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そうかも知れないわ。
私は、…いいえ。私たちは。
[マティアスの言葉>>5:+58にこくと頷く。
桔梗色の狼が立ち去れば、残るは静寂。
そうして視線の先に見つめるものは、恐らく彼も同じだろう>>1]
死んでしまいたいほどに辛くて、でも死ねなくて…。
死んで良かったとは、言えないけれど。
けど…、ならば少しだけ。
せめて少しだけ、辛さが癒されれば良いのに、ね。
[想像と知りながら口にした。
真の望みなど、当人より他に知ることなどないと知るけれど]
…、クレスト。
[ぐったりと目を閉ざす彼に、囁きかける。
当然彼の耳に、この声が届くことはないだろう。
彼に見えることもない。
…──だから、そっと手を伸ばした。
触れたことの無かった、彼の額へと]
私…、…気づいていたの。
いいえ。もしかしたらと思っていたの。
…少しだけ。違うかも知れなかったから。
あなたは、とても優しいひとだから。
だから足の悪い私にも、優しいのだわって。
[女の手指が、滑るように男の頬へと降りる]
逃げていたのよ、ずっと。
ヴァルテリが人狼だと思ったわけじゃ、ないわ。
ただ誰かを……、
貴方たち以外の誰かを死なせられれば、それで良かった。
きっとそういうことだったんだわ。
酷い女でしょう?
もう、ばれてしまったかも知れないけど。
[ぽつと零して、手を離した。
その手を自らを抱くように、己の肩へとまわす。
あの時、安心をくれた手の温もり>>3:124を思い出すように]
自分を責めないで。
たとえ誰が何を言ったとしても、
私はあなたの強さと優しさを知っているわ。
ありがとう、クレスト。
…───大好きよ。
[眠る男に囁きかけて、ふわりと微笑む。
やがて女は、差し込む朝日にきらめくようにして掻き消えた*]
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