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「 ……………、……………? 」
[夢を見ていた。
内容は曖昧だが、空が赤かったことは覚えている。
目を覚まし、身体を起こす。
顔を洗い、袖に腕を通した。]
……今年も、祭りの季節や。
[少し寝すぎたかなと思いながら支度を済まし、家を出る。
今年も、両親は村に戻ってこない。]
−商店街−
[神社で祭りの準備が行われている為か、いつもより賑わいが少ない商店街をひとり歩くと。立ち話をしている主婦達から、懐かしい話題が聞こえる。
丁度1年前1人の少女が姿を消し、村人総出で捜索が行われた。
女学生であるニキは親戚のおばさんと共に家で待機していたが、結局見付かることはなかったらしい。]
……杏奈ちゃん、か。
[気付けば足を止めていたらしい。視線に気付いたのか、主婦は「双季ちゃんも気をつけてね」と言う。
軽く頷いて、また足を進めた。
腕に巻いた赤い組紐についている鈴は、何かを誘っているかのように音を鳴らした。**]
[鈴を撫でながら、そう呟いた声は空気に溶ける。
去年の今頃、きっと鳥居を潜ったあの瞬間、
神社の裏で、1人になった瞬間。
双季は何かにとり憑かれていたのだろう。
杏奈とは違い身はそこにあれど、
意識はどこかに、奪われていたのかもしれない。]
虫さん、よう鳴いとるよなぁ……
友達みんな一緒で嬉しいんかもしれん。
それとも、近くにおっても姿が見えんから…
寂しくて鳴いとるんかもしれんね。
自分を見つけて欲しい、って。
[彼とは年も違う。そんなに話したことはなかったかもしれない。
それでも、饒舌に語りだす双季。
それに彼は何かを、感じただろうか。
もし目があえば、へらへらと笑ってみせた。**]
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