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[手紙。
最後に貰った手紙は、
兄がくれた謝罪の手紙。
痛々しい程、真剣に書かれた文字は、
所々、落ちた水滴に滲んでいた。
あの文面を思い出して。
乾いたふうに感じる笑いを浮かべる男性の
私を見る目を、見つめ返した。]
…それなら、たくさん暇が潰れる。
私の暇もね。手紙を待つから潰れる。
禁句の指定はひとつだけ。
「ごめんなさい」…これは使わないで。
だめ?
[一方的な提案は、彼の困惑をよそに進む。]
ごめんなさい、は
[「申し訳ありませんでした」
「心から深く」――とかなんとか。
たくさん、頭を下げた。沢山メールを打った。
普段の仕事から、そして
入院する時も]
……うん、そうだね
それでいいなら
[強くおされたら、首をふれない。
それだけでなく、謝罪のない手紙が、どういうものか興味がわいた。言い訳のように口にした「暇」は本当だから]
せんせー、ありがとう!
[嬉しそうにオレンジの缶を受け取って。
両手で大事そうに握り締めながら、どこか自慢げに笑って小首を傾げて]
うれしいなぁ。
るり、もうすぐしゅじゅつするの。
だから、そのまえにのめるの、うれしいんだぁ。
[無邪気に笑って告げて。
大切そうに缶の表面を右手で撫でている]
[車輪を回して、近付く。少し。
彼のまだ顔色が悪いとしても、
大丈夫なふりをしているにしても、
言葉を交わせるならちょっと安心。]
…896号室の、草下クルミに宛てて?
返事を書くために、
便箋と封筒と切手の形のシールを
用意しておくよ。
[宛先が必要だろうから、
私の名前と今の住処をお知らせする。]
手術?
そうかい、喜んでくれたなら良かったよ
[えっと、この子は何の患者だったか。
外科手術なら、話は来ているだろうし。
帰ってから、カルテを確認すればいいか。
ルリと言う少女、と言う情報だけでもカルテくらい見つけられるだろう。
最悪、ナースに聞けばいいさ。]
お兄さんはね、手術をする先生なんだよ
君の手術をするのかは、わからないけれど
手術は、怖いかい?
[缶を開けずに撫でている少女。
その様子を見ながら、笑顔で語りかける。]
[近づいた瞳に慌てて視線を逸らす。
スーパーに売っているような、灰色の靴下から一本糸が飛び出ているのが見えた]
すまない、私は何処で買えるか
[買ってきてもらうことも出来ないし]
わからなくてね
領収書をもらっておいてくれるかい?
210号室、天満宛に
……最初は何を書けばいいのかな
[困った、とすぐにあげた顔に苦笑を浮かべた]
[澄んだ声のお嬢さんの頬から
表情は余り読み取れないけれど。
慣れた所作で不似合いな強い煙草を吸う姿は
なにかの儀式のようにも思えていた。
だから、お嬢さんの唇から
「かみさま」の単語が紡がれても
違和感を覚えることはなかった。]
そうか、そうかァ…
かみさまは、お嬢ちゃんがそうして
思い出しながら吸ってくれるのを
喜んでるだろうなァ…
[「かみさま」がお嬢さんにとって
どういう存在なのかは解らないけれど
この世に居ない人物なのだろう事は悟る。
父親だろうか。
そうだったら良いのに、と思ってしまうのは
自分もそうして誰かに思い出して欲しいからだろう。
は、と白い息を吐き、自嘲の笑みをひとつ。
階下から聞こえる声音に反応するお嬢さんへ
「危ないよ」と声を掛け]
お嬢ちゃんの彼氏かァ、そりゃあいい
早く退院して、仲良くやんなァ
[事情も知らぬ癖にがはは、と笑ってそう告げた。
屋上から去り行くお嬢さんへ手を振って
華奢な背中を見送ろう]
…最初の手紙に、
私に送るために欲しい便箋が何色で
どんな風合いなのかを書いてよ。
すると私からの
レターセットのプレゼントが届くの。
次の手紙には「贈り物をありがとう」かな。
[領収書なんて貰ったことが無いから、と。
苦笑いを滲ませる顔を見て。
私は唇を曲げて、少し笑って。]
