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ありがとうございます。
これで少しは報われるような気がするの。
[数日後、預けていた品物を取りに再び金物屋。
少女の慰めに涙するほどではないにしろ、
失ったものの代償はやはり大きい。]
え? 思い出屋のはなし?
は? はぁ…
[半ば混同しているとしか思えない話を聞き、彼女は自分の指先を見る。
薄く塗った桜色のマニキュアが目に入った。]
だからあんな重そうな鞄を――?
…まさかね。
いくらラッピングをご所望だったとしても、それはいくらなんでも…。
[横丁の人間は面白がっているのか。
それとも至極まじめなのか。]
でも、思い出屋に遭えたかも今回は判らないんだし。
それに、遭えたとしてもそれが彼だという確証はないし。
それよりマニキュアを抱えて走り去ったって…
[ため息交じりで空を見上げる。]
素行調査は当社におまかせ! かぁ。
[目に入ったのは先日聞いた、元祖ひげのおっさんの職場。]
[事務所へ押しかけてもよかったが、それも気が引けて、外でしばらく待つ。
しかし同じ待つなら焼き鳥屋の方が確実化と思い、歩き出す視線の先に――]
井戸端会議かしら?
[見慣れた三人の姿。]
『なぜ、人は思い出を欲しがるのだろうね』
[金物屋の主人を思い出す。
カチャカチャと音を立てる金属音は、仕舞うかばんの中から。]
こんばんは、かな?
今日は立ち話の気分なの?
それとも、噂話を拡散する手段かな?
[手を上げて応えるグリタに微笑みを向け。
邪魔をしないように話に耳を傾ける。]
対価、か…
[先日、何かが引っかかっていたのは。
もしかしたら対価かもしれないと、三人の会話を聞きながらぼんやり思う。
遠くで夕焼け色の探偵の姿が見えたなら。
手招きをして呼び寄せたりもするだろう。
奇妙な噂。翻弄される日常。
それでも人の繋がりが出来ていくのも、思い出屋の功績だろうかと、ふと思う。]
そう? どこかってやっぱり焼き鳥屋?
[レンの答えにへらりと笑って。
まさか噂の検証をされているとも思わずに。]
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