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『フローレンス優姫の誕生月占い』
二月生まれの方。運気下降中。うっかり失言して、
周りの信用を落とすかも。落し物に注意。
ラッキーアイテムは…
って、これ、昨日の占いね。
[ぱさりと音を立てて、新聞をたたんだ。]
ねぇ、おとうさん。
購買申し込みの手続きに来たひとって、
どんな方だった?
[昨日の記者の様子だと、家に来てはいないだろう。
案の定、父親の語る人物像は、
見知った者とは違っていて。]
まぁまぁ、クロスチョップハンバーグ弁当を死ぬほど?
新聞社も下手に動くと嫌がらせを受けて大変ね。
[他愛のない話に、かさついたこころが、
少しずつ解れていく。]
――…すこし、空き地の件のこと、
整理してみようかしら?
[そういって、紙とペンを持ち出し、
記憶を書きなぞった。]
えっと、二十三日に空き地でアンちゃんと――…
[時系列ごとに、知る限りのことを並べる。
見つかった骨の部位。そしていなくなった子たち。]
――え? 女の子が参考人として?
おとうさん、それどうしてもっと早く――…
[知らない情報は、接客を終えた母親からも
聞くこととなる。]
こども警官さんが? ほんとうに?
うれしい…!
[こちらは遅れて耳にしたが、いい情報で。]
[ちいさくても喜ばしい言付けに、
ぱっと表情は明るくなり。]
あ、そう言えばおかあさん、
昨日、頼みたい事が有るって言ってなかった?
[数日振りに、仕事らしい仕事を。]
こんにちはぁ。槻花写真館です〜。
[母親から請けた仕事は、引き伸ばし写真の配達。
コンビニエンス的なものが持て囃されつつある世の中、
ひと手間かけることで、得意先とのつながりを保つ、
昔ながらのサービス。]
…居ないのかしら?
[店の中を覗き込んだり、裏手に回ってみたり。
ようやく見かけた人影は、陽だまりの中でうとうと。]
あれは…タケおじいさん?
[まあるく形つくられた、きれいな頭部が反射していた。]
…おこすのも…忍びないわよね。
あら。あなた確か…ハナシロだったわよね?
お留守番かしら? えらいわねぇ。
[会話に昇る名前を思い出し、あごの下を指でなぞる。
猫は気持ち良さそうに目を細めてひとつ鳴き、
手にしていた茶封筒を見て、もうひとつ鳴いた。]
? ご主人様に渡してくれるの?
じゃぁ、ご主人さまが帰ってきたら。
教えてちょうだいね?
[手入れの行き届いた毛並みを、ひと撫ぜ。]
それと、お利口さんなハナシロには、ご褒美ね。
嫌ならすぐに解けるように、しておくわ。
[鞄から取り出したのは、幅の細い緑のリボン。
軽く首に結わいてあげて。
かざりには、恋告げ草の、花ひとつ*]
[おつかいのまま、まっすぐ家に帰るのは
何となく気が向かなくて。
慣れた道をぷらりと歩く。
空き地の事も気になるが、
また誰かが居なくなっているのを知るのが怖くて。]
人身御供で、いったい何が起きると言うの?
亡くなったひとが生き返るわけもなく、
また、何かが静まるわけでも無さそうなのに…。
[無意識の内に、当てもなくこぼす、推測。]
[見かけた姿は、知ったひと。
作家さんだと思ったが、
あいさつしようか戸惑っていると、
先に向こうから声を掛けられた。]
あ、作家さん。こんにちは。
お散歩ですか?
[いきなり空き地の事を切り出す訳にも行かず。
まずは当たり障りのない、近所のごあいさつから。]
まぁ…お仕事に身が入らないって大変ですねぇ。
締め切りとか、あるんでしょう?
[世間一般に知られている情報を重ねて、
心配そうに尋ね]
あら、担当さん? って、確かあの――
[関わると馬に蹴られそうになるひと、とは言わず]
えっと、栗田さんでしたっけ? 大変ですわね。
あのひと宛にお弁当、大量に届いたんでしょう?
そう、作家さんって気が休まる時は無さそうね?
[常に追いかけられている様を想像して。
小さく苦笑して見せた。(>>55)]
まぁ、ご本人さんが不在だったなら、
他のひとも大変だったんでしょうねぇ…
[てっきり不在は一時的なものだと聞き流すも、
その後に続いた言葉に引っかかるものを感じ、]
今、起きている騒動?
え? お仕事で不在とかでは無いんですか?
確かに、好きで行う仕事の辛さは、
あんがい楽しかったりもしますものね。
[思い出すのは、憧れのひとのことば。
同情して。でも少しうらやましくて。(>>62)
しかし続く言葉には、さすがに眉をひそめ]
参考人…? 何故、あのひとが?
[問い返す声も囁くように。
こころからの疑問を投げ掛けた。]
あの方…一昨日、家に着てたんです。
二十六日ですね。
あの日、何故家に来たのかはよく解りませんけど。
でも彼が、もし骨を置いた犯人なら…
あんなこと言うかなって思う事が有って。
[何も情報が出ない気がするという言葉に、
重ねるのは、やはり根拠の無い違和感。]
えぇ、一番最初にきかれた事が、
「お弁当屋さんとお友達ですか」みたいですけど。
[母に問いかけていた事を告げ(>>79)]
あ、でも思い違いかもしれませんし、
単なる考え方の違いかもしれませんが…
「誰がいつあそこに骨を埋めたのでしょうね?」
「前から埋まっていたかも知れないが、
何故今になって埋めたのか」
わたし、その言葉を聞いた時は、
もしかしてと思いました。
でも――…
[逡巡。そしてゆっくりと口を開く]
わたしにカマを掛けるにも、彼が犯人なら。
あまりにも悪手なような気がするんです。
ふふっ、気になるひととの伝を欲しがるのは、
おとなでもこどもでも普通ではなくて?
[目が泳ぐさまを見取っては、口許をゆるめる。]
そうですね。ちょっと分が悪すぎるというか。
それにモミジに気をつけてって言うのも…。
んー…変ですよねぇ。
ほんと、不器用ですよね。
[向けられた疑惑を思い。
モミジに差し出された心情を想い。苦笑い。]
違うような気がするんです。
彼も。そしてあなたも――
[むかしばなしをあまり知らない。
作家先生を見て、やわらかく微笑む]
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