…天満さん。210号室。天満さん。
忘れないから、約束ね。
[改めて約束を結んで、廊下の先を見る。
そして、私の部屋へ帰る事にする。
手紙を待つために。**]
/*
みなさん、個性があってすてきですね。
クルミさんとテンマさんの
手紙のくだりがとてもすてきだ。
どんな関係性ができあがるのか
楽しみです。
何色が好き、とか
聞いたら駄目だろうね
[先に言われてしまった「ありがとう」に、ほころぶというより歪んでいた口元はゆっくりと柔らかくなった]
約束だ
部屋に戻ったら、すぐに書くことにするよ
[お互い、いつまで入院しているかわからない。
けれどきっと、先が見えないのだろうと。去っていく背中を見送った]
ううん、こわくないよ。
[笑顔はそのままに。
あっさりと首を横に振る]
るり、まいにち、おほしさまにおねがいしてるの。
いいこにしてたら、きっとかなえてくれるんだ。
だからね、こわくないよ。
[秘密を打ち明けるように声を潜めようとして。
けれど甲高い声は、内緒話には向いてなく。
そんな事気付いてないのか、くすくすと笑う。
しかしその後、ふっと俯き]
それに…。
ばくだんをね、とりのぞかないと…。
るりのしんぞう、こわれちゃうから。
[表情を見せぬように小声で言った後。
そんな事無かったように再び笑顔で顔を上げて]
そろそろ、びょうしつにかえらないと。
ジュースはあとでのむね。
せんせい、ほんとうにありがとう。
―屋上にて―
「そうか、そうかァ…
かみさまは、お嬢ちゃんがそうして
思い出しながら吸ってくれるのを
喜んでるだろうなァ…」
[おじさまのことばに、わたしは笑ってうなずきました]
そうだったら、嬉しいです
[かみさま、かみさま
わたしは、あなたのことをわすれたくありません
あなたの好きなもの、好きだったもの、いまはまだぜんぶ全部言えるけれど、覚えているけれど
いつそれがわからなくなるか、わからないのです
わたしはそれが、いちばん怖いのです]
[>>44]
ですから、どうか
あなたとおなじせんたくをしても
おこらないでくださいね
きらわないでくださいね
わたしは、あなたのことがだいすきなのですから
「危ないよ」
[おじさまの声に、わたしは振り返ります
あぶないでしょうか、そうでしょうか
それは、死ぬことを怖がる人だけの話です
わたしは、そんなものはこわくありません
だって、かみさまはあんなに綺麗にしんでいったのですから
だから、わたしだって怖くないのです
本当はちょっぴり怖いけれど、わすれてしまう事の方が怖いから、やっぱり怖くないのです]
「お嬢ちゃんの彼氏かァ、そりゃあいい
早く退院して、仲良くやんなァ」
[屋上のとびらに向かうとちゅう、背中ごしに聞こえた声に、わたしはまた振り返りました
そうして首をかしげます]
ひろくんは、わたしの彼氏じゃあ、ありません
[わたしにとって、ひろくんはひろくんです
いわゆるコイビトではありませんでした
たぶん、ですが]
[それから、手を振ってくれたおじさまに、にっこり笑って手を振りかえして、わたしはそのまま部屋に戻ったのです*]
そう、お星様に
良い事だね、きっと叶えてくれるさ
良い子にしてたら、きっとね
[潜めようとしたであろう声に、答える。
少しだけ小さな声で、彼女に習って。
もっとも、内緒話にするつもりもない。
きっと、近くにいる者には聞こえるだろうけど。]
そっか、爆弾か
壊れる前に、とっちゃわないとね
[一度下がった顔に、疑問符が浮かんだ。
けれど、再び上がる顔は、笑顔のままで。]
私にとって、かみさまは父親のようであり、兄のようであり、恋人のようでした。
私の世界を彩ってくれた人でした。
私の全ては、かみさまによって作られたのです。
生きる術を教わりました。
読み書きそろばんを教わりました。
他にもたくさん、たくさん、教えてくれたのです。
私は、そんなかみさまが好きで好きで、どうしようもなく好きでたまらなかったのです。
ああ、かみさま、かみさま。
