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[半袖半ズボン、夏の子供にふさわしい格好だ。
すんなり伸びた手足は日焼けというにはやや色が薄いが]
おじさん、ここのひとやないね。
あたしもやけど。
ひょっとして、迷子?
[蝉の鳴き声。
アゲハチョウがひらりと
夏とは思えない厚着をした男の頭に、止まる**]
―向日葵畑の側―
じゃあ、おにいさん?
[瞬き、訂正した。
しかし、顔はよく見えない。]
へんなひと。
追手てなんなん?
[ぶつぶつ言う人物の顔を覗きこみ、マフラーをちょいと引っ張る]
うん、おばさんちに遊びに来てるん。
……そういうん、
迷子いうんちゃうかな……。
[ぼそ、とグローブに隠して呟いた。]
せやったら案内したげよか。
お祭りやったらあっちやで。
[グローブにボールを預けて、
すっと提灯の連なる先を指差した。
少女の髪は夏の陽に茜色だ。]
[厚着の人物、その頭のてっぺんを見上げてふふ、と少女は笑う。]
なんや、お兄さん、
リボンみたいやで。
[自分の頭を指差して、
くるり、回り、足を前へ]
こっち。
[祭り囃子の稽古だろうか、
空耳のように遠くから聞こえる**]
―向日葵畑沿いの道―
忘れろ?
うーん、どうしてもっていうんなら
わすれてあげるわ。
[からりと笑って足取り軽く、飛び立つ蝶が先導するように祭囃子の方角へ。ボールをぽーん、と時折上に放っていたが、くるりと向き直ると後ろ歩きをしつつ口を開く。]
せや、おにいさんはなんていうん?
あたし、クルミ。
お祭りねえ、ちっさいけど賑やかなんよ。
たこやきとか、りんごあめとかあるし。
[子供の気安さで語りかけた。
彼女宛に届いた手紙を両親ほどに彼女自身は気にしていない。]
でもねえ、夏祭りにはこわぁい神様も遊びに来はるから、失礼のないようにせなあかんねんて―――**
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