―― 夜/町外れの森 ――
昼間、手品師見習いの少年に起こって立ち去ったドロテアは、そのときした決意を胸に秘め、誰にも言わずに夜の森へとやってきていました。
「ぜったい、いるんだもの。
証拠もって帰るんだから……」
見慣れた森でも、夜の闇の中だと不気味に見えます。
ちょっとおびえたように立ち止まり、けれど意を決して歩き始めました。
それが死へと続く道だとも知らずに――
―― 朝/町はずれの森 ――
深夜に森で起こった惨劇の悲鳴を聞いた人は居るでしょうか。
朝の光に照らされた森の中。
大きな切り株の近くに横たわったのは――血に濡れたドロテアの姿。
獣に食べられたような後がそこここに残って居るものの、それがドロテアだと一目でわかる姿でした。
そして不幸な町の人がその姿を見つけるまで、ただしずかに*横たわって居るのでした。*