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[ぼやくように言いつつ、床の破片に目を向ける。
いつもならば、少女のやろうとしている事を察して押し止めもしたろうが。
疑念の欠片が、動きを鈍らせた]
……ま、とにかく。
このまま、知らぬ振り、って訳には……っと。
[自身も二階へ向かおうか、と思った所にかけられる、声。
振り返れば、先に訪れた町衆の姿]
なんだい?
……ああ……町のほうは、静かなもんだった、と。
わかったよ。
[町の方には何事もなかったらしい、という話を聞いて、一つ、息を吐く]
でも、すぐに疑いは晴れない、ってんだね。
……ま、仕方ない。
まだ、確証はないからねぇ……。
―― 二階 ――
[割れた瓶の口の部分を、ごん、と扉にぶつける。
軽く二度。間をあけて、もう一度。]
この中に一匹、人狼がいます。
ドリーを食べちゃった人狼です。
[絵本を読むような口調で言って、扉から一歩距離を置いた。]
[確証。誰が出せるのかもわからない、それ。
女はひとつ、息を吐くと、二階へ目を向ける]
……取りあえず、もうしばらくはここで大人しくしてるさ。
んじゃ、アタシは今の話をあの子らに伝えてくるよ。
[じゃあね、と言いつつ、ひらり、手を振って歩き出す。
リボンと耳飾が、ゆれた]
[わからない、と繰り返すペッカに、へら、と情けない笑みを浮かべる。]
それじゃあ……俺にもわからないなあ……
[凝と見てくる幼馴染の視線に、僅かに瞳をそらし。
――ごとり、と言う音のあとに響いた声に、小さく息を呑んだ。]
――ペッカ……
[一人、といわれて僅かにためらう。
幼馴染の名を呼んでも、続く言葉は何も浮かばず。
扉のところで止まる足音。
そして続く音と言葉に、ぴたり、と動きを止めた]
アイノ……
[アイノの声に、昨日からのやり取りが意味していたことを察して、低く唸る。
逃げ場はない。
目の前には傷つけたくない幼馴染。
扉の向こうに居るのは傷つけるつもりはなかった少女――けれど、厄介なことになるのなら、食べようとも思っていた、少女。
どうすればいいのかと、ひたすらに思考を回転させた。]
[扉の向こうで聞こえる会話にわずかに眉を寄せる。
はぁ、と小さく息をついて。]
扉はあいてる、入りたいなら入ってくれば。
[冷たくも響く声で告げながら、目の前の幼馴染に僅かに苦笑を向けた。]
悪いな……
[幼馴染ではなくアイノがそうだったのかと独り言ちながら扉と幼馴染の間に立つ。]
わかンねェと言や、――コイツもわかンねェ。
[扉の外から聞こえた音と声。
ペッカは、アイノの妙に抑揚のついた語調に言ち。
少し声を常より大きなものにして返答をする。]
… 此処に居ンのァ、俺とビーだぜ。
[絵本の中の人狼じゃない。そう念を押す響き。]
ウルスラ姐も居ンのか?
[扉をけり開けられて、瞳を瞬かせる。]
乱暴だなあ、アイノ。
そんなんじゃ嫁の貰い手がなくなるぞ。
[物騒なもんまでもって、と軽口のように告げながら、少女を凝と見やる。]
最初に訊きましょうか。
どうしてベルンは夜のうちに逃げなかったの?
[武器代わりの瓶を隠しもせずに、廊下から声を張った。]
……過激だねぇ。
[扉を蹴り開けるアイノの様子に、小さく呟いて。
ベルンハードへ向ける問いに目を細める。
すぐに何か事を起こす気はないが。
何かあれば動くつもりで、やり取りを見つめた]
どーしてって……此処が俺の生きる場所だし。
逃げ出してどーなんの?
[それをいうならアイノだって逃げなかったじゃないか、と指摘しながら、顔を赤らめた少女の怒鳴り声にう、と胸を押さえる。]
人の気持ちなんか口に出されなきゃわかるはずないだろ!
