魔女、ねぇ。
これ、も、そう言われるのか。
[揺らぐ煙草の煙を見る。
少し、ほんの少し、人よりも“何か”を感じられるだけなのだ、が。]
なるほど? ちがいねえ。
[ツケなんてとっくに、と微かに笑う男を視界にうつして、それもそうだと、く、と吹き出して笑う]
裁判官がこれこれこうが魔女ですーって言ったからって、信じられるもんじゃないだ……って、おい、煙草もってんのか。
[男が煙草をくわえるの見れば、驚いたように眉を上げた]
まさに実害ゼロね。
排除する理由もなさそうだわ。
[もう一度呆れのため息]
そしたら……。
誰かの恨みを買ったとか、邪魔な人間の排除とか。
そんな理由なのかもね。
自分の身を守るために自分以外の人間を売って……
見物、ねえ……。
正直なところ、そこまで興味もないんだけどね。
でも気がまぎれるなら、それもいいかも。
[クレストの言葉に同意する。
しかしその実情を知っていれば、
そんなことは言わなかっただろう]
荷物は取り上げられなかったからな。
これがないと落ち着かん。
[咥えた煙草に火を付けた。]
魔女を見分ける方法、ってのはあるのかね?
何か聞いたか?
その、なんと言うか。
特殊な力を持ってる、とか。
それの判断方法とか。
[ユノラフ>>1に問いかけた。]
……ぐ。確かに。
[火がつく煙草に半眼になった。
上着のポケット、ズボンのポケット、順に叩いてみるが、あいにく嗜好品のたぐいは、身につけていなかった]
ああ?
あの女には聞かなかったけどな、名前と年とボーイフレンドが居るかどうかくらいしか。
[指折り数える。
他にもいくつか聞いた気もするが、答えは少なかった]
お前はどうだよ?
―法廷―
自分以外を差し出せば、自分は助かるなら。
イルマだったらどうするかな。
…でも、やらないかな。イルマは優しいから。
[ふふ、と小さく肩を揺らしながら、彼女を連れて法廷へ。其処にはまだ二人の男の姿があった]
あれー。ミハイル兄さんと、ユノラフさん。
男ばっかりだ。
[何処か間の抜けた第一声を落としつつ、ひらと手を挙げた]
僕たちどうなるんだろうね。
魔女を見つければ、って裁判官は言っていたけれど。
顔見知りばかりだし。
兄さんの顔をみたらお腹がすいてきた。
[言外に、この中に魔女なんていないのではないだろうかと、含ませて]
ユノラフさんに届けてもらったばかりの本、
読みかけなんだけどなぁ。
[ぼやくように呟く**]
-法廷-
[服のポケットを叩くユノラフ>>5に笑い、煙草を差し出す。彼が受け取るのなら、火も貸しただろう。]
…あの黒い女には何も聞かなかった。
お袋が泣いてしまってね。それを宥めるのに大変だったものだから。
…魔女を探すって言ったって…どうするんだか。
裁判官の奴ら、特殊な力を持っている奴らを見抜く手段であるのか…。
[噂に聞く魔女裁判を思い出し、眉を顰める。]
[法廷から出ようとした時に、こちらへ入ってくる男>>7が見えた。]
…クレスト?
お前も連れて来られたのか?
