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それならば何故君は――。
[炊事場の小さな窓の向こう、雲が増えてきた空を見上げた。
コップをいくつかとお茶の入ったヤカンを手に席に戻り、適当に注ぐ]
ホズミ君は見ていなかったのか?
[広報誌のお悔やみ欄と、数枚の死亡届や診断書を指差した]
単なる嫌な悪戯かもしれないがね。
それならば何故君の姿は見えないのか。
[脳裏に浮かぶ女の顔は、この村で会った誰のものでもない]
何……?
[混乱する思考は、落ち着こうとすればするほどに混線していく]
意味などあるなら教えて貰いたいもんです。
ご先祖様の霊が宿る壷ですとでも言う商売でも始めるかな。
[無意識に胸ポケットを探っている手に気付いた。
もうそこは空っぽだ]
天罰かもしれないな。
大切にしようと思っていたはずの人ひとりの命すら救えなかった男ですよ。
導くなんてとんでもない。
[手のひらをみやる。
フナムシが手中に見えた]
そうだな、勝手に死人扱いをしているだけなのかもしれない。
打ち上げ花火、上から見るか下から見るか?
[猫の行方を目で追う]
問えば、『横から見たい』というような人だった。
[視線は彼の人を探すけれど、一向に見つけることが出来ない]
願えば還ってくるのなら、とうに彼女は戻ってきているはずです。
届かぬ可能性の高さを知りながら、人は祈るんですよ。
いただくよ。
[ライデンの差し出した煙草を*受け取った*]
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