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[プレーチェが視線をフォルカーに移す。
それを機会に、こちらも視線をカウンターの向こうへ。
薄く染まったような頬に、酒を飲んでいるなら20歳以上なんだろうか、とまだ酔ってもいないのにぼんやりとした頭の端で思った]
ええ、お久しぶりです。
昨日が締め切りだったんですが、解放されたら何も食べずに寝ていたらしくて。
起きたらさっきでした。
[ではビールで、と頷く。
ネギヤの様子はちらりと横目で見るだけ]
ありがとう。
店屋物はいいので、ご飯をください。
ばれますか、やっぱり。
[目が赤いことを指摘されて。
僅かな苦笑を浮かべ、眼鏡を取ると目を擦った]
[プレーチェとフォルカー、エビコのひそひそ話には何も気付ないらしい。
ただ話が途切れて間が空いた時を見計らい、会釈をしたりはしたかもしれない]
……。
[用意されたおかずをゆっくり口に運び。
いつもよりどこか沈んだ様子で、でもなるべく気取られないように小さくため息をついた]
お仕事一段落されたんですね。それはよかったですね。
じゃあ…おはようございます…かしら?
あ、そうそう、先月の「小説[ダーツセット]」読みましたよ。新作載ってましたね。なかなか興味深い作品でしたよね。
はい、ビールとご飯ですね。
[ビールはすぐに瓶を取り出して、コップと一緒に差し出し、お酌をする]
ご飯もすぐに御用意いたしますね。
[そそくさと奥に引き込む。電子レンジの音がする]
[電子レンジの音がやむと、すぐにご飯をお茶碗に盛り、出てくる]
はい、ご飯お待たせいたしました。
…お疲れ…のご様子ですね。目赤いだけじゃなく、顔にも出てますわよ。
ちょっと、心配。
え、読んで下さったんですか。
[意外そうに]
興味深い……それは喜んでいいのかな。
[ダーツセットはお堅い推理小説。
自分のいつもの作風だが、新鮮味が足りないといつものように言われてしまっていた]
ええ、興味深いというかリアルですよね。奇抜すぎるのがあまり好きではないので、安心して読めますわ。
あれは…[チケット]が凶器だったってことで良いのですよね?あと、犯人の動機が[白雪姫になった]だったと。
あらぁ、小説家さんなんですかぁ?
[耳を傾けていた話に首を突っ込む]
チケットが凶器ですかぁ、面白そうですねぇ。
[読んでみましょうかぁ。なんていったり]
[ご飯を受け取り、礼を言う。
ポルテの言葉に、ため息が聞こえてしまったかと思い]
すみません。
この店であまり暗い顔はしたくないんですが。
[一拍の間]
編集に言われて新しいジャンルに挑戦しているんですが……なかなか上手くいかなくて。
[自分は元々推理小説を書きたくてこの世界に入った。
だがなかなか売れず、なかば強引に勧められ頷かざるを得なかった、というのが正直なところだった]
[内容を話し出すポルテに]
ああ、ダメですよ。
そちらの方に犯人がバレてしまいますから。
[すっと自分の口に人差し指をあて。
エビコの問いに、村下冬樹です、と改めて名乗った]
白雪姫は……。
案外ロマンチストなんですねと笑われました。
[チケットを水に浸し凍らせた凶器。
犯人が主役を演じるはずだった白雪姫の舞台のそれは、物語の重要な鍵だ]
あらぁ、犯人が分かってても楽しかったりするのが推理小説ですよぉ。
驚きも大切ですけどねぇ。
村下さん・・・ですかぁ。
私はエビコって言いますぅ。
[秘儀・自己紹介返し]
新しいジャンルですか。
難しいですね。村下さんの作品タイプからいうと、あまり奇抜な手法とかはファンに受けないような気がするんですよね。
[村下の作品は<<02>>作は最低おさえていた]
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