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…………
アンちゃん?
[扉の向こうと、さっきまでもう一人がいたはずの空間に交互に視線を投げる。]
[どうしてアンの顔は、あんな低いところにあるのだろう。]
……………………。
[扉脇の釦のあれこれを、震える指で押すのだが、鋼鉄の函の動きは何ら変わりはなく**。]
──!、ちょっ、チカノちゃん?
[身に付けていた黄色い重たげな何かを、アンに向けて投げつけるチカノに、目をむいて。]
アンちゃんが怪我しちゃったら……。
[言いかけて、やめる。]
[異様な姿になっていたアンは、果たしてまだ怪我をしたりできる存在なのだろうか?
いや、アンの怪我云々に関わらず、チカノが随分荒い事をしているのは確かなのだが。]
……え、
チカノちゃんが投げたあれ、あたしが取ってくるの?
もー。だいたい何で投げたのよ。
[追い出されるがどうしたこうしたという話を一瞬忘れて、素で答えて、チカノに膨れてみせる。]
[が、そのふくれっ面も、チカノへのマシロやサヨの反応を目にして、強ばってしまって。]
……。チカノちゃん、あれ、大事なものだったの?
あたしがとってきたら、奢ってくれてもいいぐらい?
[そんな事を口に出すのは、怖さにいたたまれなさが勝ってしまったためか。]
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