[イルマも一緒ならば、そちらへも視線を向けて、驚いたように。]
…俺たちの中に魔女なんていないって分かって貰えれば、出して貰える、って話なら助かるんだがね。
[クレスト>>8に言う。続く言葉には、苦笑交じりだが幾分明るい笑みを。]
腹減ったってな。
牢はまだ見てないが、台所なんて無いだろう。
あるなら何か作ってやるがね。
牢屋、見てくる。
[今度こそ、法廷を出た。]**
[大切な指輪を無くしたと言う客に、探し場所を示した事があった。
そういう事がほんの少し見えるだけ。
それだけなのだ。]
…死にたく…ねぇなぁ…。
[母は…の帰りを待っているだろう。]
どうだろうな。
少なくとも、対外的に魔女がいたと喧伝できるくらいの方法は持っているんだろう。
[でなければ、裁判官がこれほど地位をもつわけもない。
ふと、ドロテアの去り際の言葉を思い出す。
煙草を噛んだ]
― 中庭 ―
ロクなもんじゃねえなァ。
ああいう場所には処刑道具でも仕舞ってあると相場が決まってんだ。
[庭の隅に佇む小さな小屋――蔵のような建物に舌打ちひとつ。]
ロクなもんじゃ、ねえ。
[噛み締めるように二度言った。
脳裏に過ぎるのは、かつてこの場所に連れ去られ、帰らぬ者の顔。]
[視線を逸らせば、嫌でも目に入る高い壁。
目を細め首を上向け、片眉を上げる。]
……ふん。
[よじ登る気は毛頭無い。
この外壁が並大抵のことでは越えられぬこと、修復に携わった自分は知っている。
「崩れないアリ地獄」との老親方の評を耳にしたのも、そう昔の事ではない。]
まー、出られねんじゃ楽しくはならねえな。
[戻るか、と一人ごちて踵を返す。
とはいえ行く先は限られているのだが。]
-廊下-
あぁ、どうも。
[見覚えのある男>>17からの挨拶に普段のように言葉を返す。]
修繕作業で来てるって訳じゃないよな?
…エリッキまでも、か。
どういう基準で選んでるのかね、此処は。
向こうで、ユノラフたちに会った。
[顎で法廷側を示す。クレストとイルマの名前も伝えただろう。]
―法廷―
牢の中は、台所どころか何もなかったよ。
兄さんのご飯をまた食べるには、
此処から生きて出るしかなさそうだ。
[間延びした様子で呟くが、それが難しいこと位は十分に理解している]
[出ていくミハイルを見送ってから、もう一人の男へと]
んー。今読んでるのは街で流行っている小説。
ユノラフさんもどう?
女の子に声をかけるとき、話の種にはなると思うよ。
[ポケットを探る姿をじっと見つめていたが、クッキーが出てくれば表情を緩めた]
食べる!
[遠慮は全くなかった]
仕事じゃねえさ。生憎今は閑散期でな……毎日お前さんトコに飲みにいく暇があるのもそれでだよ。
そっちこそ、魔女裁判に掛けられた囚人に酒を振舞う仕事ってんでもないんだろ?ミハエル。
……
[ミハイルだったか、と、一瞬迷う。
人の顔はともかく、名を覚えるのが苦手だ。
酒場の、で、いいかと思い直して肩を竦めた。]
[ユノラフ、クレスト、イルマ。
その名を伝えられても、顔と名が一致するまでに暫しの時間を要したか。」
あいつらもか。
現実味のねえ話だな。
基準ねえ……何か疑われるようなこと、したのか?
俺らとは違って、叩いても埃が出そうにない奴らだが。
…或いは、何かであの姫さんを怒らせたとか。
[さりげなく仲間に加えている辺り、非常に失礼だった。ドロテアに対しても失礼だった。通常営業である。]
俺も、裁判に引っ張られてきたんだよ。
仕事だったら有り難いんだがね。
[エリッキ>>21に答える。
名前を呼ばれ間違えていた気がするが、気にしない事にした。]
…現実味なんて全然ないな。
魔女なんて――なぁ。
[言葉を濁す。]
……少なくとも、あの黒服の女を怒らせた記憶はないな。
[基準の言葉に微かに目を伏せる。
疑われるにも、叩けば埃の出るにも、反応しなかった。]
[クッキーを受け取ると、お行儀悪くその場で齧る]
…ん、固い。けど、美味しい。
[満足げに平らげて、人心地]
ありがと、ユノラフさん。
食事もとれない内に連れてこられたものだから、
お腹空いてたのは本当。
[イルマの声に顔を向けて]
本当にね。食料と水は届けるって言われたけど。
碌な扱いはされないらしい。