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[手の届くことのない向こう側の世界で、赤々と燃える炎を見つめている]
綺麗だね。ね?マシロさん。
お祭りの火には、とても敵わないけど。
あ。イマリちゃん。人形が燃されちゃったよ。
……煙になって、のぼってく。
[狼煙の消えゆく先へと、目をこらした]
[飛んでいく紙飛行機を見て]
うまいですねえ。
そうだ、先生。これも返しますよ。
[そう言っていつぞやもらった鼻眼鏡を出す]
もう、笑かす相手もいねえみてえだし。
[残った二人もとてもそんな冗談をやれるような
雰囲気ではなかったしな、と思いながら]
娘さん笑わせてやんなさいよ。
[グンジの傍で、燃やされる藁人形を眺めている]
藁人形。
人の形の藁人形。
魂の器やったんか、それとも燃やす事で魂を天に昇らすんか、
うちにもようわからんけど。
けどな、せんせー。
うちは漢字が書けんわけやなくて。
ちいそうて書きづらかったから、カタカナで書いたんや!
うち、そんなお馬鹿さんやないわー!
六十円くらい、ケチったりしません。
[相手の言葉に、むっとした顔でそっぽをむく。
白い袋が火に溶けて、藁人形が燃えるのが見えた。]
なんで、私になんですか?
先生が、自分で出せば良いじゃないですか。
あ、うん。
[エビコに手をひかれて外へ。
もうもうと上がる煙を黙って見上げていた]
これで、船が来るのかしら。
[その船はどこへ向かう船なのだろうと
おぼろげに思いながら]
ぶっ。
…まあ、すずきったって、りぃんりぃんなる鈴の木とは
限りませんでしょうしねえ。
[エビコからも何か渡される様子を見ると]
なんだ、先生、貸し作りすぎですよ。
[傍らのプレーチェに笑顔を向けた]
うん。煙になって昇っていく…
うちらの魂も、一緒に天に昇って、お月様んとこ、いくんやろな。
[再び前を向いて、ゆらゆらと立ち上る煙を眺めていた]
ライドウさんがかけてくれるなら、笑いますよ?
[まだ少し怒った顔のまま、鼻眼鏡を横目に見た。
言ったあと、あ、と口を押さえる。]
ライデンさん……。
メガネの上にメガネは無理だよライデン君。
[それはそれで笑いが取れるのだが。
少し怒った様子のエビコに困ったような顔をした]
ああ、何ででしょうね。
俺は死んでいる気がするんですよ。
だから、消えたはずの人の姿も見えるんじゃないかと。
[人影の数を確認するように、辺りを見渡した]
同じ場所に帰るんだから自分で出せば良いのに。
先生は、私と同じところへ帰るつもりなんかなかったんでしょう?
[そう言った一瞬、睨むように相手を見つめると、また篝火に視線を戻した。]
配達役はお断りします。
あなたが笑うなら、かけてみますかねえ。
[しゃれたつもりで言ったものの、
どうにも決心つきかねるように
鼻眼鏡をいじっているのではしまらない]
[名前を訂正されるとにっと笑い]
そう、そう。思い出して何より。
同じ所に帰れたなら、自分で出しますけど。
[鱸疑惑の少年の頭を撫でようとしたが、手は空を切る]
つもりというか、何でしょうね。
保険かな。
了解です。死んだら妖怪ポストでも探します。
[手紙を折りたたみ、胸ポケットに押し込んだ]
[でも。魂のいく先には何があるのだろう?得体の知れない恐ろしさが胸を覆いそうになると、また月の笑い声が聞こえる気がして]
大丈夫。怖くない。
私は私の行くべきところへ、行く。
[ぎゅっと目を閉じて、念じるように呟いた]
みんな一緒やったら、怖うもないやろな…
[小さくつぶやいて]
[プレーチェが頬を緩めるのに気がつけば、うれしそうに]
よかった、笑ろうてて……安心したわ。
やっぱり、プレーチェちゃんは笑うとる方が、ぜったいかわいいわ。
[にっこり笑顔を向けた]
先生、都会のほうでは眼鏡の上から
サングラスをかけると聞きました。
[真顔]
[死んでいるんじゃないか、というのを聞けば]
やっぱりこれ、先生がつけなさいよ。
絶対つけたまま消えられなくなるから。
消える鼻眼鏡とか。どんなギャグだと。
猫だから、お魚好きかもね。
[きっと、猫少年の苗字は鱸だったのだろうと]
ほらほら、弄ってないでかけてみてよ
[そういえば自分はライデンが鼻眼鏡をかけた姿を
見ていなかったなぁとけしかけた]
嫌だ。
そういうのは若者の仕事だろう。
さぁ、遠慮せずかけたまえ!
