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[ユノラフに掛けられたニルスの声>>1:188に、
そちらへと目を向ける。
ついでマティアスの状態に気付けば、更に目は瞠られた]
いいと思うけれど…。酷い、ことを。
[引き篭もりがちゆえ情報に疎い女は、
詳しい事情を知らずに首を傾げて声を漏らした]
[今日も、陽の光で目を覚ます]
[ベッドの中でまどろみながら、昨夜の食事風景を思い返していた]
………。
[久々に交わしたマティアスとの会話(と言っても言葉を返すことは出来ないのだが)、暖かな食事、ニルスの気づかい……。
マティアスを拘束していた縄も、解いてもらう事が出来た]
[勿論、良いことばかりではなく、ウルスラの姿を改めて確認した時は、やはり辛かったが。覚悟していた分、衝撃は少ない]
[屋敷の中で、惨劇が起こっていることなど夢にも思わず――]
[穏やかな表情で、いつの間にか再び眠っていた]**
[共に眠る と何度告げても
ドロテアがどうしてもひとりで眠ると言う
言い出したら譲らない頑固な彼女を知る為
女は苦虫噛みつぶした顔をして了承し――
隣の部屋へと入ったのだった*]
え…、ええ。
[誰何のように名を問われるのに、小さく返す>>2
怪我人の彼に、それ以上を返すことはしなかった。
怪我をする前の彼のことは、知っている。
何故だか大量の魚が目の前でひっくり返ってみたりとか、
何やら避けようとすると殊更当たる気のする男。
女も彼の表情を見てしまうから、結局つど気まずく視線は逸れる]
ユノラフ、…いい?
[結局、彼の方が苦手を相手が意識しないでくれる分やり易い。
そういうことなのだけど、
女はやはり緊張の面持ちでユノラフへと声を掛けた。
階段を上がり、部屋へ至れば少し眉を下げる]
ごめんなさい。本当はお手伝いはないの。
その…ちゃんとお礼を言っていなかったし、だから。
[女は、言いにくそうに切り出した。
最初の理由は確かにそうだ。
けれど礼は既に述べているから、理由としてはおかしいだろう]
……その…、
[こつ。と杖を鳴らして彼の傍へ歩み寄る。
意を決して、彼を見上げた]
死んだ人の夢。その魂の夢。
夢の中で私は、この足で自由に動き回っている。
いつもは人の死者の夢。
けれど時には、何か違うモノの夢。
ひょっとしたら、私が人狼なのかも知れないわ。
だって、こんなにも不吉な。だから……
…だから、私にそんな話を聞かせては駄目。
あなたが死んでしまうかも知れないわ。
だから気をつけるように、言いたかったの。
けれどこんなこと、皆の前で言えば…こわい。
人狼だって、まだ目覚めるとは決まっていないというのに。
きっと変な女だと思われてしまうから………
… ごめんなさい。
[囁くように謝罪を告げて、目を伏せた。
ただの妄想と笑われるかも知れず、
もしくは人狼と疑われるのかも知れない。
けれど親切にしてくれた彼には、言おうと決意した。
なにもなければとのヴァルテリの言葉が脳裏を過ぎる。
惨劇の前、女は儚い希望と恐怖の予感に震えていた*]
―回想―
[縄を外してもらえたら、腕をさすりながら]
あ、ありがと……
[何度も何度もくどいというくらいにその場にいる皆に御礼をいって、久しぶりに両手で危なっかしい食事を取った]
[それからは、ヴァルじいの旅の話を静かに聞いていた。
人狼云々を忘れることで、心の平衡を取っているような……そんな過ごし方をした]
[部屋割について言われれば、一階の一番狭い部屋がいいといった。
また今朝のように迷惑かけるわけはいかないし、広い部屋だと落ち着かないのだ。手を伸ばしたらすぐ何かに触れられるところ―― 結果、男は1階の使用人控室で休むことにした]
―ゆめ―
いいはまうるい
るなだ血らほて
まいけなていっ
はいしいっさこ
いなか繋がいの
たいかるいちが
つないだ手だけ
海の音が近い
いつまでも帰れない
―翌朝―
[誰かが呼びに来るまで、男が自らベッドを起き上がることはない。どんな騒ぎすらも遠い音。、自分のことで手いっぱいな男にはどうしようもなかった]
ぃ、たぃ ぃたぃたぃたぃたぃたぃたぃ…
[布団をかぶって小さく震えている。
水差しに中身がない。水はもうどこかにかけてしまって中身がない。
痛み止めの服用し忘れで悲鳴をあげながら、とびきり痛いところを、それで痛みがなくならと掻き毟り続けている]
[目元の包帯が、破れ落ち、まるで獣の爪に蹂躙されたかのような顔が露になって*いた*]
[ドロテアの部屋の扉が開いたまま
少し緩い蝶番にゆらゆら揺れていた
ひどい血の臭いが廊下へと噴きだし
見ずとも惨劇を伝えている]
誰か、どなたか……っ
ドロテアが、
わたくしの妹が……っ!!
