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― 翌朝・早朝 ―
ん、…
[小さな身動ぎと衣擦れの音。
横で眠る男は起こさぬように衣服を羽織り身支度をする。
ぼさぼさに伸びた髪を櫛で梳くも通りは悪くそろそろホズミの所へ行くべきかと考える。
風を通そうと窓を開けると、人影を見た。]
…アンちゃん?
――夕刻・村長宅――
一揃い、砥ぎ終えてますので。
[開いた木箱の中には、儀式で使う剃刀が大小並んで鈍く光を反射させている]
今回は誰なんですか?
……いや、阿弥陀くじとかそういう選び方の話は聞いてないです。
[空を切って、裏手突っ込み]
気のせいかな?
[首を傾げもう一度窓の外を見るがそこには誰もいなかった。
その足で居間へと向かえば朝食の支度を始める。
朝食は、水菜の味噌汁と茄子と胡瓜の糠漬け、大根おろしを添えた卵焼き。おひつに入っているご飯は2人が起きてから用意するつもりで]
―翌朝・自宅―
……うーん。
[自宅の布団で目を覚ますと、一度伸びをしてから、しばし寝転がったまま天井を見詰める]
あのまま帰ったのはまずかったかな?
[夜に娘の家を訪問する、というのは、つまりそういう意味合いを持つのだろうと今更考える]
ま、いいよね。万代さん何も言わなかったし。
さて、仕事仕事。
[言い訳するかのように独り言ちると、今日の時間割りはどうだったかなと考えながら、寝床を抜け出した]
今日は学校行く日だったな。
あ、それとポルテさんの所にも。
[くつくつと沸く味噌汁をお玉で薄く掬って口へ運べば]
…熱ッ ちちち。
[舌に痛みが走り目を細めた。]
『…大丈夫?』
あ、おはよー。
[背後には母親と似たようにぼさりとした髪に寝癖を残した双葉の姿。]
ダンちゃん起こしてきてくれる?
[双葉にそう伝えると、こくりと頷いて奥の寝室へと向かっていった。双葉はダンケの身体をゆさりゆさりと揺らして起こそうとしただろう。
3人が食卓へ揃えば、櫃から米をよそい並べて、手を合わせて「いただきます。」と言ってから食べ始める。]
…ダンちゃん。
ポルテさんの様子 今日も見てくるけれど良くないようなら今日もご飯食べに来てくれていいからね。
ね、双葉。
[横に座る双葉と視線を合わせて頷きあった。]
あの髪の長さとセーラー服は、アンちゃんではなかろうか?
[独りごちるも、牛歩のスピードは変わらない。
扇子を開いたまま、腕を振ってみるが気づかれる様子もなかった]
―道端―
[支度を終えて、家から抜け出す。
相変わらずの熱さに手団扇しながら歩いていると]
あれ……ホズミさん?
何やってるんだろ。
[どこかに向けて腕を振っている。
その相手が振り返す様子がないため、奇妙な光景に見えた]
おはようございます……?
[戸惑いながらも、挨拶の声を掛けた]
[扇子を掲げる形から半回転。
ひざ下まであるスカートがふわりと広がる]
あら、セイジ君。
……ご機嫌麗しゅう。
[その顔に浮かぶのは苦い笑み]
―回想・8年前―
え?うん。まあ、言われてはいるけど。
[若い健康な身として、早くから期待されていたので、何度か経験はあったものの、相手は年上ばかりで]
うん。いいよ。
…まあ、今日来たのだって言われたからだし
[元よりそのつもりではいたものの、年上の女性たちとは違う若葉の様子に戸惑いつつも頷いて。その日、初めて若葉と肌を重ねた**]
[翌朝。目覚めて身支度を済ませた後、居間で本を読んでいた。ところどころが虫や黴に蝕まれた古い書物。海の様々な生物の絵が収められた、異国のもの。
細かく姿を写し取ったそれはしかし、年月で掠れた黒のみで形作られているせいだろう、命を手放して久しい亡骸を描いたかのようにも感じられた]
……魚も、夢を見るのでしょうか?
[呟き、外に目を向ける。村は今日も暑く眩しい]
―若葉宅―
…ん?若葉ちゃん?
