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[ざぁぁ、ざぁぁ、と音がする。
海辺に建てられたアパートは、窓を開けるとすぐに波の音が響いてきた]
あー……ほんと、この音は変わんねぇなー。
[引っ越し荷物を解く手を止めて。
ぽつ、と零したのはこんな呟き。**]
― 自宅 ―
[響く潮騒に目を細めたのは短い刹那。
紆余曲折を経て、実家近くの総合病院に新設される循環器科に務める事が決まったのはついこの間。
そして、通勤の便を考えて、実家ともまあまあ近い海辺のアパートに部屋を借りて越してきたのが二日前]
あー……挨拶周りもいかねーと、かなー。
[戻って来る、という話は、今の所実家にしかしていない。
そこから伝わっている可能性はあるが、何人かには知らせないとうるさいだろーなー、なんて思いつつ]
…………。
[伸ばした手が掴んだのは、スマホ……じゃなくて、煙草だった。**]
[紫煙くゆらせつつ、ぼんやり思うのは]
……前に帰って来た時ゃ、えらい目にあったよなー……。
[それはそれで悪くなかったと言えばそうなのだが。
でもやっぱり、『アレ』は理不尽な事件だったと今でも思う。
言っても多分、詮無いけれど]
まー、あんな騒動早々何度も起きる訳、ねーか。
[気を紛らわすようにこう言って。
口にしたら、なんか、嫌な予感がした]
…………気晴らしに、歩いてくっか。
[小さく呟いて立ち上がる。
海風の冷たさは身に染みているから防寒はばっちりと。
愛用の道具がいくつか入った鞄も忘れず肩にかけ。
スマホはジャケットのポケットに押し込み、外へ出た]
[外に踏み出せば、包み込むのはひやりとした風。
ひら、はら、と風に乗って舞うのは小さな白の欠片]
……あー……冷えるわけだ。
[ぼやくように呟いて。
それでも、足が向くのは海の方]
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