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大丈夫、これで全てが終わるよ。
――村瀬さんは、元の世界に帰る事ができるんだ。
[自分が"隣"へと向かう事が決まった。
決定を言い渡した村瀬に対し、寂しげな笑顔を見せながら、最後にふわりと頭を撫で――向かうのは死への入り口。
彼女は僕が死ぬとは思っていない。だから、あの時交わした約束など、守られる事が無いのだという事も知らない。
けど、これでいいのだと未練を引き摺らないよう、背を向ける。
しかし、誰も追って来るはずは無いのに、後ろから不審な物音が聞こえて、振り返った先には――]
[――彼女がカッターナイフを手に僕に向かって来る姿が見えた。
少しの距離はあったのだから、防ぐ事も出来たかもしれない。けれど、これは贖罪なのだと、その動きを受け入れたのだった。
やがて喉に刺さる薄い刃は、上手く動脈を切り裂けず、焼けるような痛みを与えてくれた。]
……っ、…かはっ。
[あまりの痛みに、立っていることが出来ず、彼女に視線をやりながら膝をつく。
ふと我に返った表情で、怯えたようにこちらを見る姿に――
"君は、悪くない"
――だからそんな顔をしないで、と伝えようとするのだが、音は紡げず、口の中に溢れる血が外に漏れるだけだった。]
「六花、欲しいものがあるのよ」
[どこか嬉しそうなその声を最後に、僕の意識はそこで途切れた**]
―クランクアップif その後―
[撮影終了の熱気が収まらぬ内に、僕は村瀬さんに謝らなければいけない事がたくさんあった。
例えば、彼女が涙を流す場面で、言うべき台詞が出て来なかった事。
目薬を使わない演技だったため、何度かやり直すという事が心苦しく、申し訳ないと感じてしまっていた。
そして、もう一つ。
最後に言う台詞は、「村瀬さん、ごめん」というはずだったのに、役柄に感情移入しすぎてしまったのか何なのか、あろうことか、僕は彼女の名前を言ってしまっていたのだ。]
監督には突っ込まれなかったけど…、なんで、そう言っちゃったんだ…
[うああああ と頭を抱えたくなるくらい恥ずかしい。
村瀬さんはその言い間違いに気付いているはずで、彼女にそれをどう謝ればいいやら、見当もつかず。
それ以来、視線が合う度に照れくさい。以前は普通に話せていたのに、なんだかぎこちなくてもどかしい。
そんな様子を、シンヤにからかわれる日が来るとは、想像もしていなかったのである。]
―END―
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