(たぷん)
(とぷん)
[ふと気が付くと、先ほどまでマシロがいた宿泊施設とは
全く別の――どこか分からない暗闇の中]
……ここはどこだ?
(ぴちゃ)
(ぱちゃ)
[足元で、水面が揺れる]
ああ、そうか。私は―――
死んでたんだっけ。
人間って、結構あっけないもんだよね。
[誰にともなく呟いて、そのときのことを思い出す]
ああ、あれだ。
……あんな自販機も{1}個しかないような村で交通事故っていうのも微妙だよね。
……短かったな。
(たぷり)
(ぱしゃん)
[波紋を作りながら、水の中を進む]
[水の音しか響かなかった空間に聞こえた、人の声。
それに気づいて人影を探す]
……あれ、ギンスイ?
ギンスイも、こっち来てたのか。
[ギンスイといくつかの言葉を交わしたであろう後で]
とりあえず、私らの目的地まではまだ遠いみたいだからな。
もう少し、歩こう。
[再び歩き始める――*自分たちが在るべき場所へ帰るために*]
確かに――望まない死ではあったけどね。
だけど……うん、どうなんだろうな。
……例えば、私が死んだら生き返らせるのを繰り返して。
私が「死にたい」って言ったらどうなんだろう。
……死んだって、変わらないさ。
私は、私。
ただ、暫くの間、会えなくなるだけ。
[そういうと、自分がこれから遠い国にでも行くかのように思えてきた]
どうなる、のかねえ……。
穏やか、か。
正直、これは死なないと分からない気持ちなんじゃないかな。
私も死んでなかったら「生きていて欲しい」とかって
言ったと思うんだよ。
そうだな……。
普通だったら、今までの私だったら。
もっと、もっと足掻いてただろうね。
クルミの力にも、何の疑問もなく頼ってたんだろうな……。
[小さく呟き、溜息をつく]
今みたいに、引き止められるのは……辛い。
みんなが悲しんでいるのが分かってしまうからな……。
ヌイだってモミジだって、私らに死んでて欲しいわけじゃないだろうし。
「これは私らが選んだ道なんだ」って言えば納得してもらえるのかね?
ここには、悪い奴なんていないさ。
みんないい奴ばかりだ。
ただ、予想外の力を持っていて、ちょっと人より淋しがり屋なだけでな。
[ヨシアキやヌイの言葉には、シンプルに返す]