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[風音荘へと足を踏み出すと―金色の輝きを認めることはできただろうか―来た時と同じように世界が回り、]
あ・・・。
[まだなにもみつけていないのに―――]
[風景がフラッシュのようにいくつも切り替わる。]
ま、まって・・・。
[うさぎの姿を探すかのようにさまよう視線。
このままでは還れない――焦りが胸を満たす。]
・・・ここ、どこ?
[ああ、これが狭間か、とふらつくような頭にやろうとした手が視界を過ぎる。]
なに、これ。
[半透明の手を不思議そうにかざした。
確かめるように見やった体も、濃くなったり薄くなったり、明滅するようだった。]
[意識もはっきりしたりうすれたり、そう、ゆめとうつつのあわいのような。
目覚めにはわずか足りないまどろみの時。
きまぐれのようにふわと浮かぶ風音荘の様子。]
菊子ちゃん?和馬くん!
[呼び掛けは届かず、]
貢さん・・・。
[伸ばした手はなんの感触も伝えてはこなかった――]
[もどかしげに呼びかける言葉もむなしく、意識は狭間の波にさらわれる。
狭間にまどろんでみる夢はいつの刻をうつすのでしょう・・・。
再び意識が焦点を結まで――]
お針子 ビセは、ここまで読んだ。[栞]
[名前を呼ばれた気がして、意識が鮮明になる。
きょろきょろとあたりを見渡すけれど、本当に聞こえたのかさえ定かではなく。]
だれか、いるの?
[心細さがにんじんでしまったろうか。]
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