[体を揺さぶられる感覚で目を覚ますと、見えた姿にふと、昔の呼び方で呼ぶ。しかし、呼ばれた方はきょとんとした様子で]
あ、ごめん。双葉ちゃんか。
ははは、昔の夢を見たせいかな。間違えたみたいだ。
おはよう。起こしてくれてありがとう。
[起こしに来てくれた双葉の頭を撫でると、布団を畳んで、双葉と一緒に朝食へ]
アンさんが?
[ホズミにつられて姿を探すが、既にその場を離れてしまったようだ]
逃げられちゃった、か。妙な話だね。
栂村さんを怖がってるとか、そういう訳でもないだろうし。
何かあったのかな……。
[首を傾げるばかりで、答えは出て来ない]
何を怖がる必要があるー、よね。
あれ、私も今逃げられた形?
[思案顔]
こうしていても暑いだけよ、進もう。
カキ氷食べたくない? 氷。
そうですよねぇ。
[アンが向かったと思しき方向を見詰めてから]
氷? そりゃ食べたいですけど、仕事がまだ……
[言いながらも、見えない引力に引き寄せられるかのようにホズミの後を追う]
あっついなぁ。
仕事は氷を取ってから行けばいいのよ。
[暗に、運んでくれと意味をこめる。
相変わらず扇子で扇ぎながら、天然氷のありそうな方へ進む]
そうだセイジ君。
今度の生贄って誰だか知ってる?
[円卓を囲んだ食事を終えれば洗い物を済ませ、双葉は先に縦笛を嬉しそうに持ったまま学校へと向かって行った。]
そろそろ儀式のための生贄が決まる時期だね。
決める前に村長さんは必ず私のところに来るからなんとなく解るんだよね。
[これは内緒だけど、とダンケの方を向いたまま人差し指を唇の上にあてて言う。]
そうですね。
ちょっとは涼まないと、体が持ちそうにないし……。
[氷のひんやりした感触を思えば、それを運ぶくらいはお安い御用だった]
あ、生贄ですか?
そういえば、まだ聞いてなかったな。
[集会所に居た年寄り連中なら知っていたかもしれない、と]
え、誰を、って……。
[訊ねられて、困ったような顔をする]
……ネギヤさん、かな。
柔らかそうというか、脂が乗ってそうというか。
[彼の餅肌を思い出しながら答えた]
ホズミさんは、食べたい人とか居るんですか?
[机に置いて読んでいた本を閉じ、元あった場所へとしまう。それから冷たい茶を湯呑みに注ぎ、縁側へと腰掛けた。年寄り臭い。いわゆる悪ガキで有名な少年に、そうからかわれた事を思い出しつつ]
今日も、暑いですね。
……けれど、秋も遠くはないのですね。
[足元に落ちている二匹の蝉の死骸を見て、目を細めた。烏や猫やであれば不吉にも感じるだろう死骸は、夏の終わりの蝉である限りは、珍しくもなく]
儀式の生贄は、1人 だからね。
[理由を問うのならそう答えて、食器を洗い終えれば仕事の支度を始める。
古い戸棚を開けば母が残してくれた手記らしきものが大切そうにしまってある。そこには仮に殺人が起きた時にどう対処すべきかなども記されていたものだった。]
さ、ほらほら。
ダンちゃんもそろそろ畑行かなきゃ。
お野菜さんたちがお水待ってるよ。
それじゃあ、仕事行くね。
[戸棚から鉛筆と紙を取りだし鞄へ詰め込んで出勤の支度。
診療所の方には
『本日は学校と回診日です。
戻りは夕方ころです。』
と、張り紙をしてから家の外へ向かう。]
ひみつー、ですか。
[誤魔化された事に釈然としない顔をしたが、ノコギリと紐を手渡されて]
はいはい。
氷は少し余分に食べさせてくださいね。男なんで。
[お駄賃を要求しつつ、氷を探しに洞窟の中へ]
ほわー。
今日も暑くなりそうだぁ…
[蝉の鳴き声を聞きながら
陽が昇り始める村の青空を見上げた。
学校へ向かう前にその足で小料理屋へと向かった。**]
おはよう。若葉さん。
うん。美味しそうな匂いだ。
[居間に入ると若葉に挨拶をして、いただきます。と手を合わせて、朝食を食べ始める]
ポルテさんを?分かった。じゃあ、畑に行く前にでも行ってみる。
そいつは助かる。それじゃあ、今日もお願いしようかな。
[ポルテの事を頼まれれば頷きつつも、続く言葉には嬉しそうに答え、頷き合う親子を楽しげに見つめる。食事を終えると、片づけを手伝いつつ、学校へ向かう双葉を見送って]
うん。そろそろ決まる時期だねぇ。
へぇ、そうだったんだ。
[生贄がなんとなく分かるという若葉の言葉に驚いた表情を見せて、人差し指を立てる仕草に黙って頷く。]
ちなみに、若葉さんは誰だと思ってるの?
