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現代日本。
林立するビルの狭間、そのどこかに
進む時代から取り残された横丁がある。
心に空虚を抱える人々が辿りつく場所。
其処には「思い出屋」がいるという――
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噂では、どんな風に「思い出」が手に入るかも、
その対価がいかほどかさえもはっきりしていない。
ある者の話ではトランクケースいっぱいの札束、
別の者の話ではぶたさん貯金箱いっぱいの小銭。
さらに別の者の話では、
金では駄目だと言われたなどと雲を掴むような話。
ただ、共通しているのは
横丁の『その』一画に、思い出を売っている
思い出屋がいるらしい、という漠然とした話だけだった。
だから、自ら築けなかった思い出を欲するひとは皆、
精一杯を、ありったけをかき集めて横丁へやってくる。
[ふらりと横丁に入るのは、帽子とマフラーで顔を隠した男。
怪しげな風体は、テレビでは馴染みとなっている
それを隠すためのもの]
……本当に、あるんかな?
ここが「そう」だって聞いたけど……。
……なんで思い出せないんだろうな、
あいつのこと。
[今は1人でテレビに出ているが、
売れない頃は2人でやっていた。
突然1人になって。
頑張ってしばらくして
テレビに出られるようになって現在に至る。
友人とコンビを組んで<<15>>年目の別れ。
昔のことは覚えていても、
別れ際のことが思い出せない]
あいつに言わなきゃいけないこと、
たくさんあるんだけどな……。
電話も繋がらないし。
[独り言をいいながら横丁へと入っていく。
その景色はレンにとって古臭いようにも
懐かしいようにも*感じられた*]
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