どうして、私も連れていってくれなかったの。
ああ、急がなくていいからね
ゆっくり飲みなさい
無くなったら、またおいで
良い子にしてたら、また買ってあげよう
結城先生は何処ですか、って聞くんだよ
[ありがとう、と言われれば悪い気はしない。
笑顔で見送る事にしよう。
それから、あとでカルテは確認しよう。
忘れないように、しっかりしないと。]
[車椅子の音が完全に消えた頃]
……ふっ
[思い出汁笑いの後、誰にもみられていないだろうかと、廊下を見渡した。
その後、売店に立ち寄った。
長く留まる人もいるからか、簡素なレターセットならば、置いてあった。事務的な無地のものと、少しだけ飾りのついたもの。二種類だけ。
真っ白なほうを手にとって、キャンディ一袋と共にレジで袋にいれてもらった]
うん、るりね、おほしさまだいすきだから。
それじゃあ、せんせい。
またね。
[にこにこ頷いてから小さな手を振って。
缶を持ち直すと、廊下を歩いて病室へと戻っていく。
早く戻ってジュースを冷蔵庫に入れないと]
―926号室―
[部屋にもどると、ひろくんがいました
それからお寺さん、この人の事を、わたしはみつおじさまと呼んでいました
ひろくんは、お土産だと言っておいしそうなケーキを持ってきてくれました
ひとくち食べると、優しい甘さが舌のうえに広がって、とってもしあわせな気分になれます]
なんて言うケーキなんですか。
そう問いかけると、ひろくんもみつおじさまも、ちょっぴり悲しそうな顔をしました
どうしてだろう、わたしにはその理由がわかりません
ただ、ふたりの悲しそうな顔を見るのは、好きではありませんでした]
[フォンダンショコラ。六花がよく作ってたケーキだよ。
ひろくんは首をかしげるわたしを見て困ったように笑い、そう教えてくれました
でも、おかしいのです
わたしには、こんなおいしそうなケーキを作ったおぼえがありません
そう言ったら、みつおじさまがこう言います
アイツに良く作って食わせていたじゃないか、と。]
[みつおじさまの言うアイツ、かみさまのことだと思いました
そんなまさか、わたしは思います
それから、毎日つけてる日記をぱらぱらとみてみました
するとそこには、たしかに書いてあったのです
わたしが、かみさまのためにフォンダンショコラを作った日のことが。]
[わたしは、こんなに大切なことも忘れ始めてしまっているのだと気がつきました
そして悲しくなって、鼻の奥がつんとしてきました
目の端から、しょっぱいしずくがこぼれます
ひろくんとみつおじさまがなにかを言っていたけれど、よくわかりませんでした]
[ただ、ただ、
忘れたくないと、忘れないようにと、だいじにだいじにしまっておいた、かみさまとの思い出を
こんなにかんたんに忘れてしまうなんて
そんなじぶんが情けなくて、悔しくて。
わたしは、ぽろぽろぽろぽろ、泣きました**]
お星様もきっと、ルリちゃんを大好きだよ
うん、またね
[戻っていく少女の後ろ姿を見送る。
老女はどうしたろうか。
若者は今暫くここにいよう。
何故なら、珈琲をまだ飲んでいないから。]
[不思議な雰囲気を纏うお嬢さんの
唯一の否定の言葉に面食らったのは一瞬のこと。
"色々と複雑な年頃なんだろうなァ"と
ぼんやりと馳せた。
若いお嬢さんが居なくなった後の屋上は
なんだか少し、寂しさが増したような気がした。
お嬢さんがそうしていたように、
少しばかり顎先を持ち上げ、白い空を見上げる。
良い頃だって、あったのだ。]
[とある見舞客の手記]
六花は、日に日に記憶を失っている。
それでもあの人の事を必死に忘れまいとしているんだと思う。
例えば、ハイライトを吸ってみたり。それから、ちょっとした仕草を真似てみたり。
それでも、病状は進行しているみたいだ。
今日はフォンダンショコラを持っていったけど、覚えていないようだった。
あの人が飽きるまで、毎日作って、何度も俺は味見をさせられたのに。