[声を潜めて聞く]
それなら取っておいて、後で冷たい水として飲みますよ。
[見付けた氷をぎこぎことノコギリで切り取っていく]
昔? どうなんだろう。
砂糖も貴重だったんだろうしね。
[今も贅沢に使える訳ではないが]
他の飲み物を冷やして固めたりはしてたのだろうか。
……よいしょっと、こんなもの?
[切り出した氷を指差す。
小振りだが二人で食べる分くらいはあるだろう]
はい、お疲れ様。
[ノコギリだけ受け取る]
触ってるだけでも贅沢だったかもしれないね。
[と、氷で冷えた手のひらをセイジのうなじにぺとり。
そして脱兎]
おっと、そうだね。そろそろ畑に行かないと。それじゃあ、また後で。
[若葉に急かされると、若葉と分かれてまずは滝に水を汲みに向かう。]
…………。
[放置された氷に紐を巻いて手提げ状にする]
こんな洞窟がいくつもあるとは思えませんしね。
[ホズミに同意していると、うなじに冷たい感触]
うわ!?
[思わずびくっとする]
こら、ホズミさん!
[された事を理解して声を上げるが、相手は既に逃げ出した後]
もう……からかわないでください。
[ぶつぶつ言いながら、氷を持ち上げた]
[ノコギリの刃先をスカートの裾で拭って元あった場所へ仕舞うと、洞窟の方へ声を張った]
セイジ君、知ってるー?
氷ってね、溶けるんだよ。
[はしゃぎ声を上げて、木陰を早足で進む。
時折、振り返って姿を確認しながら]
わかってますよ、そんなこと……!
[氷を提げて、ホズミの後を追う。
荷物の重さが邪魔をして、なかなか追い付けない]
まったく、いい年してはしゃがないでくださいよ……。
[時折こちらを振り返る様子が、からかわれているようで余計に癪だ。
それでも折角の氷が小さくなるのも嫌なので、歩調を上げる]
[そのうちに自宅を出て歩き始めた。時にゆっくり、時に慌しく行き交う人々とすれ違う。未だに心に引っ掛かっているアンの姿は、辺りには見付けられなかった。
村人達の会話には、一日一日と、儀式の単語が増えていっているようだった]
いい年って言ったから、カキ氷は1杯しかあげない。
[ずかずか歩いていくが、その歩みは日差しが強い道に差し掛かると緩む]
暑い。暑いよ。
……あれ、ンガムラさんかな。
[道の先を指差し、振り返ってセイジにそう尋ね]
アンちゃん居たけど居なかったですよー。
[先ほどと同じように、扇子を持ったままの手を振る]
や、だからそういう所が子供っぽいって――
あ、栂村さん。
[ホズミとの言い合いは栂村の姿を見付けた所で中断した。
彼女に訊ねられて頷く]
そっか、元々栂村さんがアンさんを探してたんだっけ。
[そう呟いて一人で納得した]
嗚呼。今日は、ホズミさん。
セイジさん。
[見えてきた二つの姿。声をかけられると、小さく頷くようにして挨拶を返した]
居たけど、……
やはり、逃げられてしまったのですか?
[ホズミの言葉にそう確認する。返事を貰えば、そうですか、と頷いただろう。藹々として見える二人の様子には、微笑ましげに]
氷ですか。毎日暑いですからね。
おや。私まで……良いのですか?
折角取ってきたものを。
[ホズミに言われれば、大きくはないだろう氷塊を見て、首を傾けるようにして]
―滝―
[滝に向かう前、一度自宅に帰り、木桶をもう一つ持つと、滝で水を汲み]
よいしょっと、家から出れないと水も汲めないだろうし、持って行ってあげようかな。
[両手に木桶を下げ、まずは水を届けに小料理屋へ向かう。**]
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