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―広間の片隅―
[皆の会話を聞きながら、子供用セーターを膝にかけて揺り椅子を揺らしていた]
……あたしたちは死人だというのかい……
あたしはどうやって死んだのだっけかねえ……
わからないねえ……
そもそもあたしは、死んだのかねえ……
[まだ、死を自覚してはいないらしい]
>>110
はは、確かに、そうだな。
死人が熱さを感じるなど……。
……しかし、なら今こうして会話している我々は一体なんだ?
身体がなければ痛覚もないというなら、視覚も聴覚もないのではないか?
[目の前にいるやっと掴んだ娘さえ幻だとでもいうのだろうか]
[考え込みつつ]
>>113 ヒューバートさん、僕らはいわゆる「霊魂」って奴になってるんじゃありませんかねぇ…。
>>110 墓守さん、しかし料理は温かかった。暖炉の火だって、外の寒さだって感じられた。
…いや、これは全て、「思い込み」なのか…な?
[少し蒼ざめる。]
>>115 いやいやいや、謝らないで下さい、墓守さん。こっちこそすいません。
[と何故か謝り、膨れたシスターについ口元が綻ぶ。]
意地悪…ね。
変わらないね、君も。
ごめんね。
[そしてこちらへも何故か謝罪の言葉。]
>>114コーネリアス
思い込み?……まさか。
触れられる。熱さも寒さも……目の前にいてこうして会話しているお前さえ「幻」だとでも?
……やっと帰ってきたんだ。
私の娘が。
それが、「思い込み」など。
…おれも…、"ぼっちゃん"と、
…同じように、思いますね。
[たましい。と、男は、単語をゆっくり口にして]
さあ。まぼろしといえば。
…まぼろしなのかもしれません。
ある。と思えば、そこにある。
けど、
ない。と、思えば──…、…
[と。そこまで云うと、自分の手元に視線を向けて]
… … …
[男は、最後までその先を続けず]
……まあ。布巾、洗ってきますよ。
[くるりと踵を返すと、あるいは洗わなくてもいいかもしれないものを洗いに、厨房の方へ足を向けた。]
そうだ、ドレスを。
ウェディングドレスを作らなければ。
ずっと娘の花嫁姿が見たいと思っていた。
キャロルが結婚するんだ。
[振り返ると、そこに見えるのは幼い少女。
村を飛び出した時のまま、成長を止めた記憶]
[ちらとヒューバートを振り返り]
"奇跡"って奴は、
… …あまり、長続きしませんで。
心残りを叶えたいンでしたら…
早めに──…、
… 動かれたが、いいかもしれません。
[独語のようにそういうと、男は厨房の奥へ消えた**。]
[コーネリアスから自分へ向けられた謝罪の言葉にしばらく俯いて、そのまま見えないように微笑んだ]
…謝らないで?
色々思い出すのも、私ったら本当に馬鹿ですわね…。
[汚れた十字架をずっと握ったまま]
でも、主の御許へと行かずに私達は何故ここに在るのでしょう…今も変わらず主はその御手を私達に差し伸べられておりますのにその手を取らずに…。
[そっと袖で目を拭い、顔を上げる]
[広間の隅におきっぱなしだった仕事道具を机に並べる]
私の作ったドレスが着たいと言ってくれたんだ。
こんなにうれしいことがあるか。
……すべて「幻」とは言わせない。言わせてなるものか。
[黙々と針を進める。沢山のレース。スパングル。]
[仕上げの残すのみだった真っ白なドレスは瞬く間に完成へと近づいていく]
ああ、キャロル。笑っておくれ。
お前はこれから幸せになるんだ。
たくさん、たくさん。
[よろよろと立ち上がり、座り込んだキャロルを抱きしめた]
[厨房へと向かうユージーンの『奇跡』に耳を傾けうわ言のように厨房を見つめ、ヒューバートへと向く]
思い出すのが遅くとも。
思いを成し遂げる為の時間が与えられている…?
で、でも、主はその時間を限らせていらっしゃるのですか…!?
せめて皆様の願いを叶える為の時間を…どうか御慈悲を…!
[そこでようやく十字架に付いた血を拭い、美しい装飾に戻ったそれを両手に祈り続けた]
[詰め寄られて]>>118 いっいや、待ってくださいヒューバートさん!
こんな事、僕だって初めての経験なんですから…!
でも…。
こうして皆で暮らせるのだと思っていたけれど。
意外と時間は無いのかも知れませんねぇ。
(>>126 ああ、あれは母の十字架。
母から教えてもらった歌はどんな旋律だったろう…?)**
>>122ユージーン
与えられた時間は少ない、か。
……ああ、そうなのかも、しれないな……。
[キャロルはまだ泣いていただろうか。]
キャロル。
辛い思いをさせてすまなかった。
愛しているよ。
[抱きしめ、頭を優しく撫でながら呟いた]
父さん!ああ、ウェディングドレス出来たのね…。
なんて…綺麗。
[ドレスを受け取ると体に当ててクルクルと回って見せる]
ね?似合う?
父さん、似合う?
[涙にぬれた顔でヒューバートに微笑んで見せた]
[水で珈琲を洗い流す。黒を流して白を戻す。]
…さあ。
[その、あるいは、必要のない仕事を続けながら、男は首を傾げた。]
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