[1] [2] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
[酒を口にしようとして目についた、少女の置いていった瓶を手に取り蓋を外す。
親指で縁をなぞると、きゅーっという細い音が鳴った]
いい声だ。
[二三度振るい、水音に耳をすまして蓋を締めた]
ヤトイヌシ?
[いつの間にか何やら作業を始めていた女に顔を向ける]
[首筋に水滴が落ちた気がして無意識に拭う。
しかし、乾いていた]
オレが雇われてる?
[ヤトイヌシ?と不思議そうな顔で尋ね返されて]
あら……ごめんなさい。
私てっきり新しい庭師なのかと勘違いしてしまって。
[申し訳なさそうに詫びると、男が首筋を拭うのに気がついて]
どうかなさいました?
刺が刺さったのなら消毒しないと。
庭師が花踏み荒らしてたら笑い話だな。
[刺と言われたことには首を振る]
大丈夫だ。
[散らばっていた数本の瓶を抱え込んで立ち上がって]
悪かった。
[独り言のように呟いた]
……オレは何してんだ?
[く、と口角が上がる。
声を出して笑いながら]
必要なのは酒だ。
[ふらりと*甘い香りから逃げ出した*]
[大丈夫、と言われてほっとすると気の緩みから]
うちはお父様もお母様も庭にはあまり興味がないの。
庭師もそれを知っていて、目を離すとそれは酷いものなの…。
[我ながら愚痴っぽい、そう思っていると男は腰を上げる。立ち上がり際の男の呟きを聞き漏らして]
あの…いえ、なんでもありません。
[聞き返そうとしたが言いあぐねてそのまま男が立ち去るのを見送った]
たりねぇ。
[小瓶を逆さにし、その下で口を開ける。
一滴も零れない。瓶を投げやってため息を吐く]
あー……。
[意思なく震える手を見下ろし、背後の樫の木に身体を預けた。
地面に身体が沈み込みそうだった]
クソったれが。
[男は顔をくしゃりとしかめた]
[風向きが変わり、甘ったるい芳香が纏わり付く]
酒はまだか。
[頭の中で地図を思い描く。
庭園は果てしない]
どこだよここ。
それでも、ウェンの小瓶は手付かずだぜい。
夜が明けると中身に変化が。
この方式だと、明日占う相手いなさげ?
いきあたりばったりで適当。
仮想雫とか何も意味がない。
溶けたら濡れ鼠にでもなるかなー。
[ポンプを押し、冷たい水を手に受けました。
舌に残る味を水が洗い流します。
小さくため息をついて、水場の脇に腰を下ろしました]
[どこかで、リズミカルな叫び声が聞こえました。
意味の通らないそれは、それでも人間の声のようでした。
今夜はやけに賑やかだなと、首を傾げました]
[1] [2] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