[逆切れた。]
…できねーな。のんびり。
[素っ気無い物言いは、含む万感を潜ませる。
苦笑と共にベルンハードから告げられる詫びに、
ペッカは幾分遣る瀬なげにも、ひひとわらう。]
おう。聴いとく…
[ぐしゃり――陽に灼けて縮れた髪といっしょに
掴んだタオルが、ペッカの頭からはらと解けた。]
―――― 刺繍糸。
[逃げる素振りなくことを注視するウルスラへは、
姉が後日彼女へ伝える心算だった言葉を添える。]
新しいのよか、古布をほどいて紡げって
姉ちゃんが言ってた。
ウルスラ姐。
死ぬ気で生きようとして、死ぬなよ。
[ラウリの血を流したばかりの汲み置き水へ、
ばしゃり。ペッカは頭から解けたタオルを通した。]
[アイノの言葉>>56に苦いものを嚼んだように顔を蹙め。]
だって、なあ……俺が逃げても、お前らが逃げられないんじゃ、一緒だろ。
[騒ぎさえ起きなければ、今までどおりだったのに、と僅かに息をつきながら。]
で……アイノは俺が人狼だって、いいたいわけ、だ。
[昨夜のうちに逃げても、なにも解決はしない。
ラウリが死んでもそれは同じ。
結局――騒がれたことと共に空腹に我慢できなかったのが原因なのだから自業自得もいいところだった。]
[アイノと視線を交わすのは幼馴染みの肩越し。
誰をやら何からやらは想い、むつと口を尖らせる。]
…庇ってねェし。
どっちかつーと俺、全力で庇われてなくね。
[昨夜の件にしろ、いま幼馴染みが彼女らと
ペッカの間に立って話している件にしろ。]
[ドロテアが、というアイノの言葉に、ゆるく首を傾げる。
ここにいた者たちの名を書いた、その理由。
少女が抱いていた想い]
……やっぱり、ちゃんと聞いてやるべきだったか。
[零れ落ちた呟きは、ため息混じり。
あの時呼び止めていれば、と。
掠めるのは、悔い]
[ゆっくりと、一歩二歩とベルンハードへと近づく。
瓶は音を立てて床に落ちた。]
ねぇ、あたしを食べて、そして逃げて。
人狼がここから居なくなって、もうそれで、終わり。
それじゃダメなのかなぁ?
[立ち止まると俯き、顔を両手に埋めた。]
もうやだよ。
[ドロテアが、と示された羊皮紙>>60を見てあーあ、と額に手を当てる。]
まいったなぁ……
言い逃れもできやしない。せっかくドロテアの口を封じたのにな。
[自嘲気味な笑みを浮かべてぽつりと呟く。
ドロテアに特別な感情は抱いては居なかったし、彼女の気持ちには気づいてもいなかった。
アイノの言葉>>63に肩をすくめて。]
でも、それで残ったウルスラやペッカが疑われたら――?
そりゃあ俺だって生きていたいさ。腹が減ったら食べもするし――
でも、この町の人間を食べるつもりはなかったんだよなあ……土砂崩れさえ、なければ。
ドロテアやラウリを殺しておいてなんだけど、それでも俺、皆にも生きててほしいんだよねえ。
しょうがないから、俺を始末して、おしまいにする?
確証はないけど――聞いた話だと、死んだら狼になるらしいよ。
[旅人には残酷に。
騒ぐ少女には飢えと保身でその身を血に染めながらも、そんな提案をするのだった**。]
…そーかよ。
[ウルスラが口にする女だてらの気骨台詞に、
ペッカは反発もせずに短く相槌を打つだけ。
オトコ居ンだろ、などと下世話を添えなかったのは
手元隠れる某かの矛先向くやもとの想いから――。
アイノから明かされるドロテアの真実には考え込み]
他所もン巻き込んで、殺して。
…最初に死んだドロテアも、
一役買ってたってコトかよ…
町娘 アイノは、ここまで読んだ。[栞]
[――不意に、ひゅ、と。
濡れタオルの端と共に、水滴が宙を奔る。
ベルンハードの背後からペッカが振るった其れは、
幼馴染たる彼の、顔の下半分へべちゃり張りつく。
軽い遠心力で1回転半した端が、びちと頬を打つ。]
死にたかねンだろ。ビー。
[他方の端をぐいと引いて、半ば抱き寄せる。]
…俺も 死なせたかねェ。
[人狼…らしき彼を羽交い絞めにするでもなく、
ペッカは、両の手のひらをベルンハードの顔の前で
重ねる。…その手と濡れタオルとで呼気を、奪い]
いっしょに 逃げてやれる。
いっしょに 生きてやれる。
けど、うン。アイノを殺させたり、
ウルスラ姐が疑われンのァ…駄目だなぃ。
お前ェが落とし前つけらンねェのも――
[交わした詫びは、一度ずつ。
これで相子、とは果たしてしたかされたか――
ペッカは、ベルンハードの顎を緩く上げさせて
幼い頃から見慣れたその顔を、覗き込む。]
… 『土砂崩れさえ、なければ』。
アア、 そンでも。
漕がにゃ 進まん、凪もあらァ な
[幼馴染みの後頭部を、己の肩口へ凭せかけて。
相手の鼻と口を塞ぎながら、微か語尾を震わせた。]
[わがままでごめん、とアイノ>>67に謝る声は濡れタオル>>70に障られて声にならない。
幼馴染の声と手のひらの感触に無意識でもがきかけた体の力を抜いて。
覗き込んできたペッカ>>72にへら、とした笑みを瞳に乗せる。
奪われる呼気に息苦しさを感じても。
そのまま抵抗することなく――]
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