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[――――漁師は網を手繰るが、
『邪悪なドラウグ』はひとの脚を手繰る。
掴む藁もない水の中。浮かぼうと藻掻き、
蹴りつけようとする身悶えが何になろう。
けれど陸のいきものは本能で知っている。
掴む手の主が、懇願や哀願を容れる等
決して、決して、ありはしないことを。]
ヒト オモテ
[人間の面はいつでも水面を向いていて、
足引く者は、断末魔浮かべる彼らの表情を
死すまでよくよく眺める機会があまりない。
だから、
足首を離して 錆びた鎖を引いてみたのは
またひとつ浮かんだ気泡めく悪意の故――]
… 知らせると
気の毒かと考えたのだがね。
["音"を伝える術のない深み。]
[――――耳奥で、音は割れる]
貴方に恩赦は出ないそうだ、
赤心の告発者殿。
[ボディルの眉根が寄るのを、
その深さを、 眺めて、]
代わりにこの数字が、
[彼の枷に刻まれた、
西の街の地下牢のしるしと数字を辿る。]
永劫に貴方のものになった と。
[目前で無念に凍え溺れる赤毛の男。
掴み引く魔は、浅く首を傾ける。
手に入ったものがあって僥倖だとばかりに。
記憶の断片は、死後のたましいが
切れ切れに浮かべることもあろう*]
[死なぬ まだ死ねぬ
そう言って、鎖で締める手は必死で―――
糸が斬り裂く間も ただ闇雲だった]
裏切り など――
そんなもの、僕だって
[掠れた声は、息絶えるヘイノに届くや否や]
[死んで尚 手首の枷と鎖は千切る事叶わず
冷たい海にさかしまに浮いた自分を
見下ろす、おなじ細い目が在った。
屍肉を 抉られるを、見る]
‥やめた方が、良いですよ。
僕は、
人ならざる力を引き寄せているから
[妙と言っていい程、穏やかな心持ちに
少し、戸惑い含み 呟いた]
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