明日から村のヒーローになれるぞ。
[鼻メガネを受け取るもんかと、腕を組んだ]
妖怪ポストって、あの世にあるんでしたっけ……?
[手紙が胸ポケットにしまわれると、ほっと息をはく。]
同じところに帰るつもりでいてください。
少なくとも私はそのつもりです。
[そのまま、ついと視線を動かすと、鼻眼鏡をいじる薬屋にくすくすと笑った。
そして、また、あ!と声をあげる。]
かける前に笑ってしまいました……。
>>+23>>+24
うん。ありがとう。
やっぱり、イマリちゃんに会えて、良かったよ。
[イマリの腕にしがみつくが、はっとして]
あぁ。最後まで私、こんな風だ。
誰かに甘えてばっかりだ。
[泣き笑い]
ああ、そうか魚。
[しゃがみ込んで、砂浜に魚の絵を描く。
やけに写実的]
妖怪ポストはあの世とこの世の間にあるのかと思っていました。
[帰るつもりでという話には、反応を示さなかった]
あ。
[対岸に火が炊かれているのを見て声を上げた]
あっちはまだお祭り続いてるんじゃない
そうよね、だってここから火を持って帰るんだもの。
それで、みんな家の前に松明置いて、火を灯して…
[ぽつりぽつりと記憶を語る]
いやいやいや先生もまだまだお若いでしょう。
ヒーローは日曜の7時半から仕事すんだそうです。
あたしゃ夜型でしてね、そんなん嫌ですよ。
[むりやりかけたろか、と腕を組んで
子供みたいに固辞するグンジを見て思う]
おめえも余計なこというんじゃねえって
[ホズミにけしかけられると少し危機感を覚える]
死者が死者になるのは、生者がそれを認識したときで
死者が生きていた過去は、死者を知る生者が存在している間にのみ存在する。
[鱸とシーラカンスの絵を描き終えて、枝を放り投げる]
生と死は、意味などなくただそこに在る。
[無意識に胸ポケットに行っていた手に苦笑]
ライデン君、煙草は燃やしちゃいけない。
バチが当たるよ。
マシロちゃん。
[手を軽く振って挨拶した]
[プレーチェが腕にしがみついたのに気がついて]
うちは甘えてもらってもええけどな…なんか、うれしいんや。
[照れくさそうに笑う]
プレーチェちゃん、うちにとっては妹みたいな感じやから。
[表情を取り繕う様もやさしげに見ていた]
私達も火、持って帰らなきゃね。
[対岸をぼんやり見つめて、足下の篝火に視線を戻す。
対岸で燃えているのはネギヤが汗をかきながら灯していた火だろうか。]
[くすくす笑うエビコを見て何か安心する]
[鼻眼鏡をかける動機が表向き
なくなったというのもまあ、ある]
[しゃがみこまれると無理やりかけさせづらいのに
逃げられたと勘違いし、
ちぇっと子供のように舌打ちし]
絵ぇ、うめえですな。
あ、先生が先生っぽいことを言ってる。
珍しい……。
[砂に描かれていく絵を覗き込みながら、感心した声をあげた。]
広報のお悔やみ欄、四人分の空欄はありませんでした。
だから、誰かはきっと生きてると思います。
その誰かが、この島で生きていた人のことを覚えているなら、ここに皆が生きてたことは現実だったってこと……ですよね?
