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…――――
どうしよう、かの
[また一人、いなくなってしまった
わかっている七不思議はあと3つ
そして、詳細不明の7つ目
どうにかして、マシロを外に出してやりたい]
校舎内の七不思議の残りは、トイレか
[行ってみた方が、いいのだろうか]
なら、行くか
花子さんのトイレ、女子トイレやんな?
[ナオは、立つ事が出来るだろうか
大丈夫なら、歩く事を促すだろうし
無理そうなら、支えねばならないけれど]
確かめて、逃げようや
あと3つ、回らないかんのやし
そか、一階か
女子トイレに入るっち、さ
こんな状況でも、嫌なもんやな
[階段を降りながら、語る軽口
何か話さないと、恐怖が大きくなりそうで]
そんなに俺に、赤飯喰わせたいんか
[そんな事になったら、次の日の学校が憂鬱だ
・・・いや、次の日があるのならだけれど]
わかった、赤飯喰いたいんやろ、マシロ
喰い維持張っとるのー
やから、変態呼ばわりされて何を祝うん
でもまぁ、そんな言うなら
帰ったら、一緒に赤飯喰うか?
[生還祝いだ、盛大に祝わないとな]
おいおい、飯、すっきゃな
[屋上から、一階まで
ゆっくりと、ナオに気を使いつつ降りる]
変態は、大人の階段なんか
そんな階段、登りたくないわ
つか、飯って太りやすいん、しっとるか?
[一階の廊下は、静まり返っていた
風の音すら、ここには無い
ただ、無音と、濃密な気配の道
常世と現世の境目に、立ち竦むような気がした]
…―――
[マシロの袖を掴もうと、手を伸ばしていた
勿論、無意識にであるけれど]
喰いすぎなきゃの、喰いすぎなきゃ
[軽口を叩く口も、重たくなっていく
拒否されなかった手を、自覚してしまうと
自分の行動に、恥ずかしさを感じるけれど
それでも、何処か繋がっていないと、不安で]
…―――
いくか、この先やろ
[一歩、一歩、足を進めた]
そやな、甘いもん、喰いたいわ
帰ったら、甘味パーティーするか
[ナオに、そう言った
帰ったら、戻ったら、そう考えないと
心がきっと、折れてしまうのだ]
…―――
[目的の、女子トイレの前
辿り着いてしまった、校内最後の七不思議
さて、どうやって切り抜けたらいいのだろう
もう、誰も消えないようにするには
どうしたら、いいのだろう
わからない、何もわからないけれど]
ノックして、花子さん呼ぶんやっけ?
俺が、いこか?
[守らなくては、ならないのだから]
…――――
俺は、マシロを守る
そう、ゆうたしな
ええわ、止めてやる
その代わり、マシロ
何があろうと、俺ん手、離すなよ
やる事やったら、無理矢理引きぬく
花子さんが、返事しても、せんでもな
それで、ええか?
[マシロに、右手を差し出した]
…――――
[器の背中で、じっとトイレを見る
そうだ、たしかそうだった
生きていた頃の、記憶
私は、この学校で生まれた幽霊ではない
学校と言うのは、負の感情が集まりやすい場所
その負の感情に、惹かれてやってきた魂
七不思議なんて物が、負の感情の典型だ
最初は、形なんてなかった、ただの嘘
それを、生徒達が言葉にし、語り継ぐ
その言霊に、想いをのせて]
[怖い怖いと、笑いながら
心の底の負の感情が、嘘を真にしていく
それこそ、学校の七不思議]
「何か不思議な事が起こればいい」
「自分が関わらなければ、怖い事があればいい」
「ただ怖いだけじゃ、面白くない」
「たとえば、誰かが死んだりすると面白い」
[学校には、理を知らぬ者達の
無邪気な邪気が、溢れている
それが、私のような、古い、悪しき魂を
このような場所に、引き寄せて離さない]
…――――
そう、私の名前は
[ドアが開くのを、この目で見た瞬間に
返事の声など、聞く前に
思いっきり、マシロの手を引いた]
っ…―――
[体が動くとか、動かないとか
片手じゃ重たいとか、そんな事どうでも良く
ただ、純粋に、無くしてはならないと
無くしたくないと、思って、引っ張った]
こっちや、戻れっ…―――!
[背中から、今までで一番大きな寒気を感じた]
戻れ、マシロ…―――!
[渾身の力を入れて、引いているけれど
腕力と霊力は違うもので
そうそう、上手くは行かないかもしれない
それでも、この手だけは離さないと
そう、心に決めたのだから]
離さんからな、絶対っ…―――!
[背中から、声がする
聞いた事のない、女の声がする]
[問う声は、くすり、くすりと笑い続けて
願いを叶えたいのかと、語る]
そら、叶えたいわな
こいつ以外は、なんもいらんわ
[引っ張る手に、力が籠り
霊との引き合いは、どちらが勝つか]
貴方、願いは叶えたい?
[器に問うた声は、届いたようで
聞こえた答えに、くすり、笑う]
貴方の願い、叶えましょう?
ただし、お代は頂くよ
[両手が添えられた手を、更に強く握り
俺も、両手で彼女の手を握る]
っ…――――!
[どうなるか、わからないけれど
力は、確かに籠っている]
マシロ、痛くても我慢しや?
一緒に、おるからな
/*
紅の本当の名前の話
最初は、流れ上「花子さん」にするつもりで
「トイレの花子さん」の異説を作ろうと、結構苦心したのです
花子→華子→華(女)子(子供)→性を売る女性、しかも子供である→花子さん遊びましょ、とはつまり…
と言うね、そう言うのを考えて
百花繚乱から貰って
百花の王、牡丹を名前にしようと
そう、思ったのでした
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牡丹 死亡年齢13〜16歳くらい(年齢消失) 死後200年〜250年
設定
貧しい農村の生まれであり、飢饉の年に人買いに売られ、色街に入る
最初の客を取る日の夕刻、脱走
村に戻るも、華子(色街から逃げて来た子)と呼ばれて、村中から酷い扱いを受けていた
死因 性的暴行の上、惨殺
学校の七不思議の定番である、花子さん
最初はただの作り話であったけれど、数多くの子供達がそれを試した結果、無残な死を遂げて彷徨っていた彼女の耳に届いた
花子さん遊びましょ、と言う声が、自分に暴行を働いた者達の言葉とかぶり、それを口にした者に復讐を試みるのだと言う
自分自身の、暴行で受けた恥辱を穢れと感じており、清らかな場所、日の当たる場所には顔を出せない
もしも彼女に出会ったら、自分自身を赤い絵の具等で真っ赤にして、日の出まで起きていなくてはならない
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赤は彼女と同じ色であり、女性の穢れだと彼女は感じるようだ
だから、赤く染まった者には、自分の境遇を重ねて手は出さない
トイレ以外に現れないのは、七不思議がトイレの花子さんであった事と、彼女の死体が丁度トイレくらいの物置に詰め込まれていたからである
…―――
とまぁ、こう言う設定にしようと思った
だがしかし、最後の流れで失敗した(ぉ
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