく]
一般人かー……。
爆弾とか持ってないかなと思ったんだけど。残念。
さて、どうなったか聞いてくるとするか。
[腕をぐるぐると回しながら適当に歩き出そうとしておなかが鳴る]
…──。
[今の我が身を思い出し、ため息をつくと人気の無い隙を見計い手洗いへ、ピンクのドレスを着たマティアスに戻ると、2等車と3等車の間にある屋台で注文を始める]
[とんぼ返りとまさに言うに相応しいような足取りで再び
舞台俳優の部屋へと戻って来たとき、扉の奥にそれがあった。
黒い兎。手にとってみれば、幾らか湿っている。
手にとって、顔の傍まで持ち上げて確認してみる。
酒の匂いも、血の匂いもしない]
…Musta kani.
Tiedätkö mitään?
[黒兎に問いかける。なにも答えが返ってくるはずはない。
返事を強請る代わりにその黒兎を手に客室を出る]
[自分のものでは無いけれど、回収したほうがいいかなと、思う]
すみません、ウルスラさん。少し、用事を思い出しました。
[食堂車に着いた頃には、そう切り出しただろうか。何事かを問われたら、忘れ物だと答える]
せっかくのお誘いなのですが、延期して頂いてもよろしいでしょうか。
[ぺこりと頭を下げて。そのまま一等車の方へと向かうだろう]
(ぐ…っ!そう来たか!!)
[密着した細い体を、そのまま反射的に抱き締めようとするが、軽くいなされ身を離される。
唇に残るのは、女の唇と同じ蜜の味。]
催眠薬―か?
あいにくと王家は毒殺が横行する場でな。
この程度の薬物には体が慣れておるよ。
[妖艶な笑みをそのまま楽しむ。
紙と木炭が無いのが残念だ、などとぼんやり思う。]
>>83
[食堂車を抜けて、一等車。昨日訪れているから足は迷うことなく進む。
違うのは、いくらか人の足音で騒々しいのと]
……っ
[その、男。その手に持つ、黒い、兎のぬいぐるみ。
最悪のタイミングだ、と、わずかに目をすがめるが。やや足をゆるめると、にぱっと笑って、何食わぬ顔で会釈して、通り過ぎようとする]
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