[あれが狐雲だよ。
そんな言葉を聞いたがあんな形だったろうか。
昔に一度見ただけなので思い出せない。
]
……。
綺麗な夕焼け。
[雲とは全く無関係な感想が口をついて出る]
[祭りに向かう人の群れの中、一瞬だけ、荷物を持ったまま来た事を後悔したけど]
今から引き返すのもなあ……。
[そんな思いがあるから、そのまま、屋台の並ぶ通りに飛び込んで]
えーっと、ラムネ屋さんはー……。
[最初に探すのは、祭りの時の個人的定番]
[しかし気になるのは、雲よりも祭りの出店。
いつしか意識は空よりも下の方へと]
引っ越す前はお祭りなんて見たことないから
ずっと楽しみだったんだよねー♪
[自然と笑みがこぼれる]
[人間が歩く
犬も歩く
人間が話す
犬は吠える
赤茶色の髪が
茶色の毛並みが
夕日に染まる
神社に向かって1人と一匹が歩く
それは変わらない光景]
こんな暑さだってのに、何で毎年毎年豚汁とカレーなんだろうね。
うちの先生も文句言ってたよ。
[神社の片隅、婦人会テントの下で、持ってきた野菜を取り出しながら笑う。
ネギヤが指した空を見上げて]
ああ、今年も出てるのか。
ネギちゃん、あんた気をつけなよ。
[そこに浮かぶは*狐雲*]
[鳥居の外から境内へ、まずは何から見ようか。]
お、おっちゃん、焼きそば一つとビールも。
……あ、まだか。ども、また来ます。
[吟味するより匂いに惹かれ近寄ったのは焼きそばの屋台。
生憎まだ売っていなかったが、まずはあれからにしようと決めた。]