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[悲鳴が上がる。
空いたままのアンの席と。
唐突に、先週の焼き直しのように]
――チカノ?
[忽然と消える、同級生の姿]
取るのか、それ――
[軒下のてるてる坊主がひとつ、風に逆らって揺れる。
ちょっとした騒動の輪に入れぬまま。マルもてるてる坊主を見上げて尻尾を振った]
[お祓いの時に買ったお守りを眺めていたら、ベックに机を蹴られた]
おうお? ああ、そう、だな。
……。
お前でも居たら心強い。
[ベックの顔を見つめた後に、精一杯の冗談を。
女子二人は、なにやら手を取り合っているようだ]
どうした? 具合悪いのか?
アンは犯人を捜して欲しがってた。
思えば、なんで自分を探せじゃないのか、とは、思う。
[ベックの言葉に、小さく頷く]
見つけ出してやらないと、まずいのかもな。
「返して」か。
返して欲しいのは……
[硝子に浮かぶ文字を見て、呟く先の言葉は音にせず]
ああ、マシロ。俺が取るよ。
[か細い声はちょうど聞こえず。
時折聞こえる少女たちの声。
願を掛けたというてるてる坊主を取ると、マシロにさしだした]
犯人が。ああ……
そう言う可能性も、あるのか。
[窓硝子、指でなぞってみる。
その上を、二重線で追った。
マシロに渡したてるてる坊主が落下していく。マルが窓の下を覗く。
ベックに歩み寄るマシロの様子に、ぱちりと瞬きした]
犯人が書いたなら、取り返したい何かがあるのかな。
俺はてっきり、この教室にいる誰かが書いたものなのかと思っていたが。
ん、筋が通らないかな。
――マシロ?
[言ってから、頭を掻く。
ベックに迫るマシロ、二人の様子を、僅か眉間に皺を寄せて見守る。
マルはひとつ吠えると、窓の外へと*飛び出した*]
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