[言葉の解釈に首を傾げながら、出来上がった絵を一歩下がって見る。]
うん。
そうだね。
迎え、来るかな。
[村と島を隔てる海の青を眺めた。
…さむぃ…つめたぃ…あおぃの…
ふと、猫少年の言葉が脳裏に浮かび
いやいやをするように*頭を振った*]
[イマリに頷いて、対岸の火を見つめる]
もうすぐ祭りが終わるのか。
私も、かえろうかな。一緒に。
[イマリと彼女の傍らにいたプレーチェに微笑んだ*]
[棒のような人間を何人か描き足し、よし、と満足げに呟くと、額の汗を拭った。
浜から吹く風が心地良い。
もうすぐ月が天頂に上る。
くるりと社を振り返ると、その柱を見上げた。
少女はどうやって、月に願ったのだろう。
もう聞くことはかなわないけれど、自分も願うことは出来る。]
[プレーチェが笑うようになったのを見て目を細め]
うん、やっぱ子供は笑ってるのが一番だ。
ギンスイお前も悪霊だの何だの言ってないで少しは笑え。
[ポケットからマジックを取り出すと、さらさらと文字を書き出す。]
”みんなが、あるべき場所へかえれますように”
[ぱんぱんと柏手をうつと、そのまま社の階段に腰掛けて、*月を見上げた*。]
まァた難しいこといってら。
[グンジの講義にからかうように笑うが、
意味などない、と言うのに一瞬目をつむり]
[煙草の事を言われるとゆっくりと目を開けて]
おや、気に入りましたかえ。
まあ、背に腹は代えられねえとおもったんで。
もくもくと煙が出るんでね、あれ。
向こうに戻ったらいくらでも作ってやりますよ。
[まあいらねえだろうなあ、とは思いながら]
[対岸の火が見えると、
そこから向こうの、日常を思い出し]
あーーー。
やっぱかえりてえなあ。
………どこにかえんだろうなあ……。
[月と、火と、視線が行ったりきたりする。
やがて、どちらかに視点は定まる*]
ここに生きていたかどうかは、どうでしょうね。
[エビコの問いにそう答え、描かれた針金人間の絵には笑いを堪えた。
ライデンの薬草煙草の言には]
向こうに着いたら、普通の煙草を買うよ。
[魚に手を伸ばす、猫の陰を見たまま言った]
忘れることが怖いんだろうね。
[立ち上がり、両手を組んでぐっと背中を反らした]
君の生きていた記憶が薄らいでいくのが怖い。
[焦がれる人の姿は見えず、瞳が捉えたのは佇む少女の姿]
[こちらに微笑んでくれているマシロに気が付けば、にこっと笑い返す。ゼンジの言葉>>+30を聞くと]
そうだね。もうすぐ、終わる……のかな。
[ゼンジにも、にこりと笑いかけて。傍らのイマリの手をぎゅっと握ると、空を見上げる。そこに月はやっぱり浮かんでいて]
あれ?
[いつの間にか幻月は消えている。ただ一つの月だけが、浮かんでいた]
ライデンさんの帰りたい場所に帰ればいいんですよ。
[行ったり来たりする視線に、首を傾げて淡く微笑む。]
……皆は、行きたい場所にいけないからまだここにいるのかな。
[時折宙に視線を止める教師をちらりとみて、視線を落とす。]
ねえ、戻って来て、幸せだった?
私は、たとえ死んでいるんだとしても、皆とここに来れて楽しかったよ。
[誰にとも無く呟く。思い出すのは祭りの夜。]
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