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……。
こう落ちてくるものが多いと、おちおち寝られんな。
[帽子が動き、その下から顔が覗いた。
精悍な男とはとても呼べぬ、童子のようだ――己をからかった同僚がどうしているかは、最早あずかり知らぬ所ではない。
ばらばらと降る瓦礫の滓を不快そうにねめつけ、重い腰を起こした]
まったく、世も末だ。
いや、既に末ですらなく、終わっているのか……。
[呟いた声は空虚に溶けて]
そういえば、先ほどのアレは何だったのだ?
まあ、こんなご時世――叫ぶモノもあらんや、か。
[叫び声について考えを巡らせていた。
生く宛も、行く宛も定めぬままに流れている。
自然と叫び声の方へと足を向けたが]
――はてさて、他には何が在ることやら。
[口元が、歪んだ]
[何かが風を切る音と、男の悲鳴。
先ほどの叫び声よりは近く、そしてはっきりとしている。
自然、興味はそちらへと向いた。
ゆったりとした足取りで、翼人の女と腕をなくした男の前に現れ]
……。
神罰の代行者、とでも言ったところか。
おい、こいつは何の罪を犯したのだね?
[男を助けるでもなく、皮肉げに声をかけた]
天使といえば神の遣いだ。少なくとも私はそう習った。
……君は天使ではないのか?翼人ではあるようだが。
[嗤う娘に、小さく眉を潜めつつも淡々と返した]
確かに汚いな。淑女に触れるならば、もう少し身なりを考えるべきだった。
だが、君も物好きだな?翼があるのに、わざわざこんな地上に降りてくる意味があるのか?
今の地上は汚いぞ。こんな身なりの男ばかりがうろついている。
[懐から一丁の拳銃を取り出し、男に銃口を向ける。
感慨もなく、彼の頭に向かって引き金を引いた。高い銃声。
男が避けられたかどうかまでは、気にしていない]
――ゴミ溜めと相違あるまいよ。ここは。
ゴミ掃除か。
なるほど、崇高な使命だな。
こうなってしまった以上、神の手でも借りなければ、地上は片付くまい……。
[娘が持つ弓に視線を向けながら、銃口に軽く一息を吹きかけた。
胸元のホルダーに戻して]
だが。
娘さん一人には、少々荷が重い仕事ではないかね?
[軽く揶揄する風]
……ふむ。
有翼人の力は、人間のそれを上回っていると考えたほうがよさそうだな。
[金色の光を見据えながら口の中で呟く。
光が放たれると同時、男の死体を突き飛ばして地に伏せた。帽子を手で抑える]
死んでしまっては、確かめられたかどうかがわからなくなってしまうと思うのだが……まったく。
[腰に提げていた閃光弾を、虚空へと投げる。
瞼を閉じていても、目が灼けるかと思われるほどの光――]
―路地―
[翼の音を聞きながら、目を瞑ったままその場からかけ出した。
どこか細まったところに飛び込んで、そしてようやく息を吐く]
……末恐ろしい。
いずれ決着をつけねばならぬというなら……。
[爆弾も銃弾も使えばなくなる。銃弾ならば行き倒れから巻き上げることもできるだろうが、爆弾はそうもいくまい。
溜息は知らず深くなった*]
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