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[追憶に意識が吸い込まれそうになる、
その刹那を掬うように声をかけられた。
我に返る作家は、
会釈に足りない身動ぎと目礼をする。]
ああ、すまない。
[目の前の若者に、"会った"とも
"見かけた"とも言うのは何か違う気がして]
思い出の中に、
君がいた気がしたんだ。
[作家の補足は奇妙な言い回しになった*。]
[昨日のことであれ、
過ぎ去った時間の記憶はみな思い出だ。]
商品にはならない、思い出だけれども。
[自身のものであるという事実が肝要だ。]
あ、いえ、別にその……。
[すまない、と詫び言をいわれてしまった。
因縁をつけてしまったように思われたかと、少々困ってしまう。
──が。]
思い出の、なかに、ですか?
[あまりにも予想外な言葉が続いた。
思わず相手の顔をまじまじと見つめる。]
それは、今のこの僕?それとも──
そう問いかけた相手の顔に、何か見覚えがあるような気がして。
……ああ、ごめんなさい。変な突っ込み方をしちゃった。
[相手の顔から視線を外して、ぺこりと頭を下げた。
この人は、多分土地の人でも近隣の県の人でもないのだろう。
そう、さっきの相手の言葉を思い出しながら考える。**]
……
[瞬く作家が無言で首を横に振ったのは、
詮無い謝罪合戦になるのを防ぐ些細な業か
はたまた『今のこの僕』を否定したものか。
まじと見つめられても、掠めた思い出は
未だ相手と共有するものではなくて――]
[福引屋が呼ばわる。
福を引いてお行きなさい。――――
ごそり、作家の片手がボケットを探る。
つかみ出した500円玉をおもむろに
福引屋へ渡しながら、若者を見遣った。]
よかったら。
…君も、ひとつ*どうだろう*。
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[思い出屋村の一日目]
現在、定時更新が【07/08 23:00】になっております。
このまま進めるか、
ログのキリよいところで今夜更新するか、
一言メモにてご希望をお聞かせください。
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──「思い出屋」?
[説明するような男性の口調だったが、いかんせん意味が。
屋号なのか業種なのか]
いか焼き・福引き・お面売り……
[何かが心に引っかかる。]
[ウエストバッグを探って、財布を取り出す。]
お目当ては何かあるんですか?
[誘ってくれた人の後ろにつきながら、そう声をかけた。]
あら。
[神社の境内の並ぶ屋台の一角で目に入ったのは、先日婦人会に顔を出した男と少年]
いかやき、ふくびき、おめんうり…
[毎年真しやかに囁かれる噂話を思い出す。言葉を交わす二人の後ろをするりと通り抜けた]
[アセチレンランプと灯籠の明かりに、つやつやとした色白な顔の福引き屋の笑顔が浮かぶ。]
……美味しそうだ。
[店主の食べているのは、たぶん隣の店の売り物。]
[景品を見回した作家が指さすのは、
重ねてぴっちりとラミネートされた
分厚い『シツジノ学習帳17冊セット』。
…前日のご婦人が通りすぎるのは、
新井式廻轉抽籤器の回し取っ手を
慣れぬげに摘んだ作家の背後。]
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