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けれど、今度はすぐにとかじゃなくていい。
ゆっくりでいい。
そんな時間があるかは分からないけど、それでも。
お前と、利害じゃなく…気持ちで繋がりたいんだ。
俺はお前に、これを伝えたくて──…、…
なんか、ごめん。
[饒舌を恥じたように、口を閉じた。]
お前は大事なものが多すぎる……。
そして僕はお前の大事なものを、
大事にはしてやれない、大事に思えない。
[3rdに向けた言葉を、
聞いていたのならわかるだろう。
あの女の言葉にどれほど嫌悪を覚えたか]
お前のことは、いい奴だと思う、
こんな所で、会わなければよかったって。
でも、もしこの世界じゃない所で会ってたら、
それが僕の世界なら……、
きっと口を聞くとこともなくお前を殺してた。
敵だから、っていうそれだけの理由で。
[出血は大分止まっただろうか、
押し当てている手をそっと離して]
……だから、
ここでお前に会えて良かったんだと思う。
なんか、うん……、
うまくいえないけど。
……ありがとう、
[不意に零れた感謝の言葉、
それきり何を言っていいのかわからなくて、
黙り込んだ*]
[傷口が、鼓動のリズムを伝えてくる。
当てられる手は布越しに、彼の体温を伝えてくる。]
…、ああ。
[彼が失望を重く語るのに、息を落とした。
返す言葉はなくて、それを受け止める。
言い訳は、ただ軽くなるだけだろう。]
うん、多いな。
…多いって、実は、言われた。
[誰からとも言わず、続ける。]
これだけの手しかなくて──…
零れ落としてしまうものもあって、でも、
…俺にはこれが、
ただ生き残るだけのゲームに思えないから。
勝手な、…もしかしたら鬼だから思うことかも知れないけど。
手を伸ばして、欲張りでも掴めるだけ掴みたい。
…──ただの我侭だと、分かっているけど。
[告げる。彼が応えないことに、強い感情はない。
多分そうだろうとは思っていた。
けれど伝えたかった。伝えずにいられなかった。
これも自分の、我侭だ。]
────、うん。
[大事なもの。
クルミの強さと優しさを守りたいと思っている。
大切なものに思っている。
けれどセイジの思い。
痛みを連想させる言葉に、告げられる言葉を自分は持たない。
だから、口を噤んだ。]
…そっか。
お前にいきなり攻撃されたら、きっと俺は死んだな。
こんな風に手当てをして貰えることもなかったな。
[架空の空想に、少し笑う。
何だか切ないような笑い方になってしまった。
傷口を押さえていた手が離される。
見れば新たな血の滲みは、随分と減っていた。]
……すごいな。
[ごく素朴な感嘆が漏れる。]
ここで会えて良かったと、思ってくれるか。
俺もちょっとだけ思ってる。
……こんなところじゃなければ良かった。
でも、ここじゃなければ会えてなかった。
ならばやっぱり、会えて良かった……。
[まったく、現実は子どもの言葉遊びじみている。
視線が少しぼやけて、目は心の裡を覗き込んだ。
ここで出会った全ての人に、それは言えるのだから。]
────、え?
[だから、それはちょっと不意打ちだった。
目を見開いて、セイジの顔を見つめ返す。
金の猫目を間近に見て、瞬いた。
ゆるやかに、口元に柔い笑みが浮かぶ。]
… うん。
こちらこそ。
───…ありがとう。
[嬉しくて思わず、大きく微笑んでしまった。
そのままちょっと間抜けに、そうして*いた*]
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