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[目覚めてからずっとそこにいたのだろうか。
外。管理棟からそう離れていない場所。桜の乱れ咲くのがよく見えるところに薬屋が立っていた。
思案げにただ立ち竦んでいる。何かを思い出そうとして、思い出せない人間のように]
――美事だ。少なくとも。
[鈴木緑花の驚きの声が遠くからしても、それに続いて人々がざわめき始めても、夢中で何事か考え続ける]
[詩を暗誦するように唇を開く]
“その年の桜は、それは見事に咲いたのです”
否、否……。そんなはずも。
[言い聞かせるように独りごちながら、ゆるゆると桜へ向かって歩く。桜の根元。そうも呟いた]
あれ。井戸の横にいるの遺体!?(笑)
昨日の乃木の前ふりをあれするのかと思いきや
どうしよう。
よし、とりあえずお茶だ。暖まろう。
[冷え切った風の中、男は歩みを単調に繰り返す。花びらを降り注ぐ桜の群れ。その中に踏み入る。
男は何も言わず、さくさくと、雪を踏みしめる音だけがする]
……。
[やがて薬屋は立ち止まり、何かを見つけ、屈みこむ。
半ば雪に埋もれた少女の姿。ああ。と呟く。
名前はなんだったろう。確か]
――アン。
[ふっと導かれたように来たのと別の方角を見た。
こうしてみれば井戸とそう離れていない。
彼女はいつからここにいただろう]
……昨日水を汲んでいたとき、君は既にここにいただろうか。
[嘆息した後、無表情に薬屋が呟く]
勝手に決めまくったけどごめんね。
怖い。怖いよー。ほんとに怖い。狼さんごめんね…。
な、悩んだんじゃよー?
こういうのは最初は村側がやって狼の居場所を煙幕するのが良いのかどうかとか
でも狼側にやりたいことがあるかなとか考えたけど
死体を見つけるのが深夜すぎても話がすすまないかなと……。
わー。でも。わー。こわ。こわー。
なんかあれだったらほんとごめんなしゃい。
エピでスライディング土下座するじゃよー。
井戸は冬樹のネタ帳とのリンク。
桜は乃木の昔話とのリンクでした。
[男は決心したかのように、ふー、と長く息を吐く]
まあ。ここに放置しておいて何くわぬ顔で「今日の晩御飯なんだい」と言うわけにもいくまい……。
おいで。帰ろう。
[そっと手を伸ばし、アンの遺体についた雪を指で払う。どこか困ったような顔で抱きあげ、立ちあがると、管理棟へと歩き出した。誰かが外に出てきているのが男にも見えた。冬樹だろうか]
ああ。こんにちは、だ。
[強張った少女の遺体を抱き上げながら建物の前の冬樹に歩み寄り、挨拶を返す。
冬樹の視線に返し、悼むように瞳を曇らせ]
ああ。そうだな。見たままだ。
――皆は揃っているだろうか。
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