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手向ける。
だが…何のために?
[部屋を出、あの赤い花を目指す。]
アン。彼女は…手向けられた?
それとも…
[廊下に響く、サンダルの靴音。]
「そんな事はありません。
確かに正しいものですよ」
本当かね?
[ええ、と肯定するカナメに黙り込む。何度重ねても同じように上滑りする問答。立ち上がり、部屋の外に出て]
>>162
悲しい?
[言葉を飲み込むミナツの表情を見つめていたが、ゆっくり瞬きをしながら空を見上げる]
“空”はこんなに、小さくない。
[言って、見上げた格好のまま瞳を閉じた。
人工の風が頬を撫でてゆく]
[公園を小さく切り取ったようなビオトープ。
日差し降り注ぐ下には、二人の少女。
少し離れた場所から、ぼんやりとそれを眺める。]
彼女も…僕のクランケだったとしたら。
[白衣に染み付いた香りを、知っていると告げた少女。]
彼女はちゃんと、僕のところから巣立ったんだろうか?
それとも…
なぁ、カナメ。
感情と記憶が結びつかないんだ。
漠然とした事実と、奥底に残った思いと…
それがうまくつながらないのは、意識がまだ剥離しているから?それとも、記憶統合野に障害か?
[岩に腰掛けたまま、鳥の鳴き声がする方へ視線を向ける。
佇むユウキの姿が見て取れた]
“せんせい”。
[音になるかならないかの大きさで言って、眼を細め薄く笑った]
─キッチン─
[風呂敷に包んでおいたおでんの味見をする]
うん。味がしみしみだわ。
美味美味。
[再びおでんをお鍋に置く]
まだある──けど。
確か一晩寝かせたカレーが美味しいらしいのよね。
[カレーを開けかけて、蓋をして戻した]
[少女がこちらを向いたのに気づいて、小さく手を振って傍へ行く。]
調子はどうかな?プレーチェ。
今日はちょっと顔色も良いみたいだ。
[さらりと出てきた言葉は、きっと以前と同じもの。]
>>168
変わらないことなんてない。
[シャボン玉用の液体が入ったコップを岩に置いて、羽織った上着のボタンの辺りを握り合わせた]
時が流れるのはそういうこと。
>>171
とても穏やかな気分。
[ユウキへ照れたような笑みを向ける]
お父さんとお母さんはいつ来るの?
[決り文句のような流暢さで言った]
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