昨日はあの人の墓参りの帰りに四人で寄ったけど、俺以外の名前はちゃんと呼ぶ事が出来てなかった。
彼女は恐らく、このままだとあの人と同じ選択をするんじゃないかと思う。
けど俺は、例えどんな状態になったとしても生きていて欲しいと、そう思う。
20××年 ◯月△日 記す
[末娘が小学校に上がる頃、仕事が軌道に乗り
若い衆を5人ほど雇って切り盛りしていた。
女房も夜の仕事を辞めさせ、共に仕事を分担し。
娘達には可愛い服を買い与え、
好きな習い事をさせていた。
夏休みには海辺の宿へ旅に出る。
出来たばかりの鼠ランド、美術館へ絵画を観に訪れ
冬には、露天風呂が自慢の温泉宿へ
家族全員を連れて出掛けた。
誕生日には、外食を。
笑顔の絶えぬ家の中で、
娘たちのラフスケッチが溢れていく。]
『お父さん、みて、100点とったんだよ!』
『お父さん、またゆうえんちいきたいな』
『お父さん、せぇらーむーん描いて』
『お父さん』
『お父さん』
[けれど、景気の良い時代はそう長くは続かずに。
仕事は次第に安く叩かれる下請けのみになり、
知人の伝で辛うじて塗り替えの仕事が出来る程度に。
何時しか、朝とも夜ともつかず
酒に溺れるようになっていた。
博打に手を染め、勝てば豪勢な飯にありつき
負ければ家族に手を上げ、娘のバイト代まで奪い
翌日の博打代にして、時を過ごした。]
ああ… 寒ぃな…
[愚かな過去の自分を思い出し、
それを払拭するよう首を振った。
空腹と寒気は人を気弱にしていくのだ。
綺麗な、無垢なお嬢さんの姿を
娘達の姿と重ねながら
屋上へ背を向け、院内へと戻っていった*]
[あぐらをかき、便箋を睨み付けている。
手帳に挿していた万年筆は、ペン先が少し乾いていて、最初に書いた宛名が掠れてしまった]
……本気、かな
[閉じられたカーテンの中、呟く。
「手紙を書いて」
そう言った彼女は、どんな表情をしていたっけ]
やめたやめた
[首を振ったタイミングで、点滴を交換しに看護師が現れる。咄嗟にだしっぱなしだった手帳で便箋を隠した。
予定の書かれていない手帳を、とん、と手のひらで叩いた]
[相変わらず職は、ない。
知人に頼み込んで日雇いで塗装工をしているが
ここ最近は呼んで貰えない日々が続いていた。
帰って酒でも飲もうと、廊下を歩む道すがら
白衣の青年の姿が見えた。医師だろう。]
医者、っつーのはよう…
[そこに佇んでいるだけで、
妙な威厳があるから不思議だ。
どんなに若かろうが
白衣を着て院内を歩んでいるだけで
「先生様」と拝みたくなってしまう。
母が末期だから、余計にそう感じるのかもしれない。
遠巻きにユウキ医師を眺め、手を合わせた]
母ちゃんを、頼みます先生…
[声音は届かずとも、妙な動作は
医師の目に入ってしまうか。
せめて、苦しまぬように、と。
解らずも、男はそのまま正面玄関から*去っていった*]
[珈琲を啜る。
珈琲の何が美味しいのか、と聞かれた事がある。
苦いだけじゃないか、そう言われる。
一体何が美味しいのか。
答えよう、わからない。
煙草や酒のように習慣性がある。
それだけの物のような気もする。]
珈琲は、お好きですか?
[老女がまだそこに居たなら、そのような事を聞いてみたかもしれない。]
[そうしていた頃、ふと妙な仕草をしている男性が目にとまった。
こちらに手を合わせて、何やら祈っている風である。
何かを呟いているようだが、声までは拾う事は出来なかった。]
…―――?
[少しだけ、考えた。
けれど、大体の察しはつく。
男性は私服のようであるから、お見舞いの方なのだろう。
そして、神でも仏でもなく、白衣を着ただけの若造に祈る事など一つしかない。
入院されている方の事であろう。]
[手を合わせ、思わず慣れ親しんだ経を唱えてしまった。
はっと我に返り、そそくさと廊下を後にする。]
/*
ありがとよ、先生。
気づいてくれて、ありがとうよ…
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