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うぬ? …伝えること?
[首を傾げてから、相手の気持ちを軽くするためにか、
…単なる本音なのか。ともあれ促す言葉を続ける]
歯切れ悪いぞっ。
呼んだのはセイジのにーちゃんだぜ。
オレ様はさっさと用事を終えて、
丸くてうまいもんを食べにゆくんだ!
[ゼンジとヨシアキの吹き出しのやりとりを
じっと眺める。
…守りたいもの。
ゼンジの言いたいことは、
なんとなく分かる…気がする。
――…ただ。欲張れるのも。
ある意味、強いことではあるけれど]
セイジのにーちゃんも、
女難で、痛い目あったことあんのか?
[好奇心に満ちたきらきらした瞳で見上げてみた。
が、続いた嘘に、表情は一気に奈落の底に落ちる]
Σ な、なんだとー!!?
うそだっ。嘘だと言ってくれー。
[袖を掴んでぶんぶん揺すりつつ。
階段へと歩きながら、質問には渋面を作る]
オレ様、ほとんど10thのおっちゃんと会ってねえよ。
一度会ったけど、見逃せ!って逃げられちゃったし。
なんつーかこう、警戒されてた、感じ?
…ふーん。セイジのにーちゃんは、
その頼みごとが何か気になってるってワケ?
[どんよりした目線と沈黙に、こう、思わずこっちも神妙になったりしつつ、掴んでいた袖を払われ、手持ち無沙汰に、手をぐーぱー動かした。
濁した部分についてはよく分からず、目を瞬いたりもしたけど、結局そのまま流す]
言いたいこと。むむーん。
…それこそ、見逃せとか、そういう系だったのかなーあ?
10thのおっちゃんが何かしたら、オレ様にはわかっちゃう訳だし。
…だいたい、あのおっちゃんがオレ様みたいな子供に
なんか大事なこと伝えるとは思えねーし。
[けらっと笑う]
親っていっても、
オレ様が10thのおっちゃんの子供って訳でもねーし。
そんじゃ、子供だったら誰でもいいん?
[言葉遊びするように返事を連ねて。
大人子供を主張するセイジを見上げる眼差しを、
すっと細める]
セイジのにーちゃん。
…――伝わらないよ。
届かないまま無くなった想いは、伝わらないよ。
ああ、いや。
かみさまだったら、掬い上げれるんかな?
よくわかんねーや。
[セイジのきっぱりした返答に、
けらっと楽しそうに笑った後――
距離を一歩詰める。
伏せた眼差しの下に入り込んで、
見上げる角度は先程よりも深いもの]
じゃあ、なんのため?
自分のため?
それならそれでいーんだぜっ。
気が軽くなる、ってやつだろー。
セイジのにーちゃんがどうしてーのか、
オレ様よくわかんねーや。
このせかいのかみさまに期待しなくたっていーじゃん。
あたらしいかみさまが、やさしけりゃいーんだろ。
[それでいい、と告げるセイジから顔を背けて、階段の上階へと視線を移す。そして、]
…――、
[すうぅ、とひとつ息を吸い]
伝えたいことが大事なことだったら。
もっと早く伝えればいーのに、
ばっっかじゃねえの!!!
[階段の向こう―――その一番天辺で眠る相手に届くように、大きな声を出した]
…うむ。すっきりしたっ。
[受け取ってないものは、どうにもできない。
だから、もやもやは吐き出してしまった]
…殺し合いで生き延びるのは、悪いことなのか?
[視線を引き戻し、素朴かつ真っ直ぐな眼差しで
セイジを見つめる]
……こんな状況でさ、
自分の手をまったく汚さずに生き残って、
だから誰も殺してない、やさしいかみさまなんだよ、
なんて言われたら――――
…オレ様はいやだ。
[言うだけ言って、
ふいと身を翻して階段に足を掛けた**]
[嗤ったカボチャの絵日記を開くと、]
『9thは、8thを追いかける。』
へーえ。おまえと意見一致したじゃん。
[ぽんとカボチャの表紙を叩く。
次いでヨシアキに視線を投げて]
…自分の大事なものは自分で守れよ。
ヨシアキのにーちゃん。
[けらっと笑って、同じく4階を通り過ぎた*]
…なあなあ。
[8thを追いかけながら、
絵日記の向こうに声を掛ける]
ゼンジのおっちゃんはさ、
どんな優先順位もってるん?
[それは些細な興味と。
今後のために知っておきたいという関心]
ひとのばっか聞いてもアレだから、
オレ様のも言っとくとさ。
[階段をのぼって息が弾む。
口元には笑みを浮かべたまま]
―――オレ様は、自分の世界が一番だいじ!
そんで次に、ゼンジのおっちゃんとヨシアキだなっ。
自分の手がちっこいことなんてよく分かってるから、
これ以上は求めない。いらない。
世界の残る価値とか。
ふさわしさとか。
…――そんなもん、知らねー。
だって誰がそんなもん決めるんだ?
かみさま?
…そのかみさまを決めるためのゲームだろこれ。
オレ様は…オレ様の世界を残したいから生き残る。
ある意味、いっちばんわがままかもな!
