13個目の鐘の音が消えた後、アナタの許に現れるのは人形の如きメイド。
「……主人がご挨拶を、と申しております。大広間にて、お待ちください」
言葉に従い、訪れた者たちが大広間へ集まった後、現れるのはアナタを最初に出迎えた黒衣の娘。
彼女は集まる者たちを見回し、そして。
「ようこそいらっしゃいました──『宴』の場へ。
私はドロテア──此度の場にて、『始まりに供されるもの』」
淡々と響く声は、森の中で響いた声と良く似ていて。
それが織り成す言葉は、酷く唐突なもの。
「紅き月の煌めく夜に、始まりを告げる13番目の鐘が鳴り響きました。
だから、『ゲーム』を始めます。
……それが、遠いとおい昔からの、取り決め」
突然な上に、意の知れぬ言葉。
それへの反発や反論を、娘は表情のない貌で受け止めるのみで言葉は尽くさない。
代わるように、意識に響くのは。
意識と現実。
二つに響く、コエと声。
それが何かを呼び起こすか否かは──各自各様。
ただ、一つだけ。
『他者を殺さなければ、生き延びられぬ』。
その事実《ルール》だけは、全員に確りと刻み込まれた。
──空にはいつか、紅い月。
──けれど、雨は降り止む事無く屋敷を閉ざす。
──月の光を受けて、降り注ぐのは紅い雨。
──紅は緋に落ち、緋は冴え冴えと咲き誇る。**