[高い悲鳴じみた声が漏れる。
その血が自身に移る事も気にせずに
息絶えた少女を胸にかき抱いた]
[食事を作ったあと、イェンニに手伝ってもらいながら居間へと運ぶ。
食事ができたとつげるのは女性たちに任せ、静かに食事を済ませる。
マティアスをつれてきたニルスの言葉にゆるりと瞬き。
反対意見がでないようなら、何も言わずに頷いておいた]
夜までの間、ちぃと話でもするか――
[そうして語り始めたのは、遊牧の間にみたとある街の面白い風習だったり。
動物たちの滑稽な行動だったり。
ある程度時間がたてば、ゆっくりと立ち上がって]
部屋で休むとするよ。
[そういって、居間を出て行った]
[個室に入ったあとは疲れたような吐息を一つ。
ベッドに入ったあと、朝まで眠り。
イェンニの悲鳴に、ゆるりと瞳を開いた]
― 昨晩 ―
[>>1 ユノラフの返事を聞き、行動を見、ニルスは嬉しげに目を細める。
ユノラフに話を振ったのは勿論近くにいたというのが大きな理由ではあるが、ユノラフであればきっと異議を唱えることなく行動に移してくれるだろう、という期待もあってのことだ。拘束の解かれたマティアスを満足げに見て、ニルスは食事を続ける。
その最中にヴァルテリの話が聞こえれば、おとなしく耳を傾けた。
人狼のことは話題に出さぬまま時間が過ぎ、ニルスは自室とした部屋へと引き上げる。
階段を上りながら、思い返すのは>>14 マティアスのことだ。自らの希望とはいえ、怪我人がゆっくりと休めるか否かも分からない部屋へ、というのは些か気にかかる。
朝に様子を見に行く心づもりで、ニルスは読書も程々に床へとついた。]
― 夜 ―
[居間にやってきたマティアスに、少し目を見張った。
縄を外すのに否は唱えない。
違う場所の話をヴァルテリがするのを、いつもより興味深げに聞いていた。
やはり、余り自分の方から何かを尋ねたりはしなかったが。
そうして皆が部屋に戻る頃、自分もまた部屋に戻った。
一人で部屋に入る事に、何ら恐怖があるわけでもなかった]
― 朝 ―
[思った通りにニルスは早くに目覚め、1階の使用人控室へと向かう。
数度のノックの後、扉を開くと>>16マティアスの声を耳に留めてニルスは眉を顰めた。]
……失礼するよ。
[布団を剥がすか否かの逡巡は一瞬のこと。
布団を捲り、顔を搔き毟る様子を目に留め、止めさせようと腕を掴む。]
マティアス、止めるんだ。
そんなことをしては、余計に痛くなってしまうよ。
[腕を掴む際に見えた顔の傷も痛々しく、ニルスは思わず腕を掴む手に籠める力を強くした。
辛抱強く、落ち着くまで声を掛け、傍にいてやりながら空になった水差しを見遣る。
痛みを抑える為にも痛み止めを飲ませてやらねばとは思えど、水が無ければどうにもならない。]
― 早朝 ―
[イェンニの悲鳴に、彼は目をこすって、扉を開ける。
ドロテアの部屋の扉が壊れているのは、見て取れた。
部屋の中までは見えないけれど、そのにおいは、彼のところまで届いていた]
――…
[まだ少し眠そうにしていた目が、細まる。
ドロテアが、妹が。
そんな叫び声に理解する。
つまり、供儀が殺されたのだ、と]
[イェンニの叫びが響く。
ゆるりと瞳を瞬かせて、身体を起こした]
……供えられた娘は、いったか。
[ちいさな呟きを落し。
しわの寄った服を着替えて廊下へと出る。
血の匂いが、ただよっていた]
[顔を上げたのは、扉の開く音が聞こえた後。
廊下に出てきたヴァルテリの姿が見えた。
小さく頭を下げて、壊れた扉の、ドロテアの部屋の前へと歩いてゆく。
――近づくにつれ、血の匂いが酷くなって、
廊下の床に視線を落とした]
レイヨ……
[レイヨが出てきたのを見て名前を呼び。
廊下から壊れた扉のほうへと視線を向ける。
壊れた扉をゆっくりと開けば、血の匂いはさらにつよくなり]
……ああ。
イェンニ。
[血に濡れた二人の姿に、小さく声をかけた]
[骸に顔を埋め血に汚れるも気にせず
その頬へと頬寄せて震えていた
後から後から溢れる涙が落ち流れる]
、ヴァルテリ、さま……!
[聞こえた声にゆると向ける顔は
クシャリと歪んだままに。
合わぬ歯の音を噛み締めて
縋るような声を漏らした]
ヴァルテリさん…
[呼ばれ、少し沈んだような、静かな声で返す名。
それから視線を、扉の方へと向ける。
彼が戸を開く先をのぞく。
部屋の中は、血の海のようだ。、
イェンニがその赤の中、赤くそまったものを抱きしめていた。
供儀の少女が流した血からも、
彼女が死んでいるのは、明らかだ]
[イェンニの顔を見て、部屋の中に足を踏み入れる。
宥めるように肩を叩き。
他にも誰か来るのなら、現状はすぐに見て取れるだろう]
[イェンニがヴァルテリの名を呼ぶ。
呼ばれた彼は入ってゆく。
自分は、少し扉の前で立ち止まった。
赤い血の中、むせかえるようなにおい。
部屋の扉の前に佇む形]
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