自分のことしか考えてねーもん。
[けらっとデンゴが笑うと、
絵日記カボチャもケタケタ嗤った]
だって大人は、 信用しちゃいけねーんだ。
[その支配力も。
その優しさも。
今はもう、どちらも怖い]
ヨシアキとゼンジのおっちゃんは、
嫌いじゃないぜ。
こうやって話してるのは …嫌いじゃない。
でも。
―――…ヨシアキ。
アンタはいろんなもんを欲しがるけど。
欲しがるだけで、 肝心なことは、 なにもしてない。
だから、 まだ、駄目だ。
[ゆるり首を左右に振って、
貝が閉じるように口を噤んだ*]
偽りがあると、いけないんだろ?
ゼンジのおっちゃん、今そう言っただろ。
オレ様はっ、…、
…………ふたりを、偽っているのに。
[ぽつりと。溢れた真実が、零れる]
[絵日記を持つ指先に視線を落とす。
爪の隙間が汚れている。
屋上のあの時の、微かな赤がついたまま]
でも…怖くて、言えなかったんだ。
ああ そうだな……、
ゼンジのおっちゃんになら、今は言えるかもしれない。
でも、 ヨシアキにはまだ言えない。
[日記越しで良かったとこの時ばかりは思う。
泣き笑いのような表情を見られなくて済むから]
だからさ、
オレ様が選ばれたんだよ。きっと。
このゲームにも。“鬼”にも。
[誰よりも一番最初に、
参加者を殺すことが出来た理由は―――…]
…、―――ゼンジのおっちゃんは、自分の世界が好き?
残すべきとか、そーじゃないとか。
そういうんじゃなくてさ。
純粋に。単純に。 ――…好き?
[子供なりに精いっぱいの、*質問を*]
……むむー。
[ちらり。視線を一度、階段の向こうに投げて]
セイジのにーちゃーーん。
また、話そうな!
[届くかどうかわからない声を投げた後、
一度上った階段を再び下りて、4Fに降り立った]
苦労してんなー。
[傷口を縛るのに難儀している様子に、
そんな感想を漏らしながら近づく]
まだ生きてる?
[軽い調子で呼びかけた]
そうそ、オレ様は9thのデンゴ。
アンタは、名前何てーの?
[まだ血が滲んでいる様子を見てから、
手元のふろしき袋に視線を移し]
てやっ。
[絵日記を除いた、
中の物をばさーっと下に落とした。
ただの布になった唐草模様のふろしきを
乱雑な3つ折りにして、相手が拒否しなければ
血の滲む傷口を更に押さえて縛ってみる。
気休めっぽい気もするけど、なんか頑張った気分になった。
そんなことをしつつ、]
10thのおっちゃんが守りたかった相手ってさ、
あんたなんだろ?
[と聞いてみたりする]
そっか。ならよーかった。
[けらっと笑って、強がりをそのまま受け取っておく]
マシロのねーちゃんか。
7thの日記を壊したねーちゃん。
オレ様、覚えてるぜ。
アンタは――ちゃんと生き残る意思が
ある奴なんだな、って。
[質問には、おどけるように軽く肩を竦めた]
オレ様の最優先は、生き残ることだからなー。
[血が止まった様子を見下ろして、
へへっと満足そうな頷きをひとつ]
ふーん?
あのさ、なんで守ろうとしてたか、言ってた?
マシロのねーちゃんにヒトメボレしちゃった、とか?
[冗談を添えつつも、訊ねる眼差しは真っ直ぐだ]
ちなみにさ、なんで――守ってくれたんだと、思う?
[問いかけて、ああいや…と続けて首を振る]
答えは今じゃなくていーんだ。
オレ様さ、マシロのねーちゃんに頼みがあるんだ。
[さっき落とした自分の荷物をひとつひとつ、
ゆっくり拾い上げる。
ほとんどはズボンのポケットに詰め込んだ。
入らないペットボトルとクッキーは、
ぽんぽん、と持て余すように手の中で遊ばせた後、
―――あげる。と、マシロの目の前に置いて、]
…、…ゼンジのおっちゃんに会ってやってよ。
オレ様はマシロのねーちゃんのこと、割とさ、
嫌いじゃねーんだ。
生き残ることに貪欲で、
手を汚せるくらいの覚悟があるオトナは、
自分と、似てるから。
だから、ちっと、安心できて。…怖くない。
[年に似合わない薄い笑みと、年相応の弱々しい苦笑。
足して二で割ったような曖昧な表情を浮かべて]
だから…―――
[絵日記のカボチャがガタガタ震えるのに気付いて、
マシロの前でそれを開く]
『11thが、近くで死ぬ。』
[ごくシンプルな未来の文章を飲み込んで、
ぱたんと閉じる。表紙でカボチャが嗤っている]
…………、…――そっか。
んじゃ、頼んだからなマシロのねーちゃん!
一方的にだけどっ。
[けらっと笑った顔を最後に向けて、
その場を立ち去った。
向かうは――ここ以上に、血の匂いのする、方角]
[6thと12th。
消すべき相手を話す二人の吹き出しを読む]
…ゼンジのおっちゃんは、いろいろ考えて
選んでんだな。
[自分はどうだろう。
少し振り返ってみ――なくても分かる。
答えはノーだ。
そして6thはもう傍観者じゃなくなった。でも、]
…――ソラのねーちゃん。
[屋上で凛々しく戦っていたひとが、
今は血に伏している。
なんだか、強そうに見えたひとから倒れていく。
そんな矛盾を、思う]
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