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……そいつは逆だ。
人が変わるから、村も変わる。
いつまでも同じでいられるはずはない。もう戦争中とは違うんだ。
ラブアンドピースなんて、逃げるための言い訳にしか聞こえないぜ。
あんたは、ずっと今のままでいたいのか?それで満足かい?
[立ち上がると、ふらふらと歩き始め]
……胸騒ぎがした。気のせいならいいんだがな。
何か探しものか?
[見覚えのある白い子猫を抱いた老婦人に視線を止めます]
あ、いや。依真里なら見てねえぜ。
そいつを拾ってた時が最後だ。
……まさか、神隠しか。
はん。そんな非科学的なこと、あるわけねえよな。
すると、何かの事件に巻き込まれたか。
[ギンスイから向けられた非難めいた視線に臆することもなく]
ちゃんと婆さん見ててやりな。
[神社の階段を下りていきます]
……ちゃんと前見て走るんだな。
[殴られた傷に響いて、少し顔を顰めました]
知らん。
さっき婆さんと、ミドリとかいう子が探してた。
どこを探したか、奴らに聞けばいい。
[神社の階段の上を指差します]
そうか。
[ネギヤの時ほどの衝撃はありません。それは半ば予想できたことで。しかし最後の言葉に違和感を覚えます]
引きずられて?
……どういうことだ?
……また御縁か。
蛍川で溺れたとでもいうのか?
[此方を見つめる瞳に対し、苛立ちの感情が浮かびます。口調にそれが漏れるのを、できる限り抑えます]
いや、探していると言ったな。
話が見えないのだが。解るように説明してもらえないか?
[しゃがみこんだままの少女を見下ろしたまま]
そうか。それで、永遠の愛か。
神隠しと御縁との相互干渉とは。
……運命とは皮肉なもんだな。
二人の絆が変わらず、いつまでも共にあるよう、願ってやるといい。
[立ち上がった少女に、微かに眸を細めます]
……触れるな!
[頬へと伸ばされた手に、思わず一歩下がり、身構えます]
[そうして、何とも言えない気まずそうな表情を向けてから]
祟りに遭う。
[小さな声で言うと、ふいと少女に背中を向けます]
トメ先生か。
[村道でかけられた声に足を止めて]
……転んだだけだ。
手短に頼もう。
[明らかに不機嫌そうな表情を作り、話を聞きます]
あんたの言いたいことがわからんな。
勝手な憶測や仮説に基づいて、下らん妄想を並べ立てるとは。
とても教師の発言とは思えん。探偵か物書きの方が向いているのではないか?
[くくっと笑い声を漏らして]
ああ、失礼。神隠しだの祟りだのと騒がんだけマシか。
それで。仮にそうだとしたら。
他人の意見など聞かずとも、あんたの慧眼から結論は出ているんだろう?
お聞かせ願おうか。
……ふん。
個体が識別できればどう呼ぼうが構わんだろうが。
教師ってのは全くもって面倒な生き物だ。
この村に必要なのは、外の血だ。
知ってるか?人の身体ってのは、90日で生まれ変わるそうだ。
人も村も、変わっていかねばやがては腐り死に至る。違うか?
おや。まるで脅しのように聞こえるが。
高潔なセンセ様の言葉とは思えませんな。
[冷たい笑みを浮かべて、腕に伸ばされた手に逆に手を伸ばしました]
恫喝に嫌悪を抱く発言をし、自らはそれを行う。立派な教師様ですな。頭に二文字付け加えて。
[ザクロの腕を取ったまま引き寄せ、挑発的な瞳で見つめます。口元に笑みを浮かべて]
今度は歴史の講義か?くくっ。よく知ってるじゃないか。
……今から400年程昔。この村は争いの渦中にあった。そして、鬼がいたそうだ。
聞いたことはないか?
まったく、お優しいこって。
[首を横に振り、肩をすくめます。他愛ない話に興味を示したことに、意外そうな表情]
鬼の仕業だとは一言も言ってないが……いや、ある意味そうとも言えるか。
……それはこっちの台詞だ。最初に手を出して来たくせに。恐ろしい女。
[石木の手を放しました]
あんたに俺の腕が折れるか。
[すでに受けた傷跡は治りつつあります。それは尋常ならざる速度]
紳士的にってのは無理だが。無闇に喧嘩を売りたいわけじゃねえ。
欠夜来、角夜鬼……その由来は様々だが。
狐神と鬼が、この地で永い間戦っていたと聞いた。
そうして、神は鬼に呪いをかけたと。馬鹿馬鹿しい御伽話だがな。
[唐突に取り出された手紙に視線を向けます]
[手紙の欠夜来の文字を指でなぞって]
さてな。夢は、所詮届かぬものか。
[遠い目。呪縛からの解放と、同胞を見つけて共に過ごす一時。叶うことのない夢]
試してみるか?
[鍛えられた筋肉の塊のような腕を差し出して]
詳しいことは知らんさ。
意外だな。非科学的な事象など、眉に唾して聞き流すと思ったが。
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