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『もし』
[再びペンを取り、文字を書き始める]
『うわさが じじつなら』
『うまく ひとにまぎれているはず』
『かんたんに みやぶられるなら』
『ほろびたりしない』
[>>161 聞こえてきたイェンニの声に、自らの発言が些か無神経であったと気付くも、既に遅い。
振り返ることはせず、>>162ユノラフの言葉も背中で聞いた。
居間を出て、階段を上った先の廊下でレイヨとアイノを見つける。
辺りに漂う血の香は強く、思わず眉を顰めた。]
……どうしたんだい、こんなところで。
みんな居間に集まっているよ。……君たちも、早く行くといい。
[二人を居間に行くように促しながら、ニルス自身はドロテアの部屋へと足を踏み入れる。
目的は二つ。遺体を見ておく為と、それから―――。]
さて、思惑通りに人狼は動いてくれるかな。
[誰にも聞こえない大きさの声で呟き、小さく溜息を吐いた。]
…もし、わたくしが人間で、
ドロテアを殺されている、
被害者だったら…―――、
[なんというだろう。
想像を巡らせて、言葉を作る]
『おれからだせる じょうほうは これだけ』
『やくにたてなくて すまない』
[ユノラフの笑顔で、少し安心したのか、彼もまた笑顔を作る。いつもの笑顔より、少し弱々しかったけれど]
人に紛れているなら…、
…探し出して処刑するより他ない、のじゃなくて…?
[伝承に伝わる人狼への対処法。
それをクレスト>>173から引き取るように女は口にした。
声は震えを帯びていても、はっきりと響くだろう]
[アイノが口元を緩めるのに、ほっとしたような顔になる。
彼女の様子が昨日と違うことは、彼にとっては、些細な変化だった。
まだ出会って二日目だからというのも、ある。
彼にとって好ましい変化であるから、というのも、ある]
うん。なんだか、見分けられる人がいる、って。
それが、自分だってユノラフさんは、言った。
でも、本当かはわからないから、話したりしてたら、人狼が、ボロ出したりするかもしれないのを、待つほうがいいかもしれない。
食事がおなかいっぱいで食べられない、とか――
[見分け方は自分もわからない、と、困ったような口調ではあった。
続く言葉は、言わなかったが、ごめん、とさっき伝えた言葉を繰り返されて、頷く]
――うん。
食べてしまって、殺してしまって、ごめん、っ事なんじゃないかって、思った。
あそこで、ごめん、なんていうのが必要なのは、人狼だけ、じゃないかなって。
[言葉は少し、迷うように揺れる]
もしかして、クレストさんは、人狼になりたくなかったけど、なっちゃったのかなって。
覚えてるのに、自分じゃ止められないとか。
それなら、……どっちも、かわいそうだって、思った。
[俯いて、足元をみつめる。
息を吐きゆっくりと吸ってから―――]
…でも、ドロテアは、死んでしまいましたわ。
[静かな声は、いつもより低い]
『すこし やすみたい けど』
『もし レイヨがきたら つたえてくれないか?』
『あのとき とめられたのに きかずにはいって』
『てまをかけさせて ごめん と』
[アイノは単純なのかもしれない。そんな風に思った。
わかっている、彼女はいつもの様子ではない。
それを更に加速させたのは、自分だ。
理解している。止めないのが、自分の楽しみのためだ、と。
イェンニの声を聞いて、そっと笑みを乗せた]
――疑われたり、してないよね。
僕は、アイノに、クレストを疑わせることにしたよ。
君達に目は向けさせない。
[誰も疑いたくないという言葉には頷くが。
それではあまりにドロテアは無念だろうと思う]
[続く言葉も、聞き遂げて]
つらい、話、させた、な
[本人からは初めて聞く、故郷の話。
他人の無責任な噂よりも、ずっと突拍子もなく、そして、それ故に口が重いことも含めて察した]
馬鹿だよね、本当に。
僕の前で、ごめんなんて言わなければ、こんな風に疑わせようなんてしなかったのに。
[そっと思うこと。
心が痛むような事は、なかった。
どうせ僕も、すぐに死ぬ。そのつもりでいるのだ]
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