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― 誰かの視界 ―
[ ザ――――。
先ほどまでは幅の広い土の道を見ていた女は。
今は比較的幅の狭い土の道を視る。
路地裏だろうか]
「ノギさん……―逃げられた」
「まだ遠くに―――――いはず」
[ 道の真ん中で男性と緩慢に会話。
声からしても内容からしても。
ああ、これも探している視界じゃ、ない]
―― ある半屍人の視界 ――
[黒ずんだ手が鍵盤を叩く。
左手の薬指には光るものが。
どこか懐かしさを感じるメロディ。
歌声は近すぎてくぐもった呻きのようにしか聞こえない。
楽譜はない。よどみなく指先は演奏を続ける]
―ジャック・カズヤの視界―
[姉と離れ独自に行動している。
追いかける相手は未だ人間の香を纏う、見かけぬ大学生風の女。その名ソラというかもしれぬ。
女を見失ったのは、川辺のネギヤの住居の前。教誨所の扉の印と同じものがそこの扉にも刻まれている。中へ入りこんだと判断してか、カズヤは住居へ。そこで視界に映ったは女でなく、ネギヤのものらしき日記帳。
興味本位でか、カズヤは境界の守護者の日記をめくる。年月日の記入は無い。
過去>>1:35よりサイレン響く時、逃れ得ぬ運命の儀式が始まる。そう悟っていた心情も綴られていた。]
―――――――――
[日記の頭の方の、カズヤの目に触れなかった古いページ。そこには――「境界は教誨に通ずる」と一文が記されていた ]
逃げられないこと位――
[ざわめく視界。ノイズ交じりの声。]
百も承知さ。この村に来るって決めたんだ。
腹は括ってるよ。
[鼻で嘲笑い、一蹴した。
知らない声。知らない、場所。
だけど内側越しに知っている。
視線の先の熱さは――…]
[持ち出されるはずの無い炎を見、
男は身動ぎ、慌てたように踵を返した。
彼がまだ生のある人間として、
この世に存在していたのなら。
さぞかし慌てふためき、
村中に危機を知らせただろう。]
「ギー!!」
[悲鳴にも似た、切り裂かれる声が木魂する。
しかし、彼の声に応えられる者は、居ない。]
― 御湯治場方面へ続く道 ―
アンちゃん…俺は、あの時アンちゃんが『助けて』と言った言葉は本心からのものだと思ってる。
一人になんて、出来やしない。
俺に理由を、言ってくれないか?
ミヅホちゃんに…何か、関係が……?
[言い募ろうとした。問いかけようとした。]
「ノギさんも、赤い水にやられてしまうよね?」
[言われた意味が分からず、沈黙で問うた。]
アンちゃん…!
[追えば、追いつけただろう。だけども、]
……!
[拳を作り握り締める。
アンは、手分けをしようと言っている。少なくともノギはそう判断した。]
―― どこかの屍人の視界 ――
[暗闇に浮かぶ明かり。
誰かが持った、炎の明かり。
しばらくそれを追いかけていたが、見失って立ち尽くした様子。
景色が斜めになって、戻る。
そしてぐるりと旋回]
[木の葉と、小枝にまぎれた女学生の姿。
大事なもののように抱えている金属バッド。
こちらを向いた女学生の顔には、赤い涙が滴っていた*]
[放った炎は、じりじりと肉体を蝕むだろうか。
揺らめく炎の明るさを眺め、火を放った女の姿は、
果たして初めからこの世に存在していたのかすら、
怪しい。]
[―――やがて辿り着いたのは。]
[赤い赤い―――あかい]
これ…は…… どうなって
[あがくほどに絶望へ至る]
[否――楽園へと至る――神の湯治場――揺り籠]
[見えるのは――広がる――赤い――湖面には――同心円状の輪――赤い水から突き出す――枯れ木が――異相であり――幻惑的に]
*[ザ...ザザ...ザ―――――――――]*
― 視界混線中 ―
「もうすぐ日付が変わる……か。」
[ 見慣れた懐中時計を広げて時刻を読む、聞き慣れた声]
「あの日記を――く調べられなかったのは――――けど、やっぱり私達の見立―――――てなかった―――よ。」
[ ノイズ混じりの言葉。けれど最後の一言だけははっきりと聞こえた]
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