―「かなた」内・一室―
……あ?
[目を開くと、見覚えのない天井。
ゆっくり上体を起こし、部屋を見渡す]
なんだ……?
[ずきん、と痛む頭を押さえて立ち上がる。
身体が、ありえないほどに軽い]
そっくりそのまま返す。
[顔をしかめ、踵を返して廊下を歩き出した。
その足取りが重いのは、重力の弱さに飛び立ちそうな恐怖と、痛みつづける頭のせい]
誰かいませんかー?
さすが宇宙学校の生徒だな。
[宇宙だろ、の言葉に頷いて、他より大きな扉に辿り着くと、先ほどと同じようにして開錠した]
何で誰もいないんだ?
野郎二人で宇宙旅行なんて勘弁してくれよ。
美人船長とかいねぇのかな。
[軽口を叩くのは、いまだハッキリしない記憶に怯えているせい]
火星?
いや、違う。砂漠――。
[壁にあるモニタに映る映像に目を止めた。
画面には、枯れ果てた大地が広がっている]
どうだ、何かわかったか?
あのさー……。
何で私ここにいるんだ?
身に覚えがないんだが。
[ヨシアキと同じように、トーンは徐々に落ちていく]
覚えっつーか、記憶がおかしい。
その抗争に巻き込まれてぶん殴られて記憶喪失か何かか?
[はは、と笑う声はかすれていた]
何だよJINROって。
大体、宇宙に行きたがる医者なんか他にいくらでもいるだろ。
何で私が。
[考え込んだが、心当たりなど浮かぶはずもなく口を閉じる]
食料があるなら、しばらくはどうにかなるか。
酸素ボンベとかあんの?
[部屋を出て行くヨシアキの*後を追った*]
なぁ、私ら、二人で呼び出されたよな……?
[あの日の記憶が、ちらちらと脳裏に蘇ってくる。
何を話したのかを思い出そうとすると、頭の奥が痛んだ]
もしかしたら、医者っつーよりアレで来たのかもしれない。
宇宙実験したいって論文出したことあるんだよ。冗談半分で。
おまえさ、もしかして怖がってる?
[ヨシアキの口調はどことなく重く感じられた。
からかいの笑いを浮かべようとした所で、“アン”と呼ぶ声が聞こえて]
なんでまた、アンが。
偶然にしては――。
[見回り係ばかりがここにいることに気付き、顔をこわばらせた]
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ワカバ&モミジの凸凹コンビ?
ちと離席。
生存組は〆よろしく。と思ったけど、ワカバ一人しかいなかったりするのかな。
ちなみにキャスト表の類は作ってないです。
なぜか照れるんだな。ああいうのは。