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[潮で濡れた大きな引きずり跡を見て
不意に 噎せ込んで砂に膝を着いた
腸より生まれ内管を昇り来るどろりとした黒い塊が
胃液と共に 大きく開いた口から吐き出される]
ごほっ ごほげふっ
ぉぇぁっ…… はぁ はぁ
[浮いた汗に赤い髪がへばりつく額
肩で息をしながら 視界に檻を収め――
歩み寄る背後 男の意思とは別に
黒い塊は 砂地に大きく文字を描いていく]
「ヘイノ は 魔物 です」
[じゃり…]
[袖の内でにぶく硬質な音が鳴る]
[檻に手を掛け体を支えるように中を覗き込む
見開かれたおんなの眼球と 視線が、合う]
殺さねば
確かにいる 魔物を
生きる、ために…――
[こぷ と口の端から垂れる黒い粘液を拭った*]
[かの呼ばれ慣れた名にぐと眉を寄せる
あの頃は泥水啜る等 思いもしなかった
そ と当てた手の内で未だ腸はうねる]
彼は 魔物―― です、ッ
魔物は 人にを、殺す
殺さねば
[じゃらり…]
[鳥で弔う僧に頷いてから
猿轡の男に向けるは更に 寄せられた眉
そして大きな袖から錆びた黒い鎖が流れ落ちる
その先は重く分厚い手首の鉄枷からで]
僕は、まだ死ぬ訳にはいかない
[猿轡の男を見遣る眼に侮蔑を浮かべたあと
ヘイノの姿を見るや 足は地を蹴る
手にした手首からの鎖を振り被り
滑る足元に 四足の獣のような姿勢で
手で地面を後ろへと 押しやって]
…――あなたが、…!
[古びた鎖が杖代わりの銛を薙ぎはらおうと
男に向け飛び掛かる姿勢は 低い]
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