[部屋を出て行った、ユウキとヨシアキの後ろ姿を見送って]
……行っちゃいましたねぇ……。
何で呼び出されたんでしょか?
何か悪いことしたのかな??
事務局の人も、手紙なんて知らないって言ってたみたいだし。
そもそも。この手紙って、ホントに学校から来たのかなぁ……。
[ピラピラと、手紙を弄びながら独りごち]
[ワカバにホームズ帽子を被せて傍らを歩く]
名探偵コンビですよー。うふー。
[ワカバの問いには]
えと。引っ越して来たんですよ。
そしたら近くに面白そうな学校があるから、どうせ編入するならここへー!って。
そうなんだ……。夢かぁ。素敵だなー。
やっぱあれですか?宇宙飛行士になりたいの?
[ワカバの視線を追いかけて、飛行機雲を眺める。続く彼女の言葉には首を傾げて]
火星かぁ……。随分前に、調査団が入ったんですよね。
えっと。
故郷って、どこ、ですか?
【JINRO】……聞いた事あるような。
独り占めは良くないですよねっ。
みんなで仲良く分け合わないと。お菓子もそうです。
[ぐっと握りこぶし]
なんと!?郡上八幡さんは、生粋の日本人だと思ってましたが。
うんうん。秘密、秘密ね。
ほえー。調査隊また行くんですか?
今度はどこの国が飛ばすんだろ?
案外うちの学校だったりしてねぇ。あははー。
[まったくもって能天気に、空を仰いでいる]
それにしても、随分詳しいですね郡上八幡さんは。
それに比べて勉強不足だなー私。
何となくこの学校来ちゃった人だから申し訳ない感じ……。
でも!今日からは、私も、郡上八幡さんの夢に協力しますよー。同じ転校生仲間としてもー。
頑張って火星行きましょう!
わわー。えへへ。
[ワカバに抱きつかれて、照れる]
ん?何か、耳の後ろがチクチクするなぁ。
えいえい。
[てんとう虫の這っていく感触に、耳の後ろを掻いてみるが、既にナノマシンは髪の毛の中にもぞもぞ入っていった]
さて。どの辺を見回りましょか。
牧野下さんを誘えば良かったなぁ。
二人じゃ迷子になっちゃうもんね。
[と言いつつ歩いているが、ワカバの足取りには迷いがない様に見える。先に立ってスタスタと歩いていく]
地図読むの上手いですね。
なんか、道知ってるみたいだもん。
同じ転校生仲間なのにこの違い。あははーー。
[しかし。ワカバの手には簡易構内図は握られておらず]
郡上八幡さん?どこ、行くんですか?
何か、人通りが少なくなってきましたよー、この辺。
[ちょっと不安になって問いかけると、『大丈夫。大丈夫』とワカバがにっこり笑うので]
はあ。……まさかね。杞憂、杞憂。
あははー。
[にへら、と笑い返した**]
[ワカバの背中をのんびり追いかけながら。ふと、窓の外を見上げる]
良い天気だなぁ……。
[抜けるような空の、その向こうにある赤い星を想像してみるけれども、宇宙の事は、ずっと遠い話に思えた。少なくとも、この日常のすぐ先に続いている現実だとは*思えなかった*]